パソコンの保存容量の不足やスペック向上を目的として、内蔵SSDを交換・増設することがあります。
内蔵SSDは、家電量販店やオンラインショップなどで購入できますが、実際にユーザー自身がパソコンで内蔵SSDを利用しようとした際に課題となるのが、内蔵SSDの取り付け方法です。
この記事では、内蔵SSDの取り付けの際に必要なものと取り付け方、そして取付時のポイントについて解説します。
まずは、内蔵SSDを取り付ける際に必要となるものについて解説します。
内蔵SSDの取り付けには、大まかに以下のものが必要となります。
・取り付ける内蔵SSD
・ケーブル
・マウンター
・取り付け用ネジ
・ドライバー
ポイントごとにまとめて見ていきましょう。
内蔵SSDを購入すると、それだけでパソコンに取り付けできると考えてしまいがちです。
しかし、内蔵SSDとしてパソコンで利用するためには、パソコンのマザーボードと接続する必要があります。
内蔵SSDをマザーボードに接続する方法には、大きく分けて2種類あります。
ひとつは、SATAケーブルを使ってマザーボードとSSDを接続する方法です。
この方法は、主に一般的な2.5インチSSDを使用する際に採用されます。
SATAケーブルの一端をSSDに、もう一端をマザーボード上のSATAポートに接続し、さらに電源ケーブルをSSDに接続する必要があります。
もうひとつは、SSDを直接マザーボード上の専用スロット(M.2スロット)に装着する方法です。
この場合、M.2 SSDやNVMe SSDを使用します。マザーボードがM.2スロットを備えていれば、SSDを直接挿入して固定するだけで接続が完了するため、SATAケーブルや電源ケーブルは必要ありません。
どちらの接続方法を採用するかは、使用するSSDの形式と、マザーボードの仕様によります。
マウンターとは、パソコンのHDD/SSDベイにSSDを装着する際に、ベイの幅に合わせるために装着するケース状の部品です。
内蔵SSDを取り付ける際に、パソコンのSSDベイとサイズが合わず、うまく固定できない場合にマウンターを使用します。
一般的には、もともと3.5インチHDDを搭載していたパソコンのHDDベイに2.5インチSSDを取り付けようとする際に利用するシーンが多いでしょう。
SSDはHDDと同様に、ネジでHDDベイに固定して使用します。
SSD製品を購入すると、多くの場合取り付け用ネジは付属します。
しかし、一部SSD製品ではネジが付属しない場合もあるため、SSDを購入する際に確認するとよいでしょう。
また、SSD・HDD固定用ネジは家電量販店やオンラインショップなどで販売されているケースも多いため、ネジだけが手元にないという場合は購入する必要があります。
なお、SSDの取り付け用ネジは一見どれも同じネジに見えますが、実は「インチネジ」「ミリネジ」や「M3」「M4」などの種類があります。
適合していない種類のネジでは正常に固定ができない、ネジ穴の破損などのリスクがあるため、取り付けようとしているSSDに適合したネジを使用しましょう。
SSDをネジで固定する際には、適合するドライバーを選ぶことが非常に重要です。
ドライバーはネジの溝にぴったり合う形状をしているため、ネジの溝に合ったドライバーを使用しなければ、ネジ穴を傷つけたり、ネジを破損させてしまう可能性があります。
一般的に、SSDやHDDのネジにはプラスドライバーが使用されます。
精密プラスドライバーと呼ばれる、刃先の細いドライバーが最適です。
ネジのサイズに合わせて適切なサイズのドライバーを選びましょう。
ドライバーを使用する際は、ネジの溝の中心に正確に合わせ、まっすぐな力で回しましょう。
無理に力を入れたり、斜めにドライバーを当てたりすると、ネジ穴を傷つける原因となります。
また、ネジを締めすぎるとネジ穴が破損して緩めることができなくなる可能性があるため、適度な力で締め付けましょう。
