初心者の方必見!ネットショップの基本を、ECコンサルタントが教えます。
ネットショップの開業資金の目安はどの程度?
コストを適正化する方法も紹介
新たな販路を開拓するに当たって、ネットショップを開業するのは有効な方法です。しかし、ネットショップに参入したくても、どの程度の開業資金が必要なのかわからず不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ネットショップの開業資金の目安を紹介します。運営にかかるコストや資金不足に陥ったときの対処法も紹介するため、併せて確認しましょう。開業資金の目安が事前にわかれば、確保したい予算や自社に合う開業・運営方法が判断しやすくなります。
目次
ネットショップの開業資金は主に4種類に分けられる
新たにネットショップを開業する際にかかるコストは、さまざまなものがあります。代表的なコストは以下のとおりです。
- ECサイトの設計・開発費用
- サーバーやネットワークなどのインフラ整備にかかる費用
- PCやカメラといった機材を調達する費用
- 各種手数料を含む諸経費
ネットショップの開業を考えている方は、上記の費用を事前に計算しましょう。それぞれの費用を合計した上で、不測の事態に対処できるように余裕を持って予算を確保することも大切です。
ネットショップを構築する方法別に開業資金の目安を紹介
ネットショップの構築・開発の具体的な方法は多種多様です。採用する開発方法によって必要な開業資金も異なるため、予算や特徴を正しく理解した上で自社に合ったものを選択しましょう。ここでは、代表的な5つの開発方法とコストを紹介します。
【~10万円程度】ASPカートを使用する
ASP(Application Service Provider)は、必要な機能を搭載したソフトウェアを提供するサービス全般の呼称です。EC関連で用いる場合、ショッピングカート機能や商品管理機能、顧客情報管理機能といったネットショップの構築・運営に欠かせない機能を搭載したサービスをさします。
ASPは比較的安価に使用できるのがメリットです。中には無料のものもあり、低コストでネットショップを構築したい方に向いています。有料でも数千円~数万円程度のものが多いため、10万円程度の予算を確保しましょう。
【~10万円程度】ECモールに出店する
多くの事業者が集まって商品を販売するWebサイトをECモールと呼びます。ECモールを運営する企業が用意したシステムを活用すれば、独自サイトを開発する場合と比較して手間やコストがかからないのがメリットです。
ただし、ECモールのシステムを利用するため、出店料や月額料金といった手数料がかかります。ネットショップを開業する段階で、10万円程度の予算が必要です。
【~500万円程度】オープンソースソフトウェアを使用する
ソースコードを公開しているソフトウェアを総称して「オープンソースソフトウェア」と呼びます。ECサイト向けのオープンソースソフトウェアは、ASPと同様に必要な機能がそろっていて開発しやすいのがメリットです。
さらに、プラグインの開発が活発で、人気があるソフトウェアは自社のニーズに添ったプラグインを見つけやすいのも特徴といえます。
ASPよりカスタマイズしやすく、オリジナリティがあるネットショップを開発したい方におすすめです。開発工程がやや複雑になる分、コストがかかるため、100万円~500万円の予算を確保しましょう。
【500万円程度~】ECパッケージを使用する
よりオリジナリティがあるネットショップを開発したいなら、ECパッケージがおすすめです。ネットショップに必要な機能をまとめた市販のソフトウェアで、サーバーにインストールして使用します。
機能を細かくカスタマイズし、扱う商品の種類に応じて柔軟に設計できるのが特徴です。ASPやオープンソースソフトウェアで対応できない場合や事業規模がある程度大きい場合に向いた方法といえます。
ただし、大規模化・複雑化しやすいため、コストがかかります。500万円以上の予算を確保した上で開発に臨みましょう。
【500万円程度~】フルスクラッチで開発する
既存のソフトウェアで対応できない機能が必要といった理由で、一からネットショップを開発するのがフルスクラッチです。既存のソフトウェアを使用しないため、設計の自由度が高いというメリットがあります。大規模なネットショップを開発する場合に向いている方法です。
一方、デメリットとして、開発が複雑化しやすく多くの時間とコストがかかることが挙げられます。開業資金の目安は500万円以上といわれていますが、大規模かつ複雑なネットショップは1億円以上かかることもあるため注意しましょう。
【プログラミングでのECサイト構築について深く知りたい方はこちら!】
ECサイトの作り方と必要なプログラミング言語!構築方法ごとの難易度も紹介ネットショップの開業資金で見逃せない設備・機器の調達費用
これからネットショップを開業する場合、必要な機材を調達しなければならないケースがあります。ここでは、ネットショップの開業・運営に欠かせない代表的な機材と調達費用の目安を見てみましょう。予算を考えるときは、Webサイトの開発費用だけでなく機材にかかる費用も忘れずに計算する必要があります。
