熱中症対策の水分補給と口腔環境

～夏の健康を守るための正しいケアとは？～ はじめに 年々猛暑が厳しさを増す日本の夏。熱中症対策の基本は「こまめな水分補給」とよく言われますが、実はこの水分補給が「口腔環境」にも深く関わっていることをご存知でしょうか？ 熱中症対策としての水分補給はもちろん重要ですが、摂取する飲み物の種類やタイミング、さらにその後の口腔ケアの有無によって、お口の中の環境は大きく変化します。虫歯や歯周病、口臭などのリスクを高めてしまうこともあるのです。 この記事では、夏の暑さと水分補給、そして口腔環境との関係について詳しく解説しながら、熱中症対策とお口の健康を両立させるためのポイントをご紹介します。

＜なぜ水分補給が必要なのか？＞ 気温が高くなると、人間の体は汗をかいて体温を調節しようとします。大量の汗とともに体内の水分やミネラルが失われると、体温調節機能がうまく働かなくなり、熱中症を引き起こす恐れがあります。そのため、「こまめな水分補給」が重要視されているのです。 ＜どんな飲み物がよい？＞ 一般的には以下のような飲み物が推奨されます： ・水：最も基本的で安全な水分補給手段。特に運動後や日常生活中の補給に最適。 ・経口補水液（ORS）：ナトリウムなどの電解質がバランスよく含まれ、熱中症のリスクが高いときに適しています。 ・スポーツドリンク：電解質と糖分を含み、運動時の水分補給に便利。ただし糖分が多いため、口腔ケアが必要です。

＜糖分入り飲料による虫歯リスクの増加＞ 夏は炭酸飲料やスポーツドリンク、ジュースなどの冷たい甘い飲み物を口にする機会が増えます。これらには多くの糖分が含まれており、飲んだ後に歯を磨かずにいると、口内の細菌が糖分をエサに酸を作り出し、歯を溶かしてしまいます。つまり、熱中症対策のために飲んでいるはずの飲料が、虫歯の原因になってしまうのです。 ＜唾液の減少による口腔環境の悪化＞ 汗をかいて脱水状態が続くと、体内の水分が減少するだけでなく、唾液の分泌量も減ってしまいます。唾液には以下のような重要な働きがあります： ・食べかすや細菌を洗い流す自浄作用 ・酸を中和する緩衝作用 ・歯の再石灰化を促す ・口臭を抑える 唾液の分泌が減ると、これらの機能が低下し、虫歯や歯周病、口臭のリスクが高まるのです。

＜水分補給の後は「うがい」が基本＞ 甘い飲料や酸性度の高いスポーツドリンクを飲んだ後は、すぐに歯磨きができない場合でも、水で口をゆすぐだけでも効果があります。糖分や酸を口内から洗い流すことで、虫歯のリスクを軽減できます。 ＜唾液の分泌を促す工夫を＞ 脱水を防ぐだけでなく、口腔環境を守るためには唾液の分泌を意識的に促すことが大切です。 ・よく噛んで食べる（特にキシリトールガムや繊維質の多い食品） ・こまめな水分摂取 ・お口の体操（「パ・タ・カ・ラ体操」など） また、特に高齢者やエアコンの効いた室内に長時間いる人は、口の中が乾燥しやすいため、保湿ジェルやマウススプレーなどの保湿グッズの使用もおすすめです。 ＜寝る前のケアを忘れずに＞ 就寝中は唾液の分泌が減少するため、虫歯や歯周病菌が活動しやすい時間帯です。夏は特に冷たい甘い飲料を夜に飲んでしまうことが多いため、寝る前の歯磨きやフロス、洗口液の使用を習慣にしましょう。

夏の口腔環境を守るには、以下のようなケアグッズも効果的です： ・キシリトール配合ガム：唾液を促し、虫歯予防にも有効 ・ノンシュガーの経口補水液：糖分を控えつつ水分とミネラルを補給 ・口腔保湿ジェルやスプレー：乾燥しがちな口腔内の保湿に 低刺激のマウスウォッシュ：夏の疲れたお口をさっぱりリフレッシュ

夏の熱中症対策としての水分補給は命を守る重要な行動ですが、選ぶ飲料やその後の口腔ケアを意識することで、お口の健康も同時に守ることができます。特に暑さが本格化するこれからの季節は、 ・飲み物の選び方に注意 ・唾液分泌の促進を意識 ・うがい・歯磨きの習慣化 といったシンプルな行動の積み重ねが、お口と体の両方の健康維持につながります。ご家族やお子さまと一緒に、正しい夏のオーラルケア習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか？