ワイヤーシェルフの代名詞ともいえるエレクター。エレクターシェルフは1955年にアメリカのインターメトロ社によって開発されたワイヤーシェルフです。あまり知られていませんが、日本におけるエレクターは和食レストラン「ふるさと」の開店が始まりでした。
渋谷道玄坂で開店した「ふるさと」はたちまち大使館職員をはじめとした海外の要人から、日本の文化を体感できると評判になり、海外出店の話にもなり、ハワイへ出店することになりました。1964年、「ふるさと」ハワイ店オープン準備の最中、店の片隅に組み立て式の食器棚が梱包されたまま置かれていました。オープンの日が迫る中、エレクターの創業者はその梱包を解くと、自ら棚を組み立て始めたのです。これが当時、アメリカで爆発的な普及を見せていたエレクターシェルフ(現在のエレクターファーストシリーズ)だったのです。
当時日本で一般的であった厨房什器は重くて間隔調整も不可能な作り付け什器が主流でしたが、創業者が目にしたワイヤーシェルフは、棚間隔はもちろん、レイアウトさえも変更可能かつ、ワイヤー製ゆえの通気性などに優れた画期的なシェルフでした。
すっかりこのシェルフの利便性に魅了された創業者は、翌日にはアメリカ本土にあるインターメトロ社へ、日本での製造販売権を得るべく、交渉に行き、その権利を手に入れたのです。こうしてエレクターが日本へ導入されることになりました。エレクターが食品関係の業界に特化しているのは、元々が飲食店を経営していることに始まり、その業界への導入が進んだことから、今日においても食品をはじめとした業界においては広く普及し、高品質が評価されて多くの支持を受けています。それらのノウハウは家庭向けのホームエレクターの誕生にも繋がり、現在のエレクターベーシックシリーズ、エレクターファーストシリーズ、業務向けのエレクタースーパーシリーズにしっかりと受け継がれています。