「暗闇の中の一筋の光」 多くの出会いのおかげで今の自分がある– 梅宮俊明の歩み

梅宮俊明は、口と足で描く芸術家協会（東京都新宿区）に所属しています。1966年、東京都で生まれ、19歳のとき自動車事故で脊椎を損傷し、四肢麻痺となりました。その後、地元の社会福祉協議会で行われた油絵教室に誘われ、絵を描く機会を得ます。もともと絵に興味はありませんでしたが、油絵の先生や仲間との交流が、彼にとって「運命的な出会い」となり、絵を通じて人生を新たな視点で見つめ直すことができるようになります。

事故直後、梅宮はベッドの上で天井を見つめる日々が続き、「生きている感じがしなかった」と言います。しかし、病院で出会った友人の支えや、家族との旅行を通して少しずつ希望を取り戻していきました。特に、父親の励ましで外出の機会を持つ中で、多くの人との出会いが彼を再び前向きにしてくれました。

退院後、生活の自立を目指し試行錯誤を続けていた梅宮は、地元の油絵教室に通う機会を得ます。当初、絵に興味はなく、描くのは難しいと感じていた彼ですが、指導者や仲間たちの支えを受けながら、口での絵の制作を始めるようになります。この「運命的な出会い」によって、自らの障がいを受け入れつつ、絵の中に新たな自己表現の手段を見出しました。

絵を描き始めてからも、道具の工夫は欠かせませんでした。口に負担がかからないよう柔らかい素材で噛む部分を作り、軽量のアルミパイプを使って筆を延長するなど、描きやすい環境を独自に整えています。こうした道具の改良を続けながら、自らのスタイルを模索してきました。

2006年、初めて作品展に出展し、翌年には「優秀賞」を受賞。これを機に「自分の作品が形として残る喜び」を実感し、2011年には念願の個展を開催しました。震災後という難しい時期での開催でしたが、多くの人々が訪れ、震災を経験した方から「絵に勇気をもらいました」と言われた経験は、梅宮にとってかけがえのない励みとなりました。以来、「日本中の人が明るくなれる絵を描きたい」という新たな目標を持っています。

2013年、同じく口や足で描く4人の画家と共に、初の自主企画展「5人展」を開催。来場者と交流を重ねる中で、新たな発見や視点が広がりました。

現在、梅宮が抱える最大の課題は褥瘡との闘いです。これにより長時間の制作が難しくなっていますが、絵画展やイベントで来場者と交流できる日を楽しみにし、日々工夫しながら制作を続けています。また、今後も「5人展」を実現し、さらなる絵画活動に励むことが目標です。

「協会に所属して10年以上が経ち、様々な活動をさせていただけて本当に良かったと思います。絵画展などに訪れてくれた方々や、他の画家たちとの出会いは、私にとっての宝物です。 この横浜の絵は、友人とライブに行った際、ホテルから見た朝焼けに感動して描きました。描くたびに楽しい気持ちになります」。