20万円/台】業務用PC
ネットショップの運営にはPCが欠かせません。PCがなければ受発注管理や顧客とのコミュニケーション、商品ページの作成は難しくなります。
規模が小さく、既存のPCで業務を進められる場合は新たなPCを調達する必要はありません。ただし、新たな部署を設置するときや人員を増やすときはPCを用意しましょう。
ネットショップの運営では商品画像や解説動画を扱うケースが多いため、十分なスペックを備えたPCが必要です。1台につき20万円の予算を確保することをおすすめします。
【数万円~数十万円】撮影用機材
ネットショップに掲載する画像や動画を撮影するには、カメラや三脚、グリーンバックといった撮影用機材が必要です。中でもカメラや三脚は価格帯が幅広いため、予算や性能に応じて適切なものを選びましょう。
撮影用機材にかかる費用は数万円~数十万円が目安です。まずは予算を決めて選択の幅を狭めると選びやすくなります。予算内で購入できる機材から、必要な機能・性能を備えたものを選択するのが基本です。
ネットショップ参入に必要なそのほかの開業資金
開業で必要なコストの中には、見落としやすいものや扱う商品によって必要かどうかが変わるものもあります。以下では、開業資金を計算するときに抜け落ちやすい3つの費用を見てみましょう。
自社が扱う商品をオンラインで販売する際に、費用がどの程度かかるかを把握することが大切です。
商品の製造・仕入れ費用
どのような商品を扱うとしても、製造・仕入れ費用が必要です。受注生産品を含め自社でオリジナルの商品を生産するなら製造費用、既製品を販売するなら仕入れ費用が発生します。
ソフトウェアや映像コンテンツを販売する場合は開発費用や制作費用がかかり、これらも広義の製造・仕入れ費用に含まれます。
商品がなければ販売できないため、製造・仕入れ費用を計算するのを忘れないように注意しましょう。具体的な金額は扱う商品の種類によって大きく異なります。
許認可の取得費用
取り扱う商品によっては、法令に基づいて許認可を取得しなければなりません。許認可が必要な商品の例は以下のとおりです。
- 酒類:通信販売酒類小売業免許
- 中古品:古物商許可
- 一部の食品:営業許可
- 医薬品:店舗販売業許可・薬局開設許可・特定販売許可届出
同じような商品でも、許可が必要なものと不要なものにわかれるケースがあるため、許認可を管轄する公的機関に確認しつつ準備を進めましょう。
スタッフの人件費
運営に携わるスタッフの人件費も忘れずに計上しましょう。必要なスタッフの数は、扱う商品の種類や事業規模によって大きく異なります。
基本的に、事業規模に応じて最適な数のスタッフでネットショップを運営することが大切です。既存スタッフを割り当てるケースでも新たにスタッフを採用するケースでも、不足や過剰が生じないようにしましょう。
ネットショップの運営に必要な費用の例
実際のネットショップ運営では、一定のランニングコストが発生します。ネットショップを運営している限りかかるため、必要な費用をチェックしておきましょう。
また、ネットショップは実店舗の運営とは異なるコストが発生する場合があります。新たに参入する方は想定外のコストに慌てないよう、事前に確認することが大切です。
梱包代・配送代
ネットショップは実店舗と異なり、購入者が商品を直接自宅に持ち帰れません。購入者の手元まで商品を届けるには、適切に梱包して運送会社に輸送を依頼する必要があります。
梱包資材の代金や運送会社に支払う配送代が発生するため、商品の販売価格を決めるときは考慮しましょう。具体的な金額は商品の重量やサイズ、依頼する運送会社によって異なることから、正確に見積もることが大切です。見積もりが甘いと輸送コストが原因で赤字になるリスクもあるため、十分に注意しましょう。
倉庫代
仕入れた商品を販売するまで保管する倉庫も欠かせません。自社で倉庫を建設する方法や倉庫業者に委託する方法があり、いずれも倉庫代が発生します。
在庫を多く確保する場合や大型の商品を扱う場合は倉庫代が高くなりやすいため、この点を意識してコストを試算しましょう。小型商品をメインとしていて自社のオフィスで在庫を保管できる場合など、倉庫代がかからないケースもあります。
ソフトウェアの使用料
ネットショップの運営には、さまざまなソフトウェアを駆使します。サブスクリプションタイプのソフトウェアを使用する際は、定期的に支払わなければなりません。開業・運営段階で必要なソフトウェアの例は以下のとおりです。
- Webサイト制作に使用するソフトウェア
- ネットショップ関連のソフトウェア
- 画像編集・動画編集に使用するソフトウェア
まずはネットショップの運営に必要なソフトウェアが何かを考えましょう。似たようなソフトウェアが複数あるケースもあるため、機能と料金のバランスを考えて最適なものを選ぶことが大切です。
ネットショップの開業費用を適正化する方法
