サイトグラスとは?配管やタンクの外側から内部を流れる液体・気体の状態を目視で確認
公開日:2025/04/15 更新日:2025/04/15「サイトグラスってどんな部品? 配管やタンクに“窓”を付けるだけで本当に内部の液面や泡立ちが見えるの? 圧力や洗浄の条件に合う型式・材質を、短時間で把握したい!」
サイトグラスは、耐圧・耐熱ガラスを用いて配管やタンクの“中身”をリアルタイムで可視化できる装置です。正しい型式選定と保守を行えば、品質トラブルの早期発見・ライン停止リスクの低減・点検工数の削減を同時に実現できます。
この記事では、サイトグラスの基本原理と「覗き窓型・チューブラー型・リフレックス型」の違い、配管・タンクへの取り付け手順、選定チェックリスト、運用メリットまでをわかりやすく解説します。
サイトグラス(sight glass)は、配管やタンクの外側から内部を流れる液体・気体の色・泡・液面高さ・異物混入などをリアルタイムで確認できる可視化デバイスです。耐圧・耐熱ガラスを金属枠で挟み込み、ガスケットでシールするだけのシンプル構造ながら、異常の早期発見と品質トラブルの抑止に絶大な効果を発揮します。ボイラー水位計や飲料ライン、化学反応槽など幅広いプロセスで採用され、**「ラインを止めずに中身を見られる」**という利点が省人化と省コストを同時に実現。JIS B8211やDIN 28120など規格も整備されており、圧力・温度・薬品耐性の条件に応じて最適モデルを選択できます。
サイトグラスは大きく4タイプ。①覗き窓型(ブルズアイ)は円形ガラスをフランジで締結し、高圧・高温に強い反面、視認範囲は限定的。②チューブラー型はガラス管全体が流路となり360°視認が可能で、CIP洗浄が簡単なため食品・医薬で定番。③リフレックス型はプリズム効果で水と蒸気を色で判別でき、ボイラー水位計に最適。④特殊タイプにはLED照明内蔵や二重窓構造があり、暗所や高リスク環境でも安全性と視認性を両立できます。用途・圧力・洗浄方法に合わせて選ぶことで、可視化の精度と保守性が飛躍的に向上します。
選定ミスは破損・漏洩の原因。まず最高使用圧力(MPa)と温度(℃)を確認し、ガラス厚とボルト材質を決定します。化学薬品ラインではPTFEライニング+サファイア窓、食品・医薬ではホウケイ酸ガラス+SUS304が一般的。接続方式は既設配管に合わせてフランジ・ねじ込み・クランプから選択し、内径差による圧力損失を回避。視認性向上にはLEDバックライトや反射防止ガラスが有効です。さらに在庫・パーツ供給体制を確認し、ダウンタイムを最小化できるメーカーを選ぶことが長期的なコスト削減につながります。
据付前に必ず配管をブローしてスケールを除去し、圧力をゼロに。ガスケットは純正品を用い、対角線上に均等トルクで締付けてガラスへの偏荷重を防ぎます。昇圧・昇温は段階的に行い、初期漏れがあれば10〜15 %増しで再増締め。高温ラインではステンレスメッシュガードと断熱ジャケットを併用し、火傷やガラス飛散リスクを低減します。取り付け方向の矢印を必ず確認し、逆向き装着を避けることでディスクやガスケットの早期劣化を防止できます。
定期点検ではガラス面の傷・白濁・曇りをチェック。深さ0.1 mm以上の傷は即交換が原則です。パッキンは半年〜1年で硬化を確認し、必要に応じて交換。よくあるトラブルとしては過大締付けによるガラス破損、水撃による衝撃破損、アルカリ洗浄液残留による白濁などが挙げられますが、いずれも運用マニュアル化で未然防止が可能。適切な保守を行えば、目視点検時間を30 %短縮し、品質クレームゼロ・ライン停止リスク低減という省人化・省コスト効果を長期にわたって享受できます。
Q:耐久年数は?
A:条件適合なら5〜10年。定期交換で突発破損を回避できます。
Q:破損時の対処は?
A:即ライン遮断→残圧抜き→ガラス片回収。二重窓タイプなら運転継続も可能です。
Q:衛生ラインへの適合は?
A:CIP/SIP対応クランプ式とFDA認証ガスケットを選べば飲料・医薬ラインでも使用可能。
Q:高圧蒸気でも使える?
A:石英ガラス+SUS316枠で2.0 MPaクラスまで対応。
Q:視認性が悪い場合は?
A:LEDリングライトや反射防止ガラスを追加すると、暗所や逆光環境でもはっきり見えます。