20数年前に出張で盛岡を訪れた際に岩鋳さんの鉄瓶と出会ったのが南部鉄器との最初の出会いでした。
その時は帰りの飛行機に手荷物として持ち込めそうもなかったことや、そのお値段にビビッて購入をあきらめて帰ってきてしまったんですが、後になって「あの時買っていればなぁ…」と思うことしきりでした。
鉄瓶とは異なるし、産地も違いますが、南部鉄器をやっと手にすることができました。
時を経て、盛岡鋳物や山形鋳物の華やかな雰囲気より、水沢鋳物のすっきりした雰囲気が好いと思うようになったのと、内面にホーロー加工等がされていないこと、釜の形状が炊飯時に米がよく対流しそうなことと、熱がよく回りそうに思うことから、この製品に決めました。
実際に手にとってみて思ったのは、「この釜、重すぎん?」ということでした。毎日使うものなので、この重さで使いこなせるのかと不安が頭をよぎりましたが、実際に使ってみると、ズッシリとしているものの、ご飯を炊いてもどうにか片手で持てるので、重さはあまり気にしなくなりました。
商品到着後、商品に添付の説明書やしおりにそって、釜本体の油ならしをし、あわせて鍋蓋もオーブンで軽く焼いて内側だけ油ならししてから、さっそく使ってみました。
自動炊飯キーでコンロ任せで炊飯しましたが、おこげもなくちゃんと美味しいご飯が炊けました。
炊いたご飯は、水分量・甘み・食感が好く、米粒の外側はキュッとしまった感じの張りとツヤがあり、噛むとモチモチした食感で、粘りを内側に閉じ込めたばらけた感じの粒立ちの良いごはんになりました。
おろしたてなので、ご飯が炊き上がった時の鉄のにおいが少し気になりますが、使っていくうちに慣れると思いますし、馴染んでくるうちに匂いも気にならなくなると思うので、今しばらくは仕方ないと思うことにしています。
炊いたご飯は、お櫃に入れて冷ましてからいただいていますが、土鍋や圧力鍋などの他の鍋で炊いたものより食味がよく甘いので、本当に買って良かったと思います。
手入れは、ジオプロダクトのステンレス多層鋼鍋や圧力鍋に比べれば手間ですが、土鍋と同等かそれ以下の手間なので、きちんと手入れして、長く使い続けて育てていき、愛用したいと思います。