AI（人工知能）について

近年、AIは絵画、音楽、文章など、さまざまな芸術の領域に進出し、まるで人が生み出したかのような創作物も登場するようになりました。名前詩の分野も例外ではありません。実際にAIによって創作された名前詩を提供しているショップも存在します。

結論から申し上げると、私は現在、AIを使って名前詩を創作するつもりはありません。 これはAIの技術を否定しているわけではなく「なぜ自分自身で創作を続けるのか」という理由が明確にあるからです。 その理由は、大きく2つあります。

私にとっての名前詩創作は、単なる仕事や業務ではありません。 人生を豊かにしてくれる“生きがい”となっています。 私は金銭的な報酬よりも、作品を通じて誰かの心が動いたときに得られる精神的な報酬にこそ、高い価値を感じています。 ご依頼者様の想いを受け取り、そこに感情を重ね、言葉を形にしていく――この過程そのものに、大きな喜びと意味を見出しているのです。 だからこそ、AIに限らず、私は創作を他者に任せたいとは思わないのです。

「自分の生きがい」という理由だけでは単なる自分本位になります。 創作をAIに任せないもう一つの理由は、私の創作が、まだAIに負けていないと実感できているからです。 あるとき、お客様より「AIに名前詩を作らせたので、そちらと比べて良い方を採用したい」というご要望を受けました。 そのAIによる名前詩は、情報の反映も的確で、文章もなめらか。温もりすら感じられる完成度でした。きっとプロンプトの指示も非常に工夫されたものだったのでしょう。 それでも最終的に、お客様は私が創作した名前詩を選んでくださいました。 この出来事に限らず、私はAIよりも感動的な作品を創る事ができると考えています。 ではAIによる創作と私の創作との違いは何でしょう。

AIが生み出す文章は確かに自然で美しいものです。ですが、そこには「体験に裏打ちされた感情」がありません。 人間は、喜び・悲しみ・怒り・愛情といった、複雑で深い感情を実際に経験しています。そうした経験が言葉選びに影響を与え、読む人の心を打つのだと思います。 たとえば、あるご依頼で「優しさへの感謝」と「元気でいてほしいといった思い」を名前詩で伝えたい、いう要望があるとします。 AIであれば、「優しさをありがとう」「これからも元気でいてね」といった、求められた通りの表現で創作するでしょう。 けれども、ご当人のくらしが「独りで頑張っているといったような状況」であるとすれば、私は現状を汲み取り「元気でいてくれてありがとう」と表現します。 これは依頼者の要望に対して忠実ではないのかもしれませんが、私はご当人の背景を想い、心に一番響く言葉を直感で選びます。 背景を想い、推し量ることや配慮も含めて、時には忠実とならない言葉選びを実行することが、今のAIにはまだ難しいところだと感じています。

AIは今この瞬間も急速に進化し続けています。 1年前は形にもならなかった名前詩の創作、今では「◯◯という名前で名前詩を作ってください」と入力するだけで、自然なつながりのある名前詩が生成されるようになりました。 1年後、5年後には私の想像を超える存在になっているでしょう。 それでも私は、人間にしか表現できない「本当の感動」を追い求めていきたいと思っています。 まだ“負けていない”という実感がある限り、私は名前詩を創作し続けます。 もちろんスピードでは勝てませんが、じっくりと時間をかけて、更なる感動を追及するような名前詩を創作させていただきます。