口の中に突然できる痛みを伴う炎症、それが「口内炎」です。食事のたびにしみたり、話しにくくなったりするだけでなく、繰り返し発生することでストレスにもなります。しかし、口内炎の正確な原因は未だに完全には解明されておらず、さまざまな要因が関与していると考えられています。この記事では、口内炎の原因や症状を詳しく解説し、対策方法についても紹介します。
口内炎とは、口の中の粘膜に炎症が生じる症状の総称です。頬の内側や舌、唇の裏、歯ぐきなど、どこにでもできる可能性があります。白っぽい潰瘍(かいよう)ができたり、赤く腫れたりすることが多く、痛みを伴うことが特徴です。
一般的には数日から2週間程度で自然に治ることが多いですが、なかなか治らない場合や頻繁に発生する場合は、体の不調や病気が関係している可能性もあります。
口内炎にはいくつかの種類があり、それぞれ原因や症状が異なります。
① アフタ性口内炎(最も一般的)
「特徴」
小さな白い潰瘍ができる
直径1~10mm程度
強い痛みを伴う
1~2週間で自然に治癒する
「原因」
ストレスや疲労
栄養不足(特にビタミンB2・B6・鉄分)
免疫力の低下
② カタル性口内炎(刺激が原因)
「特徴」
口の粘膜が赤く腫れたり、ただれたりする
口の中にヒリヒリした痛みを感じる
唾液の分泌が増えることもある
「原因」
歯の矯正器具や入れ歯の刺激
熱い食べ物による火傷
歯磨き中の傷
③ ウイルス性口内炎
「特徴」
口内炎とともに発熱や倦怠感が出ることがある
口の中に複数の水疱ができることが多い
「主な原因となるウイルス」
ヘルペスウイルス(ヘルペス性口内炎)
コクサッキーウイルス(手足口病など)
④ カンジダ性口内炎(真菌が原因)
「特徴」
口の中が白っぽくなる
痛みは軽いが違和感が強い
免疫力が低下している人に多い
「原因」
免疫低下(糖尿病・HIV・抗生物質の長期使用)
口腔ケア不足
⑤ アレルギー性口内炎
「特徴」
口の中に違和感やヒリヒリ感がある
口の中の粘膜が腫れることがある
「原因」
歯科治療の材料(銀歯・アマルガムなど)
食品アレルギー(ナッツ・甲殻類など)
口内炎はさまざまな要因が複雑に絡み合って発生します。以下に、代表的な原因を紹介します。
① 栄養不足
ビタミンB2・B6不足 → 口内粘膜の修復が遅れる
鉄分不足 → 貧血気味になり、粘膜が弱くなる
② 免疫力の低下
睡眠不足やストレス
過労
風邪やインフルエンザにかかった後
③ 物理的な刺激
歯ブラシで粘膜を傷つける
口の中を噛んでしまう
熱い食べ物・辛い食べ物の摂取
④ ウイルス・細菌感染
風邪やインフルエンザなどのウイルス感染
ヘルペスウイルスによる口内炎
⑤ 口腔内の清潔不足
歯磨きを怠ることで細菌が繁殖しやすくなる
口が乾燥することで雑菌が増えやすくなる(ドライマウス)
① 早く治すための対策
「ビタミンB2・B6を摂取」
牛乳・レバー・納豆・卵などを意識的に食べる
「口腔内を清潔に保つ」
食後はしっかり歯を磨く
うがい薬を使う(殺菌効果があるもの)
「口内炎用の薬を使用」
市販の「口内炎パッチ」「軟膏」を使用
「刺激物を避ける」
辛い食べ物・熱い食べ物・アルコール・タバコを控える
② 予防のための習慣
「栄養バランスの取れた食事」
野菜・果物・タンパク質をバランスよく摂取
「規則正しい生活」
睡眠をしっかりとる(7時間以上が理想)
ストレスをためない(適度な運動・趣味の時間)
「口の中を傷つけない」
歯ブラシはやさしく使う
食事はゆっくり噛んで食べる
「口の中の乾燥を防ぐ」
水をこまめに飲む
ガムを噛んで唾液の分泌を促す
通常、口内炎は1~2週間で自然に治りますが、以下のような場合は病院で診てもらうのが良いでしょう。
2週間以上治らない
痛みがどんどん強くなっている
口内炎が頻繁にできる
発熱や倦怠感を伴う
口内炎が長引く場合、ベーチェット病や口腔がんなどの病気の可能性もあるため、念のため専門医(歯科・耳鼻咽喉科)を受診しましょう。
口内炎の原因は多岐にわたりますが、栄養不足・免疫低下・物理的刺激が大きな要因です。普段からバランスの取れた食事、十分な睡眠、口腔ケアを意識し、口内炎を予防しましょう。また、長期間治らない場合は医師の診察を受けることをおすすめします。