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フリースの起源にして頂点

公開日:2025/01/10 更新日:2025/01/14
新年を迎え、朝晩も一段と冷え込むようになってきました。この寒さで活躍するのがフリース素材のアイテムですよね。 そのフリースの中でもPOLARTEC(ポーラテック)という素材を聞いたことがある人も少なくはないはず。 老舗のファブリックメーカーのフリース素材なので実は色んなブランドの製品に使用されていたりするポーラテック。 「名前は知っているけど、どういった物なの?」「ほかのフリース素材とどう違うの?」といった疑問に今回は徹底解説していきますので、是非フリースアイテムを購入する際の参考にしてみてください。
ポーラテックの歴史の始まり
ポーラテックの前身であるモールデン・ミルズ(Malden Mills)は、1906年にヘンリー・フォイヤーシュタイン(Henry Feuerstein)によって、アメリカ合衆国マサチューセッツ州モールデンで設立されました。 フォイヤーシュタイン家は、19世紀にボストン郊外のモールデンで紡績工場を営み、ウールコートやユニフォームの製造を手掛けていました。 第二次世界大戦後、モールデン・ミルズはポリエステル繊維の取り扱いを開始し、1950年代にはフェイクファーの流行により業績を上げました。しかし、1970年代後半にフェイクファーの需要が頭打ちになり低下し、業績が悪化。 そんな中、1981年にモールデン・ミルズの運命を大きく変えた出来事が起こります。 西海岸からひとりのクライマーが本社を訪ねて来たのです。彼の名はイヴォン・シュイナード。あのパタゴニアの創設者でした。
パタゴニア創設者イヴォンとの出会い。
イヴォンは非常に先鋭的な考えを持つ人間で、登山界がまだコットンやウール、ダウンといった旧来の天然素材に依存していた時代に、保水性を持たず、雨や雪に濡れてもすぐ乾く化学繊維に着目していました。 というのも、イヴォン自身が汗や雨などを吸って重くなってしまうウールのセーターが嫌いで代用できるものはないかと思っていたそうで、 そこで思い出したのが、漁師たちが着ていたパイル地のセーターとのこと。 北大西洋の漁師たちが日常着として使っている「化繊パイルのセーター」を見つけて、これこそが山での理想的なレイヤリングアイテムではないかと考えていました。 そのアイデアを試す為の素材として見つけたのがフェイクファーコートに使われているモールデン・ミルズ社の素材でした。 イヴォンはさっそくフェイクファーを使ってセーターを作り、様々な条件でフィールドテストを実施。 この時のポリエステルパイルは毛玉になりやすく、かさばってゴワゴワし、見た目にも問題がありましたが素材自体は非常に温かく、とくにシェルウェアと併用した場合には驚くべき保温効果を発揮。 また、濡れてもダウンのように保温性が落ちず、軽く振るだけであっと言う間に乾いた。そう、当時の天然素材の課題だった重さ・乾きにくさを克服した素材でしたのです。 そこでしっかりとアウトドアでの使用に耐えうるものが欲しいということから、モールデン・ミルズ社への開発依頼が始まりました。
フリースの元祖シンチラ
イヴァンと出会った当時のモールデン・ミルズ3代目社長を務めたのはアーレン・フィオレンステイン。 彼はイヴァンの申し入れを快く受け入れつつも、「いったいこの若者は毛布の生地をなにに使おうというのか」とまったく理解できなかったそう。 なんせこの頃はまだ『フリース』という言葉も一般的でなく、イヴォンの思いつきがアパレル界に大革命を起こすことなど誰も想像していなかったからです。 そうして両社共同でのパイル素材の改良を開始。まずは英国の伝統的なボイルド・ウール(圧縮ウール)やフェルトの化繊版ともいえる『ポリエステル・バンティング』が開発されました。 この素材でシンプルなプルオーバーを作ったところ大好評を博し、80年代前半におけるパタゴニア社の主力製品となったのです。 これをきっかけに両社はさらに開発を進め、最終的にとてもソフトな肌ざわりを持ち、クライミングやキャンプでハードに使っても毛玉のできない両面起毛のポリエステル・フリースの開発に成功。 まるでチンチラ(ビロード)のような肌ざわりと艶やかで美しい光沢を持つことから、この新素材はシンセティック・チンチラ、『Synchilla(シンチラ)』と名付けられました。 このシンチラは、フリースの元祖といえる製品で、アウトドア業界に革命を起こしました。特に、軽さ・保温性・通気性に優れた特徴が評価され、登山やキャンプなどの愛好者から絶大な支持を受けました。