新規でネットショップを開業するにはある程度のコストがかかるため、開業資金が利益を圧迫することがあります。利益を確保するにはコストの適正化が必要です。ここでは、開業費用を適正化するためにできる2つのことを紹介します。扱う商品やターゲットを考慮して、ネットショップを開業しましょう。
事業規模に応じた方法でネットショップを設計・構築する
新しくネットショップを開発する方法はいくつか存在し、事業規模によって適した方法が異なります。選択する方法によって必要な資金は異なり、10万円程度から数百万円以上と幅広いのが特徴です。
一例として、小規模なネットショップを安価に開発するならASP、大規模で取引金額も多ければECパッケージやフルスクラッチを選ぶとコストを適正化できます。
まずは自社の事業規模と予想される売上を可視化し、適したネットショップの開発方法を考えましょう。
【ネットショップの開業について深く知りたい方はこちら!】
ネットショップを開業する7つの手順を紹介!必要な機材や成功のポイントとはECモールへの出店を検討する
自社サイトとしてネットショップを開業するのではなく、既存のECモール内に出店するのもおすすめです。ECモールへの出店は、自社サイトの開発に比べて低コストで済みます。
また、有名なECモールはすでに多くのユーザーが利用していて、自店舗の存在や扱っている商品をアピールしやすいのも魅力です。比較的参入しやすく開業後の集客面でも強みがあるため、積極的にECモールへの出店を検討しましょう。
7.ネットショップの開業資金が不足した時の対処法
想定外の出費が発生したり予想以上に開発費が高騰したりすることで、開業資金が不足するケースも考えられます。このような状況に陥ったときの対処法を見てみましょう。不足した資金を補う方法はいくつかありますが、自社が置かれた状況を確認して適切な方法を選ぶことが大切です。
融資を受ける
ネットショップの開業や運営に限らず、ビジネスに必要な資金を調達する方法のひとつが融資です。必要な資金の具体的な金額や返済計画をきちんと策定し、無理のない計画であることを確認してから金融機関に相談しましょう。
具体的な融資条件は金融機関によって異なります。自社がどの程度の融資を受けられるかわからないときは、日頃から取引がある金融機関に確認してみましょう。
補助金制度を活用する
国や地方公共団体が実施する補助金・助成金を活用する方法もあります。一例として、2024年4月時点でネットショップの開業に使える補助金・助成金は以下のとおりです。
- IT導入補助金
- 事業再構築補助金
- 小規模事業者持続化補助金
補助金・助成金の種類によって受給するための条件や対象者は異なります。まずは自社が条件に該当しているか確認し、該当するなら積極的に活用しましょう。補助金・助成金を活用することで、自社の負担を軽減できます。
時期によって実施している補助金・助成金の種類や条件が変わるため、利用する際は各補助金・助成金の公式Webサイトを確認しましょう。
参考『IT導入補助金』
参考『事業再構築補助金』
参考『小規模事業者持続化補助金』
8.集客しやすいECモールをお探しの方は楽天市場へ!
比較的低コストでネットショップを開設でき、運営面でも大きなメリットを享受できるのがECモールへの出店です。効率的に売上を伸ばしたいなら、ユーザーが多いECモールを選びましょう。
どのECモールに出店するか悩んでいる方は、ぜひ楽天市場をご検討ください。ここでは、楽天市場に出店するメリットを紹介します。
1億以上の楽天ID数を発行していて集客に強い
楽天市場は多くのユーザーが利用していて、活気があるECモールです。発行している楽天ID数は1億以上にのぼります。
利用者が多いということは、それだけ自店舗の存在や扱う商品をアピールしやすいことを意味します。自社の商品やターゲットとする顧客層に応じた販促活動を展開することで、より多くのユーザーにアプローチできるのがメリットです。
楽天市場ではセールやキャンペーンといった販促活動に役立つ施策も実施しています。ぜひご活用ください。
比較的安価な料金で出店できる
低コストでネットショップを開設・運営できるのも、楽天市場に出店するメリットです。楽天市場への出店にかかるコストは、月額出店料・システムサービス利用料金・楽天ペイ利用料の3つに分けられます。
事業規模に応じて3つのプランを用意しており、月額2万5,000円~13万円で出店可能です。なお、新規出店時には初期登録費用として6万円かかります。
集客力に強みがある楽天市場に比較的低コストで出店できるため、ネットショップのコストを最適化したいなら、ぜひご検討ください。
9.まとめ
新たにネットショップを開業する際はコストがかかるため、取り扱う商品の種類や事業規模に応じた適切な開業資金が必要です。
多額のコストをかけずにネットショップを開設したいなら、ぜひ楽天市場への出店をご検討ください。楽天市場はユーザー数が多く、販路を広げやすいのが大きなメリットです。いくつかの出店プランがあり、自社のビジネススタイルに合ったものを選べます。