加えて、トルクスドライバーなど、特殊なネジに対応したドライバーも存在します。
SSDを購入する際に、付属のネジの種類を確認し、必要なドライバーを準備しておきましょう。
では、具体的な内蔵SSDの取り付け方法について、以下の2つのケースに応じて手順を解説します。
・ケーブルを用いた接続
・マザーボードに直接挿入する接続
それぞれ具体的に見ていきましょう。
SATAケーブルを用いた接続方法を解説します。
まず、パソコンのストレージベイにアクセスします。
パソコンの電源を切ってから作業を開始してください。
デスクトップパソコンの場合には、ケースを開放してHDD・SSDが収納される場所に手が届くようにします。
ノートパソコンの場合も同様ですが、ノートパソコンの場合は一般的に裏蓋を開放することとなるでしょう。
次に、マザーボードから伸びるSATAケーブル・電源ケーブルの場所を確認します。
多くの場合、すでにHDDやSSDがマザーボードと接続されているため、既存のHDD・SSDの近くにケーブルが来ている可能性が高いでしょう。
次に、本体からベイをひとつ取り出し、SSDを装着します。
ベイに固定するには、先の項目で解説したネジとドライバーを使用します。
装着が完了したら、ケース本体に戻しましょう。
次に、ケーブルを接続します。
すでにマザーボードからどのSSD・HDDにも接続されていないケーブルが伸びている場合には、それをそのまま接続します。
ケーブルの空きがない場合には、マザーボードにあるSATA・電源ポートに新しいケーブルを接続し、SSDとの間を接続します。
これでケーブルを用いたSSDの取り付けは完了です。ケースや裏蓋をもとに戻しましょう。
マザーボードに直接挿入する接続の場合には、ケーブルに関する接続手順が不要となります。
先の手順と同様にパソコンの電源を切り、ケースまたは裏蓋を開放します。
次に、マザーボードにあるSSDスロットの場所を確認します。
接続するSSDの尾部を固定する役割を持つ「スペーサー」と呼ばれるネジが、すでにマザーボードに装着されている場合は、これを外します。
次に、SSDスロットにSSDを挿入します。このとき、端子の角度をマザーボードに対して30度程度傾斜をつけて挿入します。
マザーボードからSSDの尾部が跳ね上がっているような格好になりますが、現時点では問題ありません。
スロットへ挿入する際には、切り欠きの形状を間違えないよう注意しましょう。
スロットに端子の金色の部分が見えなくなるまで深く挿入すると、跳ね上がっていた尾部がマザーボードに近づきます。
あとは、尾部の位置にスペーサーとなるネジを取り付ければ、取り付け作業は完了です。
内蔵SSDの取り付けを行う際には、いくつかの注意点があります。
まず、内蔵SSDの取り付けはマザーボードに直接触れる作業となります。
無理な力を加えたり強力な静電気が流れると、マザーボードが破損しパソコンそのものが使用不能となってしまう危険性があります。
静電気防止リストバンドの着用や、事前に金属に触れて放電を促す、部品に無理な力が加わらないようにするなどの慎重な姿勢が重要です。
また、取り付け後にパソコンの動作に異常が発生することを防ぐため、埃や異物の侵入に注意しましょう。
作業開始前にパソコン内部を目視で確認し、ゴミや埃が侵入している場合には、エアダスターなどで清掃してから取り付け作業を行うとよいでしょう。
ネジやケーブルは複数取り付けが必要な場合があります。
ネジをつけなくても固定されているように感じ、面倒だからとネジをすべて止めずにケースを閉じてしまうなどの工程省略は行わないようにしましょう。
SSD固定用のネジやスペーサーは、SSDを確実に固定することで振動や熱からSSDを守り、結果的に保存されているデータをも守っています。
部品の正しい装着や接続が守られていないと、SSDの故障や、それによるデータの喪失の危険が高まります。