秋田の隠し味「しょっつる」：日本三大魚醤が秘める深い旨味と使い方

秋田県の伝統的な調味料、ハタハタの「しょっつる」をご存じでしょうか。 石川の「いしる」や香川の「いかなご醤油」と並び日本三大魚醤の一つとして知られる「しょっつる」は、豊かな風味と濃厚な旨味が特徴的で、鍋料理など様々な郷土料理に使用されています。 その歴史は古く、その起源は江戸時代初期（17世紀）、秋田の民家では近海で豊富に獲れるハタハタなどの魚を利用して自家製のしょっつるを作っていたと言われています。 ※平安時代の文献には『醤』の記載があり、より古い歴史を持つ可能性も指摘されています。

しょっつるは、タイのナンプラーやベトナムのニョクマムと同様に、魚を原料として作られます。しょっつるの原料は主にハタハタで、塩以外の添加物をほとんど使わずに1年以上の時間をかけてじっくりと発酵させます。 寒冷地である秋田の気候を活かした製法は、まさに地域に根差した知恵と言えるでしょう。 他の魚醤と比べると、その色は比較的薄く、料理に取り入れやすいのが魅力です。また、しょっつるは出汁の代わりとしても使用できるため、和食だけでなく、パスタやドレッシングなど幅広い料理の隠し味としても活用できる汎用性の高い調味料です。

しょっつるは、その深い旨味と香りを活かして、様々な料理に活用できます。 1. 鍋料理：秋田の郷土料理「きりたんぽ鍋」や「しょっつる鍋」に欠かせない調味料です。野菜や魚介の旨味を引き立て、寒い季節にぴったりの一品に仕上がります。 2. 煮物：大根や人参などの野菜と肉を、しょっつるで味付けすることで、出汁いらずの旨味たっぷりの料理が簡単に作れます。 3. 炒め物：野菜炒めや焼きそばに隠し味として使うと、深みのある味わいに。 4. ドレッシング：マヨネーズに混ぜたり、オリーブオイルと合わせてサラダのドレッシングとしても。

しょっつるはその風味が強い分、使い過ぎにご注意を。小さじ1杯程度から始めて、少しずつ味を調整すると良いでしょう。 また、塩分を含んでいるため、他の調味料とのバランスも考慮してください。

しょっつるの深い旨味と温かみのある風味は、鍋料理や煮込み料理と相性抜群です。 最近では秋田県外でも注目され、じわじわと人気が高まっています。寒い日に熱々のしょっつる鍋を囲めば、心も体も温まること間違いなしです。