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「いま、夢の扉が開いた — いままで、そしてこれから」~口で描く画家 六鹿 香

公開日:2024/12/12 更新日:2025/01/10
六鹿 香 (むしか かおり)プロフィール
愛知県生まれ。三重県四日市市で育ち、今は愛知県で一人暮らしをしています。 未熟児として生まれ、手足等が動かずに、生後 4 カ月に「先天性多発性関節拘縮症」との診断を受けました。小学校は特別支援学級で学び、その後特別支援学校中等部、高等部を卒業しました。介護施設に障がい者雇用にて就職。パソコン検定3 級の資格を持ち、口にくわえたペンでパソコンを操作し、職員のシフト表や情報の入力作業、イベント用のチラシなどを作成していました。口と足で描く芸術家協会に所属後は介護施設を退職。念願の一人暮らしを始め、今は描画に専念しています。
障がいと向き合う日々
日常生活では衣服の着脱や入浴などに介助が必要ですが、食事は自助具を使い、テーブルの高さや配膳を工夫することで、自分でとることができます。「自分でできることは自分で」という両親の教育方針のもと、口を使って生活の多くのことをこなしてきました。その中で特に印象深かったのが、保育園のお絵描きの時間です。先生に勧められ、初めて口でペンをくわえて描いた絵がうまくいき、周りのみんなと同じことができたことがとても嬉しかったそうです。 小学校は特別支援学級に通いましたが、授業は普通学級で受け、クラスの仲間たちと同じようにノートを取ったり、発表をしたりしました。しかし、授業では板書するのにも一苦労。赤線を引いたり蛍光ペンを使ったりとペンを持ち換えるのは大変で、人より早く問題を解いて早く板書をする術を覚えていきました。また、「時間がかかりすぎることは友達や支援の先生に頼むように」と言われても、スピードが間に合うかどうかはやってみないとわからないことも多く、「何が頼むべきことで、何が自分でやるべきことなのか」その判断にも悩みました。できないことの多さや周りに置いていかれる環境は、やはり健常者とは違うのだと改めて思い知らされました。とはいえ、「何事も自分でやってみる」というポジティブな精神で取り組む彼女は、必要なサポートを得ながらも、自分なりの工夫で困難を乗り越えてきました。
創作への情熱
小学生の時は少女漫画の世界にハマり、中・高ではアニメや漫画に熱中。心のよりどころとなっていたのが絵やデザインの世界でした。熱中しているときは、自身のハンディを忘れることができました。生まれながらの障がいを理解しつつも、どうして自分が?という思いを何かにぶつけたい、表現したいという気持ちが高鳴っていきました。 16歳の時、著名人が描いた絵と自作の詩をコラボさせた作品がNHKハート展に入選。詩は「できる」というタイトルで、誰もが普通にできていることが「できない」、でも「いろんなことが口でできる!なんだってやってやる!」と主張しました。 また、2016 年に開催された「G7 伊勢志摩サミット 2016」のロゴマークのコンテストで、六鹿がデザインしたマークが、応募 7,084 点から最終候補 14 点に選ばれました。
自立への道のり
高等部卒業後、介護施設に就職。口にくわえたペンで職員のシフト表やイベント用のチラシを作成するなど、事務作業を担当しました。しかし、「もっと自分の個性を活かして、好きなことを仕事にしたい」という強い思いから、ケアマネージャーの紹介で【口と足で描く芸術家協会】の存在を知ります。協会主催の絵画展で、同じように口や足で絵を描いている人々の作品を見たことで、「自分もここで活躍したい」と決意。2018年に協会に所属し、画材の提供や技術指導を受けながら本格的に絵を学ぶようになりました。 「絵を描くことで自立する」という目標を掲げ、2020年には念願だった一人暮らしをスタート。一人で暮らすにはヘルパーの支援や環境の工夫が必要ですが、「自分の部屋を自分の好きな色や絵で満たすことで、よりクリエイティブに活動できる」と語っています。
創作活動の広がり
初めて手掛けたぬいぐるみのデザインでは、自身の好きなクマとスイーツを組み合わせたデザインを考案。シンプルで可愛らしいデザインを目指しながらも、装飾の調整に苦労しました。協会のグッズが大人向けのデザインが多いと感じたため、ゆるく可愛らしい雰囲気を意識し、子どもや若い世代にも親しんでもらえる作品を制作しています。 「協会のサイトでコメントをいただけると、自分が社会とつながっていることを実感できて嬉しい」と語り、今後もアイデアを大切にしながら、絵画を通じて自分らしい表現を追求しています。
スタッフからのメッセージ
2024年6月に開催された協会主催の展覧会には、六鹿さんも愛知県から来場されました。休日には電動車椅子で外出し、買い物やライブに足を運ぶなど、アクティブな女性です。これからも自由な発想で素晴らしい作品を生み出してくれることを願っています。
六鹿の絵から作成したグッズ