キャンピングカーのサブバッテリーを徹底解説(前編)
公開日:2024/12/03 更新日:2024/12/03サブバッテリーとは、キャンピングカー電源システムや車中泊バッテリーで電力を供給するために使用されるバッテリーを指します。エンジンの始動に使うメインバッテリーとは異なり、サブバッテリーは主に車内の電化製品に電力を供給する役割を担っています。その用途は、外出先でスマートフォンなどを充電するモバイルバッテリーに似ています。
自動車にはもともと、エンジンを始動させるためのメインバッテリーが標準で搭載されています。これに対して、後から車内に取り付けるバッテリーがサブバッテリーです。メインバッテリーとサブバッテリーの役割は異なります。メインバッテリーはエンジンを始動するために瞬時に強い電力を供給し、走行中に充電できます。一方、サブバッテリーは少ない電力を長時間にわたって供給するように設計されています。
キャンピングカーにおいては、エンジンが停止している状態でも電化製品を使えるようにするために、サブバッテリーが重要です。エンジン停止中にメインバッテリーを使って車内の電化製品に給電すると、エンジン始動に必要な電力が不足し、「バッテリー上がり」の状態になってしまう恐れがあります。サブバッテリーでエンジン停止中にもさまざまな電化製品を稼働させます。
キャンピングカーは車内に居住スペースを持ち、ベッドなどを備えて快適な車中泊を実現するために設計されています。いわゆる、キャンピングカーには運転席の後方に居住スペースがあり、天井には照明が設置され、換気扇や冷蔵庫などの電気製品が載せられています。エンジン停止中でもこれらの電化製品を使用するためにはサブバッテリーが不可欠です。例えば、旅行先で車中泊をする際、夏は冷房が、冬は暖房が必要なシーンが多くなります。夜間や静かな環境での使用を考慮して、エンジン停止中に冷房や暖房を動作させるためには、サブバッテリーが重要です。
サブバッテリーは、キャンピングカーの使用環境や必要に応じて適切な容量が搭載されています。しかし、電化製品を多く使用する場合やより長時間の電力供給が求められる場合には、サブバッテリーを追加で購入し、電力の確保をすることが推奨されます。
サブバッテリーには主に2つの種類があります。それが「鉛蓄電池」と「リチウムイオンバッテリー」です。各バッテリーの特性や利点、欠点について詳しく見ていきましょう。
3.1 鉛蓄電池(ディープサイクルバッテリー)
鉛蓄電池は、長年にわたって利用されてきた伝統的なバッテリーです。特に「ディープサイクルバッテリー」として知られ、長時間の放電に対応できるように設計されています。
長所
コストが低い: 鉛蓄電池は比較的安価で、予算を抑えたい方には魅力的です。
耐久性が高い: 定期的な放電と充電に耐える設計となっており、長期にわたって安定して使用できます。
短所
重い: 鉛蓄電池は比較的重く、キャンピングカーの重量が増す可能性があります。
充電速度が遅い: 充電に時間がかかるため、頻繁に充電が必要な場合には不便です。
3.2 リチウムイオンバッテリー
リチウムイオンバッテリーは、比較的新しい技術で、最近では多くのキャンピングカーに採用されています。軽量で高性能なバッテリーです。
長所
軽量・コンパクト: 鉛蓄電池と比べて非常に軽く、スペースも取らないため、キャンピングカー内での設置がしやすいです。
高速充電: 充電が迅速で、すぐに使用することができます。
長寿命: 一般的に鉛蓄電池よりも寿命が長く、長期間にわたって安定した性能を発揮します。
深放電に対応: 放電深度が大きく、バッテリーの寿命に与える影響が少ないです。
短所
高コスト: 初期投資が高く、予算に余裕がある場合に向いています。
高温に弱い: 高温環境では性能が低下する可能性があるため、注意が必要です
これまでサブバッテリーには鉛ディープサイクルバッテリーが使われてきましたが、最近ではリチウムイオンバッテリーが使われるようになってきました。鉛ディープサイクルバッテリーと比べると、リチウムイオンバッテリーは放電能力が高いから、家庭用エアコンなど消費電力の高い機器も動かせます。充電も速く、おまけに軽量で寿命が長いというメリットもあり、機能面ではリチウムイオンバッテリーが圧倒的に優れているといえます。