フリースの進化とポーラテックの誕生
1980年代から1990年代にかけて、モールデン・ミルズはフリース素材の改良を続け、多様なバリエーションを開発。 その中でもこのシンチラフリースは1985年の秋冬シーズンからパタゴニアのラインナップに登場し、瞬く間に浸透しました。 今までの登山用ウェアと言えばグリーンやカーキなどのアースカラーばかりだったものがシンチラは赤や青などのヴィヴィットなカラーを纏っていた点も支持を受けた要因でした。 そしてなによりも素晴らしいかったのは、両社がシンチラの特許申請を敢えてせず、2年間の専売権のみで販売権を広く世界に公開したことです。 これによりアメリカをはじめアルパインクライミングの本場であるヨーロッパブランドにも広くフリース素材が使われることになり、アウトドアのレイヤリング革命を起こしたのです。 また90年代に入ると人気カジュアルブランド「GAP(ギャップ)」や「Banana Republic(バナナリパブリック)」に大々的に使われたことで全世界的なブームが爆発。 この翌年91年。モールデン・ミルズは同社のフリースを「ポーラテック」と名付けてブランド名を商標登録。素材技術を象徴する名前として使われるようになったのです。
ポーラテックの多様な機能性
ポーラテックの素材は、アウトドアウェアとして広く採用されており、その高い機能性と品質で知られています。 先述でもあった通り、当時はアウトドアのレイアリングアイテムとしてが主流でしたが、徐々にカジュアルアイテムとしても浸透。 その後もモールデン・ミルズは数多くのポーラテック素材を開発、アウトドアに限らずスポーツウェアや軍用の極寒冷地装備としても使われるようになります。 アウトドアウェアとしては登山用のミッドレイヤーとして軽量かつ高い保温性と通気性を兼ね備えた「Polartec Thermal Pro」や「Polartec Power Grid」。寒冷地での保温効果、防風性に優れた「Polartec Wind Pro」 スポーツウェアとしては汗をかいてもすばやく乾き、肌を冷やすことなく快適さを保つ「Polartec Power Dry」や、高い伸縮性を持ち、激しい動きにも高い対応力を持った「Polartec Power Stretch」 ミリタリーアイテムが好きな方なら一度は聞いたこともあるであろう、あの米軍ECWCSレイヤリングシステム、極寒地向け装備に「Polartec Thermal Pro」が使われたり、 防寒性と動きやすさを両立する「Polartec Power Grid」素材が、防災活動のユニフォームとして使用されています。 このようにポーラテックの素材は、アウトドアからスポーツ、日常生活、さらには軍事や防災の分野まで、多種多様な用途で利用されています。 これらの素材は、高い保温性、軽量性、吸湿速乾性、耐久性などの機能を兼ね備え、それぞれのシーンで快適性と効率性を提供できるからこそ、ここまで浸透できたのだと実感できますね。
商品紹介
いかがでしたでしょうか。 一つにポーラテックといっても現代社会のニーズに応えながら数多くの製品を産み出し続けています。 「ミドルレイヤー用に暖かいフリースが欲しい」 「防風性のアウターが欲しい」 「動きやすいフリースが欲しい」 数多くのニーズにポーラテックが応えてきたからこそ今のフリースがあるといっても過言ではありません。 今後も、現在の衣類の常識を超える画期的な商品の登場を心待ちにしていてください。 そしてこの情報を知った皆様だからこそ、改めてフリースを選ぶ際には悩んでいただき、また、楽しんでいただければ幸いです。