M.2だけじゃない?SSDフォームファクター徹底解説 公開日:2025/03/11 更新日:2025/03/11
SSDを購入しようとする際には、パッケージや商品説明を見て「どれを購入すればよいのか?」と悩んでしまうケースもあるでしょう。
容量やデータ転送速度以外にも、SSDには「フォームファクター」という要素があるためです。
この記事では、SSDのフォームファクターの種類とそれぞれの特徴について解説します
SSDのフォームファクターとは、SSDの物理的な形状やサイズ、接続端子の形状などを規格化したものです。
SSD製品を購入する際に、ユーザー自身が保有しているパソコンなどの機器でそのSSDが使用できるかを判断する際の非常に重要なポイントとなります。
混同しやすい用語に「インターフェース」があります。
これには「SATA」や「PCIe」と呼ばれるパターンがあります。
インターフェースはデータ伝送方式を表した規格であり、フォームファクターよりも上位の概念といえます。
インターフェースは、データ伝送の「道筋」を決め、フォームファクターは、その道筋を通るSSDの「形状」を決めると考えるとわかりやすいでしょう。
つまり、PCIeというインターフェースを持つSSD製品の中に、M.2などのフォームファクターがある、という考え方です。
インターフェースについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
SSD製品には、複数のフォームファクターがあります。ユーザーが家電量販店や通販などで目にする機会が多い代表的なフォームファクターを解説します。
・2,5インチ
・M.2
・mSATA
それぞれ具体的に見ていきましょう。
「2.5インチ」はフォームファクターの中でも身近なものでしょう。
2.5インチのフォームファクターという用語を使う場合、一般ユーザー向けの製品ではノートパソコンなどの小型のパソコンで使用するSSD・HDDで採用されてきたフォームファクターを指します。
インターフェースはSATAで、個人向けのパソコン以外にも、外付けHDD・SSDなどでもこのタイプのSSDが使用されます。
現在はノートパソコンの筐体が極めて薄型となったこともあり、M.2フォームファクターに主流の座を譲りつつありますが、一世代前のノートパソコンや低価格帯のパソコンでは現在でも採用されているケースがあります。
「M.2」フォームファクターは、近年の薄型パソコンに接続するSSDのフォームファクターとして急速にシェアを伸ばしています。
従来のケーブルを用いた接続ではなく、直接パソコンのマザーボードに挿入する基盤型の外観が特徴です。
M.2には基盤の種類が複数あり、一般ユーザー向けの製品バリエーションとしては、以下の種類があります。
・M.2 2230
・M.2 2242
・M.2 2260
・M.2 2280
このうち、M.2 2230/2242/2260はタブレットパソコンなどの小型端末向けのフォームファクターです。
ノートパソコンやデスクトップパソコンなどで使用されているのはM.2 2280が主流です。
同じM.2フォームファクターを持つSSDであっても、基盤の形状によっては装着できません。
購入する際には、M.2に続く数字をしっかりと把握し、自分が使用している機器で使用できるものかをよく確認するようにしましょう。
mSATA(Mini SATA SSD)は、薄型ノートパソコンの一部の世代に搭載されていたフォームファクターです。
カードのような薄くコンパクトな形状で、消費電力が少ないことが特徴です。
mSATAの登場によって、従来の2.5インチ搭載ノートパソコンよりもさらに筐体を薄型にできましたが、その後にさらにコンパクトな「M.2」規格が登場したため、現在ではmSATAよりもM.2フォームファクターの採用例が多くなっています。
各フォームファクターには、形状以外にどのような特徴があるのでしょうか。
・2.5インチ
・M.2
・mSATA
それぞれ具体的に見ていきましょう
2.5インチ SSDのメリットは「旧型モデルのパソコンに対応できる」という点と「ホットスワップが可能である」点です。
2.5インチ SSDは、かつてノートパソコンに幅広く搭載されていたため、このフォームファクターを搭載した製品は数多くあります。
旧型のパソコンをスペックアップしてサブノートとして活用するケースは珍しくありませんが、このような用途では旧型のノートパソコンが最新のフォームファクターに対応していないケースが多くあります。
2.5インチのSSDは、最新型ではないパソコンであっても搭載できるケースが多いため、このような用途に適しています。
また、パソコンで使用する際にはあまり意識することはありませんが、電源を投入したまま機器の着脱ができる「ホットスワップ」に対応している点も魅力です。
複数のHDD・SSDを使用してファイルサーバーやNASを運用している場合には、2.5インチSSDをそれらの機器に流用しやすい点も魅力でしょう。
一方、最新モデルのパソコンでは2.5インチのフォームファクターに対応するSATA端子が、基盤に備えられていないケースもあります。
使用しているノートパソコンがどのフォームファクターに対応しているのかはしっかりと把握する必要があるでしょう。
M.2はケーブルを必要としないことから、パソコン側がM.2フォームファクターに対応していれば基盤に挿入して固定するだけで利用できるという手軽さがメリットです。
また、最新のPCIeインターフェースはSATAよりも圧倒的にデータ転送速度が速いという点もユーザーにとっては大きなメリットでしょう。
最新のノートパソコン、ゲーミングパソコンなど速度を重視するパソコンでは、多くがM.2フォームファクターを採用しています。
一方、高いデータ転送速度は発熱が大きくなるという特徴があり、冷却能力を正しく把握して設置する必要がある点はデメリットといえます。
また、2.5インチSSDとは異なりホットスワップには対応していません。
mSATAは、2.5インチSATA SSDとM.2の中間に位置するような特徴を持っています。
薄型であることや、基盤に直接挿入できることはM.2と似ていますが、データ転送速度については通常のSATA SSDと差がありません。
mSATAのSSDを選定して購入するケースというのは、ユーザーにとってメリットがあるためというよりは、搭載したいパソコンのSSDスロットがmSATAの仕様であるケースがほとんどでしょう。
なお、現在ではmSATAをフォームファクターとして採用しているパソコンは見かけることが少なく、mSATAのSSDを購入しようとしているユーザーは、実際に自身のパソコンがmSATAのフォームファクターに対応しているかを再度確認するのがおすすめです。