女性のための歯槽膿漏情報

歯槽膿漏（しそうのうろう）は、歯周病の重度の段階で、歯を支える骨や歯茎に炎症が広がり、最終的には歯が抜け落ちる可能性がある病気です。初期の段階では歯肉炎として現れ、進行すると歯周炎となり、さらに悪化すると歯槽膿漏へと発展します。

女性は男性に比べてホルモンバランスの影響を受けやすく、特定のライフステージで歯周病のリスクが高まります。 1. 思春期 思春期には女性ホルモン（エストロゲン、プロゲステロン）の増加により、歯茎が腫れやすくなります。特に、適切な歯磨きができていない場合、歯肉炎が発生しやすくなります。 2. 妊娠期 妊娠中は「妊娠性歯肉炎」と呼ばれる歯茎の炎症が起こりやすくなります。ホルモンの変化が歯周病菌の増殖を促進し、歯茎の腫れや出血の原因となります。また、重度の歯周病は早産や低体重児出産のリスクを高めることが報告されています。 3. 更年期 更年期に入ると、女性ホルモンの減少によって歯茎の血流が悪化し、歯周組織が弱くなります。また、骨密度の低下と関連し、歯槽骨がもろくなるため、歯槽膿漏のリスクが高まります。

歯槽膿漏の症状は以下のようなものがあります。 ・歯茎の腫れや赤み ・歯磨き時の出血 ・口臭の悪化 ・歯のぐらつき ・膿が出る ・噛むと違和感がある 初期段階では痛みが少なく、自覚症状がないことが多いため、定期的な歯科検診が重要です。

歯槽膿漏は予防が可能な病気です。以下のポイントを実践することで、歯と歯茎の健康を守ることができます。 1. 正しい歯磨きの実践 歯磨きのポイントは以下の通りです。 ・1日2回以上の歯磨き（特に就寝前は重要） ・歯間ブラシやフロスの使用（歯と歯の間のプラークを除去） ・柔らかめの歯ブラシを使用（歯茎を傷つけないようにする） ・歯磨き粉の選択（フッ素配合や抗菌成分入りのものがおすすめ） 2. 食生活の改善 栄養バランスの取れた食事は歯茎の健康を維持するのに役立ちます。 ・カルシウム（乳製品、小魚、大豆製品） ・ビタミンC（柑橘類、緑黄色野菜） ・ポリフェノール（緑茶、赤ワイン、ブルーベリー） ・糖分の摂取を控える（虫歯・歯周病の原因となる） 3. 定期的な歯科検診 半年に一度は歯科検診を受けることで、初期の歯周病を早期発見し、適切なケアを受けることができます。プロによるクリーニング（スケーリング）で歯石を除去することも重要です。

歯槽膿漏が進行してしまった場合、以下の治療が行われます。 1. スケーリング・ルートプレーニング 歯科医院で行うクリーニングで、歯の表面や歯周ポケット内の歯石・プラークを除去し、歯茎の炎症を抑えます。 2. 抗生物質の投与 感染が進んでいる場合は、抗生物質の服用や塗布が行われ、細菌の増殖を抑えます。 3. 外科治療 重症の場合は、歯茎を切開して膿や感染組織を取り除く手術（フラップ手術）が行われることがあります。 4. 歯周組織再生療法 歯槽骨が失われた場合、エムドゲイン療法やGTR法などの再生療法で組織を回復させることが可能です。

歯槽膿漏は、放置すると歯を失う深刻な病気ですが、正しいケアを行うことで予防・改善が可能です。特に女性はホルモンバランスの影響を受けやすいため、ライフステージごとに適切なケアを心掛けることが大切です。毎日のオーラルケアと定期的な歯科受診を忘れず、美しい歯と健康な歯茎を維持しましょう。