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春風と運命の出会い 読み物

公開日:2025/03/12 更新日:2025/03/24
春の陽光が眩しい午後、私は愛犬のコタロウと共に、近所の公園へと足を運んでいた。コタロウは、人懐っこい柴犬のオス。春の訪れに心躍るように、尻尾を振りながら私の周りを駆け回っている。 「コタロウ、ゆっくり歩いて。今日は良い出会いがあるかもしれないよ」 私はそう言って、コタロウのリードを少しだけ引いた。公園のベンチに腰を下ろし、コタロウを膝の上に乗せる。暖かい日差しが、冬の寒さで凝り固まった体をゆっくりと解きほぐしていく。 ふと、視線を感じて顔を上げると、公園の入り口付近に佇む男性が目に入った。彼は、黒いキャップを目深に被り、グレーのパーカーを着ている。その姿は、まるで公園の風景に溶け込んでいるかのようだった。
男性の視線は、私ではなく、コタロウに向けられていた。彼は、コタロウの愛らしい姿に惹きつけられているようだった。 「可愛い犬ですね。柴犬ですか?」 男性が声をかけてきた。その声は、低く、落ち着いていた。 「はい、コタロウといいます。人懐っこくて、誰とでも仲良くなれるんです」 私はそう言って、コタロウを男性に近づけた。コタロウは、男性の足元に駆け寄り、尻尾を振って挨拶をした。 「コタロウ、良い子だね」 男性はそう言って、コタロウの頭を撫でた。その時、彼の指先がコタロウの首輪に触れた。 「あれ?この首輪、僕が作ったものに似ているな」 男性はそう言って、コタロウの首輪をじっと見つめた。 「え?あなたが作ったんですか?」
私は驚いて、男性に尋ねた。 「はい。僕は、革製品の職人をしています。この首輪は、僕が数年前に作ったもので、デザインが特徴的なんです」 男性はそう言って、コタロウの首輪を丁寧に触った。 「まさか…。この首輪、私がコタロウを引き取った保護施設にあったものなんです。もしかして、コタロウの前の飼い主さんですか?」 私は、信じられない気持ちで男性に尋ねた。 「そうかもしれません。コタロウにそっくりな犬を飼っていたことがあって、その犬がいなくなってしまったんです」 男性は、少し寂しそうな表情でそう言った。 「コタロウ…」 私は、コタロウを抱きしめた。コタロウは、私の腕の中で、嬉しそうに尻尾を振っている。 「もし、よろしければ、コタロウについてもう少し詳しく教えていただけますか?」 男性は、私にそう尋ねた。
私たちは、公園のベンチに座り、コタロウについて話をした。コタロウの性格、好きな食べ物、得意なこと。話しているうちに、男性は、コタロウが自分の飼っていた犬に間違いないと確信した。 「やっぱり、コタロウは僕の犬だ。でも、今のコタロウは、あなたと一緒にいる方が幸せそうだ。だから、コタロウのことは諦めます」 男性は、そう言って、寂しそうな笑顔を浮かべた。 「そんな…。でも、コタロウはあなたにも会えて、きっと喜んでいます。もし、よろしければ、これからもコタロウに会いに来てください」 私は、そう言って、男性に連絡先を交換した。 それから、私たちは、時々公園で会うようになった。コタロウは、男性に会うと、嬉しそうに駆け寄り、尻尾を振った。男性も、コタロウを優しく撫で、一緒に遊んだ。 春風が運んできた、不思議な出会い。コタロウは、二人の絆を繋ぐ、大切な存在となった。
読み物シリーズ
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