花梨とは、バラ科の落葉高木です。
果実は漢方で木瓜(モッカ)と呼ばれ、鎮痙、鎮咳、整腸、利尿などに用いられ、古来より民間療法的に活用されてきました。
4月~5月に淡いピンク色の花を咲かせ、秋には黄色い大きな果実が実ります。
果実は洋なしのような楕円形・卵形をしており黄色で大きく、10月~11月頃に収穫します。
部屋中が満たされるほどの芳しい甘酸っぱい香りが特徴です。
「花梨の化粧水」は、この果実から種を取り出して作っています。
原産地は中国で、長い歴史の間で漢方薬として使われてきました。
約1,100年前に弘法大師が苗を持ち帰ったことにより日本に伝わったといわれています。
花や新緑が美しいことから全国に広まりました。
語呂合わせで「お金は貸すが、金は借りん(花梨)」として、庭の表に花梨を植え、裏庭に樫の木(カシノキ)を植えると商売繁盛に良いとされてきました。
長野県諏訪市が花梨の産地として有名です。
今でも花梨の収穫量は全国1位。市のシンボルとして江戸時代から栽培が盛んです。
しかし、厳密に言うと、花梨と非常に似た「マルメロ」という果実です。
違いは果実の表面に産毛のようなものがあり、全体的に丸い形をしています。昔から地元では「花梨」と呼ばれてきたため、現在も「花梨」として呼んでいます。
全国的には、花梨は生食用に向かないため農作物としての栽培は少なく、庭木として植樹されてきました。
近年、香川県まんのう町では特産品として花梨の植樹を推奨しているため、収穫量が多くなっています。
果実が実る秋には、町中が花梨の甘い香りに包まれ、「花梨の化粧水」はこの香川県産の花梨を使用しています。
<果実>
黄色い大きな果実は、そのまま生で食べることはできません。果実酒や砂糖漬けに加工され咳止め等に利用されています。「のど飴」が有名ですね。芳しい甘酸っぱい香りが特徴であるため、果実をそのまま芳香剤としても楽しめます。
<種>
大きな果実を割ると、中には小さな種が入っています。この種を原料として「花梨の化粧水」を作っています。
<樹木>
花梨の木は、年輪が密で強度があります。木肌は光沢があり色合いも美しいため、高級家具・床柱・木工細工などに利用されています。近年、稀少木材として入手困難になっております
たくさんの果実が収穫される秋、10月~11月にかけて里山や街中でも「花梨」を見かけることができます。
縁起の良い樹木として庭に植えている方も多いので、住宅街で目にするかもしれません。
みかんと思っていたその果実、もしかしたら「花梨」かもしれませんよ。
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