【栄養成分解説】ビオチンとは?美容と健康を支える注目のビタミン 公開日:2025/04/08 更新日:2025/04/09
ビオチン(英: Biotin)は、水溶性ビタミンであり、「ビタミンB群(B7)」のひとつとして分類されます。かつては「ビタミンH」とも呼ばれていた歴史もあります。
主に体内で補酵素として働き、代謝に関与していることから、健康維持や美容の分野で注目を集めています。皮膚や粘膜、爪、髪などに関わる栄養素として知られる一方、近年では腸内細菌との関係や代謝系における働きにも関心が高まっています。
ビオチンは以下のような目的でサプリメントや食品に利用されています。
● 美容サポート用途
肌や髪、爪などの健康維持をサポートする成分として、主に女性向けの美容サプリメントに使用されることが多いです。
● 代謝サポート用途
ビオチンはエネルギー代謝や糖代謝に関与する補酵素として働くため、代謝の正常な機能維持を目指す製品にも使われています。
● 栄養補給用途
偏食や食事制限、腸内環境の乱れなどにより不足が懸念されるケースに対して、栄養補助としての摂取が推奨されることもあります。
● 補酵素としての働き
ビオチンは体内で数種のカルボキシラーゼ酵素と結合して補酵素として作用します。これにより、脂質・糖質・アミノ酸といった栄養素の代謝経路において重要な役割を果たしていると考えられています。
● 皮膚や粘膜、髪への関与
ビオチンはタンパク質代謝にも関与しているため、肌や爪、髪の健康維持にも間接的に関与しているとされ、美容成分として注目されています。
● 腸内環境との関わり
腸内細菌によって合成されるビオチンですが、食生活や体調によって腸内環境が乱れると、ビオチンの体内合成量が減少する可能性もあります。そのため、ビオチンは「腸内環境の状態に依存する栄養素」としての側面も持っています。
ビオチンに関する研究は、以下のような分野で進められています。
● 代謝に関する研究
ビオチンは炭水化物、脂質、アミノ酸の代謝におけるキーファクターであることが研究から示唆されています。特に、糖新生・脂肪酸合成などの酵素活性を支える補酵素としての作用に注目が集まっています。
● 美容関連の知見
ビオチン不足と皮膚症状や脱毛の関連性が一部で報告されています。特に、先天性のビオチン代謝異常症などの分野では、補給による改善事例が報告されており、美容面での重要性が支持される一因となっています。
● ビオチンと神経系の関係
一部の研究では、ビオチンの補給が神経系の正常な機能維持に貢献する可能性も示唆されています。ただし、臨床的な証拠はまだ限定的であり、さらなる研究が求められています。
● ビオチンを多く含む食品
レバー(特に牛・鶏)
卵黄(ただし生卵の白身と一緒に摂取すると吸収が阻害される)
魚類(サーモンなど)
ナッツ類(アーモンド、くるみ)
大豆製品
● 摂取の注意点
ビオチンは水溶性ビタミンであるため、体内に蓄積されにくく、毎日の継続的な摂取が推奨されます。また、生卵白に含まれるアビジンという成分がビオチンの吸収を妨げることから、加熱処理された卵やサプリメントによる摂取が好ましいとされています。
ビオチンは、体内の代謝をサポートする重要なビタミンであり、美容・健康維持の観点からも注目される成分です。特に、加齢や食生活の変化によって「痩せづらくなった」「肌や髪の調子が気になる」と感じる方にとって、見直しておきたい栄養素のひとつです。
食事からの摂取が難しいと感じる場合には、サプリメントなどで補う方法もありますが、過剰摂取には注意しつつ、あくまで食生活の一部として取り入れることが大切です。
7. 参考文献
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
e-ヘルスネット「ビオチン」
日本ビタミン学会誌「ビオチンの生理機能と栄養」
NIH Office of Dietary Supplements "Biotin: Fact Sheet for Health Professionals"
Biotin and its function in metabolism. Nutr Rev.
Biotin deficiency and its clinical significance. Am J Clin Nutr.
本記事の内容は執筆時点で公表されている研究や文献に基づきまとめた情報です。最新の知見や個々の健康状態に応じたアドバイスは、医師や栄養士などの専門家にご相談ください。あくまでも一般的な参考情報としてお役立ていただければ幸いです。