冷や汁に込められた家族の物語 ー 農作業に明け暮れていた祖父母の思い
公開日:2025/04/18 更新日:2025/04/18「冷や汁って、要するに冷たい味噌汁でしょ?」
そんな風に思っていた私が、ある夏の日、おばあちゃんの冷や汁をすすりながら涙をこぼすことになろうとは──。
話は、宮崎のとある山里、農作業に明け暮れるおじいちゃんとおばあちゃんの暮らしから始まります。
「朝は、鶏の鳴き声よりも早く起きるんだよ」
小学生のころ、夏休みに遊びに行った祖父母の家でそう言われ、寝ぼけ眼のまま畑に連れていかれた記憶があります。
夏の畑は、地面からの照り返しも加わってサウナ状態。
おじいちゃんは額に汗をかきながらも、ひょいひょいと草を刈っていく。
おばあちゃんは、麦わら帽子にタオルをぐるぐる巻いて、きゅうりやナスを手早く収穫していく。
「お昼は冷や汁にしようなぁ」
その一言で、私のテンションはぐんと上がりました。
冷や汁の正体は、畑仕事でクタクタになった体を一気に冷やし、生き返らせる“農家のクールダウン飯”。
暑さで火を使いたくない日にはぴったり。
冷たい味噌と焼き魚の旨味、キュウリのシャキシャキ、シソの爽やかさ。そしてなにより、冷た〜いお茶漬け風のごはんが胃にスルスルと入っていく心地よさ!
「こりゃ、冷蔵庫より効くわ!」とおじいちゃんが笑うのも無理はない。
冷や汁を食べるたびに思い出すのは、あの夏の匂い。
湿った土、トマトの青い香り、蝉の声。
それに混じって、おばあちゃんの「もうちょっと食べんね〜」という声や、おじいちゃんの「おまえはまだまだ細っこいのう」という優しい笑い声が、脳裏に流れてきます。
まるで、ひとくちごとに“畑の記憶”をすくい取っているような気持ちになるのです。
最近は、スーパーでも簡単に冷や汁の素が手に入るし、アレンジレシピもネットにあふれています。
でも、私にとっての冷や汁は、唯一無二。
クーラーもスマホもない時代を、汗と土と笑いで乗り越えてきたおじいちゃんとおばあちゃんの知恵そのものなのです。
東京で一人暮らしを始めた今、私は夏になると、自炊で冷や汁を作ります。
フライパンでアジの干物を焼き、すり鉢で味噌と和えて、冷たい出汁でのばす。
冷蔵庫で冷やしておいたキュウリと豆腐をご飯にのせて、ジュルッ。
──ふぅ。なんだか、祖父母の笑顔がよみがえってきた気がする。
冷や汁。
それは、真夏のごちそうであり、
私にとっては“家族の記憶をよみがえらせる魔法の味”なのです。
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