【月の時間】アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌとは【HERMES/エルメス】

エルメスの「アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ」（Hermès Arceau L’heure de la Lune）は、非常にユニークで革新的な高級時計であり、エルメスのクラフトマンシップと詩的なデザインの結晶です。この時計は、エルメスの「アルソー」コレクションの一部で、特にそのムーンフェイズ（L'heure de la Lune、「月の時間」）の機構が目を引きます。

「アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ」は、エルメスの象徴的なスタイルと、技術的な革新が融合した時計です。

この時計の最大の特徴は、2つのムーンフェイズ表示があることです。文字盤の上部と下部に2つの月があり、それぞれが北半球と南半球の月の満ち欠けをリアルタイムで表現します。 北半球：文字盤の上部に配置された月は、北半球で観測される月の状態を示します。 南半球：文字盤の下部には、南半球で見える月が描かれています。 通常のムーンフェイズ時計では1つの月しか表示されませんが、このモデルは2つの月を同時に表示することで、より豊かな視覚体験を提供しています。

時分と日付を表示する2つのサブダイヤルが文字盤上をゆっくりと回転します。これらのサブダイヤルは月の上を移動しながら、時間を表示するだけでなく、月を覆い隠したり再び現したりします。この動きにより、月の満ち欠けが絶えず変化するような印象を与えるのが特徴です。 このメカニズムは非常に精巧で、ダイヤルが時計回りに回転し、約59日間のサイクルでムーンフェイズを表示するようになっています。ムーブメントの精度と美しさは、スイスの時計製造技術の極みとも言えます。

この時計の文字盤には、非常に特別な素材が使用されています。たとえば、隕石やアベンチュリン（天然石の一種）などが用いられており、素材自体が一つ一つ異なるため、各時計がユニークな存在となっています。隕石文字盤は、宇宙とのつながりを象徴し、エルメスの詩的な美学を強調しています。

「アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ」は、エルメスのデザイン言語を忠実に反映しています。たとえば、馬具からインスピレーションを得たアシンメトリックなラグ（ケースとベルトの接続部）は、アルソーコレクションの特徴的な要素です。また、時分表示のフォントや細部の仕上げも、エルメスのクラフトマンシップを象徴しています。

「アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ」に搭載されているムーブメントは、エルメス専用に開発された自動巻きムーブメント H1837 です。このムーブメントは、エルメスのファインウォッチメイキングの工房で製造され、高い精度と信頼性を誇ります。 さらに、ムーンフェイズ表示を制御する追加のモジュールが搭載されており、このモジュールは非常に複雑な構造を持っています。ムーブメント全体が複雑でありながらも滑らかに動作し、時計の視覚的な美しさと技術的な完成度を高めています。

2019年に発表された最初の「アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ」は、以下のような特徴を持っています。 ・文字盤の素材：主に隕石やアベンチュリンが使われ、隕石バージョンは特に宇宙を感じさせるデザインで話題となりました。 ・ケース素材：ホワイトゴールドやプラチナが主に使用され、高級感あふれる仕上がり。 ・限定数：初期モデルは非常に限定された本数で、生産されました。

2020年には新しいバリエーションが追加され、デザインや素材に変化が見られます。 ・文字盤の新素材：2020年モデルでは、グレーの「ルナークレイ」ダイヤルやブルーの「アベンチュリン」ダイヤルなどが追加され、より多様な選択肢が提供されました。これにより、よりモダンな印象を持つモデルが登場しました。 ・ケース素材：2019年モデルと同様にホワイトゴールドやプラチナが使用されているものの、特定のモデルでは他の素材も採用され、違った風合いが楽しめるようになりました。 ・限定数：2020年モデルも限定生産されており、それぞれのバリエーションにおいて限定本数が設定されています。

「エルメス アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ」は、エルメスの詩的なデザインと時計製造の高度な技術が見事に融合した一品です。その独創的なムーンフェイズ機構と、エルメスの卓越した美学を反映したデザインにより、非常にユニークな存在感を持つ時計として知られています。 生産数も非常に限られており、多くても100本程度、少ないもので2本の生産となっており希少価値が非常に高く、時計愛好家やコレクターにとって非常に魅力的なアイテムとなっております。