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手が濡れない。傘の進化形「Shupatto アンブレラ」開発者インタビュー

公開日:2024/11/15 更新日:2024/12/06
イノベーションだと確信した開発のはじまり
─大好評のShupatto アンブレラが生まれたきっかけから聞かせてください。 きっかけは、社長・名児耶剛との雑談でした。「濡れないために傘をさしているのに、店先で傘をベルトで閉じるときに、結局手が濡れてしまう」と言っていて。 「ベルトを使わずに、閉じるだけで生地がまとまる傘を開発できたら、その煩わしさを解消できるんじゃないか」と名児耶からアイデアが出たんです。2018年2月のことでした。 ─そこからすぐに開発がスタートしたのですか? まずは既存の傘をよく観察し、傘の内側から生地を引っ張れば、閉じたときに生地がまとまるのではないかと改造したところ、うまくいきました。
「ベルトなしで、閉じる。これは傘のイノベーションだ」と思ったんです。試作品を見せた社長も同様の反応だったので「実現したら絶対に世の中の人に喜んでもらえる」という確信をもって、本格的に開発をはじめました。
ミリ単位の調整を繰り返した5年
─アイデアが浮かんでから発売に至るまで、開発のプロセスについても教えてください。 雨の憂鬱をなくしたいという想いから始まったShupatto アンブレラは、ボタンを押す、ベルトを留めるなどの手間を減らして「開く、さす、閉じる」といった最低限の動作で完結する傘を目指しました。でも、初めてのことばかりで、5年かけて製品化に辿り着きました。想像以上に時間がかかってしまって……。
─具体的にどんな工程に時間がかかったのでしょう? まず、閉じるだけで生地が美しくまとまる傘にするために、設計チームメンバーと試行錯誤する中で、軸を中心にくるくると生地を巻き込むアイデアが出ました。よく思いついたなと自画自賛しましたが(笑)、それを実現する工程が最も苦労しました。
というのも、閉じる行為で生地を内側に巻き込むには、強く引っ張る力が必要になってしまいます。力の弱い人でも閉じられて、それでいて極力細くたためる設計に辿り着くまでに2年かかりました。 ─やはり世の中にまだないものを開発するのは、容易な道のりではないですね。 何度あきらめそうになったか……。完成までに100本近くの試作品をつくりました。課題を一つ解決したら、次の課題が出てきて。つくってはバラして組み立てて、ミリ単位の調整を繰り返しました。 5年かけてようやく、軽い力で閉じることができ、生地が外にはみ出ることなく、閉じた姿が美しい傘ができた。思い描いていた傘ができた瞬間、小さくガッツポーズをしました。
普遍的なデザインで、傘の「進化」を表現
─機能性の高い新しい傘なのに、見た目は普遍的な傘と同じ。デザインのこだわりについても教えてもらえますか? 雨の日の煩わしさをなくすShupatto アンブレラが、世の中のスタンダードになったらいいなという想いがあるんです。目指すのは、傘の変化ではなく「進化」です。
生活に馴染んでこそ新しいデザインだと思うので、奇抜な見た目ではなく、ごく普通の傘と同じにしたかった。サイズも一般的な女性用の58cmと男性用の62cmの2種類。ハンドルは、女性用は両手で握れるように細く長めに、男性用はしっかり握れるように太く短めにしました。 ─やさしい雰囲気のカラーバリエーションも豊富です。 Shupatto アンブレラを持つ人を想像しながら、色を選びました。というのも、製造の工程も部品も新しいためどうしても価格が高くなってしまうんです。だからこそ、派手な色味ではなく、ファッションを選ばず、フォーマルなシーンにも似合う落ち着きのあるカラーにしました。あとは、店頭などで並ぶことを意識して、10色の美しいバランスも考慮しました。
─どんな方に手に取ってもらいたいですか? 雨の憂鬱を手放し、暮らしをよりよくしたいと考える人でしょうか。雨の日のお出かけを億劫に感じている人、あるいは雨の日のお出かけを楽しみたい人に、ぜひ使っていただきたいですね。電車やバス、車での移動やお店の出入りなど、開閉の機会が多いほど快適さを実感していただけると思います。
雨の憂鬱がなくなるその日まで
─発売以来、特に印象に残っている反響はありますか? 発売前にポップアップイベントを開催した際に、20代の女性の方が「ずっとビニール傘を使ってきたけど、Instagramで見つけた瞬間に、買うならこの傘だ!と思った」と直接伝えてくれました。直感的にShupatto アンブレラを求めてわざわざ買いに来てくれたことがうれしかったです。 ─発売から1年も経たないうちに、公式サイトには400件近くのレビューが届いています。 本当にありがたく、すべて拝読しています。左手に障害がある方がこれなら介助なく傘を持てるとおっしゃっていたのは驚きでした。幼い子どもと手をつなぐ親御さん、犬の散歩をする方からの声も多くて。傘は一人称で持つものだけど、片手で動作が完結することで周囲にもいい影響があるのは発見でした。
─“もっとこうなったら”というリクエストも多く、期待も寄せられています。 率直なご意見をいただけるのはうれしい限りで、使い心地やデザインは発売後も日々アップデートを重ねています。その意味では、まだ完成はしてないのかもしれません。この傘がスタンダードになって、より多くの方の雨の憂鬱がなくなるその日まで、開発を続けていきます。
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