犬と月面旅行　読み物

「ポチ、行くぞ！」 宇宙服に身を包んだ科学者のケンタは、愛犬のポチにそう声をかけた。 ポチは、特殊な宇宙服を着て、嬉しそうに尻尾を振っている。 二人は、民間企業が運営する月面旅行ツアーに参加していた。 宇宙船は順調に地球の軌道を離れ、月へと向かっていた。 窓の外には、青い地球と、白く輝く月が浮かんでいる。 ポチは、初めて見る宇宙の景色に、目を丸くしていた。 「見てみろ、ポチ。あれが月だ！」 ケンタが指差す先には、地球の数倍もの大きさの月が迫ってきていた。 月面には、クレーターと呼ばれる無数の穴が空いている。 ポチは、その異様な光景に、少し不安そうな表情を浮かべた。 やがて、宇宙船は月面に着陸した。 ケンタとポチは、宇宙服にヘルメットを装着し、船外へと出た。

「ここは、本当に月なのか…？」 ケンタは、目の前に広がる光景に、言葉を失った。 そこには、地球とは全く異なる、白と灰色に覆われた世界が広がっていた。 地平線まで続く岩場、そして、無数に点在するクレーター。 ポチは、恐る恐る月面を歩き始めた。 「ポチ、大丈夫だ。ゆっくり行こう」 ケンタは、ポチを励ましながら、一緒に月面を歩いた。 月の重力は地球の6分の1しかないため、二人はふわふわと宙に浮いているような感覚だった。 しばらく歩くと、二人は巨大なクレーターにたどり着いた。 クレーターの中には、氷の洞窟があった。 「ポチ、ちょっと休憩しよう」 ケンタは、洞窟の中で、持ってきた宇宙食をポチと分け合った。 ポチは、初めて食べる宇宙食に、興味津々の様子だった。 休憩を終えた二人は、再び月面を歩き始めた。 すると、突然、ポチが何かに気づいたように、吠え始めた。 「どうした、ポチ？」

ケンタがポチの視線の先を見ると、そこには、月の地下都市へと続く入り口があった。 「まさか…、月の地下には、人類が知らない世界が広がっているのか…？」 ケンタは、ポチと共に、月の地下都市へと足を踏み入れた。