ただし、価格はリチウムイオンバッテリーのほうがより高いため、コストをかけたくない場合には、従来のディープサイクルバッテリーを使用するもまだ多いです。
サブバッテリーを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。ここでは、使用する電力機器とその消費電力、旅のスタイルに合わせた容量の目安について詳しく説明します。
4.1 使用する電力機器とその消費電力
サブバッテリーを選ぶ際、特にリン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiFePO4)を使用する場合には、電力機器の消費電力と電池容量を把握しなければなりません。磷酸鉄リチウム電池は、従来の鉛蓄電池に比べて、長寿命かつ深い放電が可能で、容量の選定に際しても効率よく設計できます。以下は、電池容量の計算方法と、電池容量に応じた使用電器の選び方です。
サブバッテリーを選ぶ際、特にリン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiFePO4)を使用する場合には、電力機器の消費電力と電池容量を把握しなければなりません。リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは従来の鉛蓄電池に比べて、長寿命かつ深い放電が可能で、容量の選定に際しても効率よく設計できます。以下は、電池容量の計算方法と、電池容量に応じた使用電器の選び方です。
まず、使用する電力機器をリストアップし、それぞれの消費電力(W数)を確認します。これにより、1時間あたりの消費電力を計算できます。
例えば、冷蔵庫の消費電力は50Wです。1日の合計消費電力量(Wh)は50W × 24h = 1200Whです。キャンピングカーで使用されるディープサイクルタイプのサブバッテリーは、蓄電容量が「100A(アンペア)」か「105A(アンペア)」のものが多く見受けられます。サブバッテリーの電力(W)は、「電流(A) × 電圧(V)」で換算できます。例えば、車載バッテリーは12V直流で蓄電されているので、100Aのバッテリーの場合は、「100A × 12V = 1,200Wh」の電力を供給可能です。
次に、電池容量に応じて使用する電力機器を選びます。例えば、100Ahの磷酸鉄リチウム電池を搭載している場合のシナリオを考えてみます:100Ah × 12V = 1200Wh の電力量が得られるため、冷蔵庫が使用可能です。 この場合、冷房(500W)の使用はバッテリー容量が不足するため、短時間の使用や消費電力の少ない機器を選ぶことが必要です。また、容量の大きな電池(例えば300Ah以上)であれば、冷房や電子レンジなどの高消費電力の機器も長時間使用可能です。 このように、サブバッテリー(磷酸鉄リチウム電池)の選び方は、使用する電力機器の消費電力と使用時間に基づいて計算することが重要です。計算をしっかり行うことで、快適なキャンピングカーライフをサポートする適切な容量のバッテリーを選べます。
4.2 旅のスタイルに合わせた容量の目安
サブバッテリーの容量は、旅のスタイルやキャンピングカーの使用頻度に応じて選ぶ必要があります。以下のポイントを考慮して、適切な容量を選びましょう。
短期間の旅行: 週末や短期間の旅行では、比較的小さな容量のサブバッテリーで十分です。例えば、200Ah程度のサブバッテリーが一般的な使用には適しています。
長期間の旅行: 長期間の旅行や頻繁に電力を使用する場合は、より大容量のサブバッテリーが必要です。例えば、400Ah以上のサブバッテリーを選ぶことで、長時間の電力供給が可能となります。Redodo 12V 410Ah リン酸鉄リチウムバッテリーがおすすめです。
特別な設備: 冷房や暖房、電は子レンジなど、高消費電力の設備を使用する場合は、さらに大容量のサブバッテリーが推奨されます。必要な電力を余裕を持って確保するために、容量に余裕を持たせることが重要です。
予備電力の確保: 万が一のために、サブバッテリーの容量には余裕を持たせると良いでしょう。予備の電力があれば、予期しない電力の需要にも対応できます。
サブバッテリーの選び方は、使用する電力機器と旅のスタイルに応じて最適な容量を決定することが重要です。事前に計算と調査を行い、自分のニーズに合ったサブバッテリーを選びましょう。