腸活ライフを楽しもう！vol. 1

くらしいきいきの管理栄養士・山川が、『腸内環境を整えることで人生がしあわせになる』をテーマに様々な情報をお届けしています。

私たちの健康と密接に関係している腸内環境。 とても奥が深く、現在では「すべての病気は腸内環境が関係している」とも言われるくらい万病を治す最前線として、全世界で注目されています。そこで、 - 腸内環境とは何か - 腸内環境が健康に与える影響 についてお話したいと思います。 私たちの腸内には、およそ100～1000兆個もの細菌が存在していると言われています。 これらの細菌の集まりを総称して、「腸内環境」あるいは「腸内フローラ」と呼んでいます。 この100～1000兆個ある細菌のおかげで、食べ物の消化や栄養の吸収がスムーズになり、老廃物の排出が助けられます。 健康な腸内環境は、このはたらきを最大限に引き出してくれるのです。

しかしこれだけではありません。 最近の研究では、腸内環境が全身の健康状態を左右する、重要な存在だということが明らかになってきました。 例えば、腸内環境は免疫力の強化に深く関わっており、良い腸内環境は免疫細胞が活性化され、私たちの体を病気から守ってくれます。 反対に腸内環境が乱れると、風邪などの感染症やアレルギーを引き起こす原因になってしまいます。 さらには、認知機能の向上、気分が落ち着くなど、脳の健康にまで影響を及ぼすことも。また腸内環境が乱れると、うつ病や認知症のリスクが高まるのだとか。 昔から腸は「第二の脳」と呼ばれていましたが納得ですね。 このように、腸内環境は私たちの健康に多大な影響を及ぼしています。 腸内環境を整えることは、病気の予防はもちろん、生き生きとした毎日を送る上でも欠かせません。 では具体的にどうすれば理想的な腸内環境を手に入れられるのか、これから一緒に学んでいきましょう。 まずは「腸内環境」の重要性を理解することが、健康でしあわせな人生への第一歩となるはずです。

腸内には「善玉菌」「日和見(ひよりみ)菌」「悪玉菌」の3種類の菌が存在します。 ■「善玉菌」 代表的な菌に、乳酸菌やビフィズス菌があります。 善玉菌は私たちの消化を助け、栄養の吸収を高めてくれます。 また、悪玉菌の増殖を抑える役割も果たしてくれます。 さらに重要なのが、善玉菌は免疫力の強化にも一役買っていること。 がん細胞の増殖を抑える働きや、アレルギー反応を和らげる働きがあります。 感染症や生活習慣病の予防にもつながるため、善玉菌はとても優れた細菌なのです。 ■「日和見菌」 腸内環境によって善玉菌と悪玉菌のどちらにもなる菌です。 状況によって善玉菌にも悪玉菌にもなることから、このように呼ばれています。 ■「悪玉菌」 代表的な菌は、ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌などです。 これらの悪玉菌が増えすぎると、下痢や腹痛などの消化器系の症状が出る可能性があります。 しかし、悪玉菌を完全に排除することは必ずしも良いことではありません。適度に存在することでお互いのバランスを保つ役割を担っているのです。

腸内環境が良好な状態では、 善玉菌が2割、悪玉菌が1割、日和見菌が7割 のバランスで存在していると言われています。 理想的な腸内環境を保つためには、善玉菌を積極的に摂取することが重要になります。 健康でしあわせな生活を送るには、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが何より重要になってきます。

腸内環境を整えるはたらきがある「ビフィズス菌」は善玉菌として広く知られていますが、 このビフィズス菌をお腹のなかでふやす良きパートナーが 【オリゴ糖】と呼ばれるもの。 これが発見されたのは1950年代、母乳を飲んでいる赤ちゃんと粉ミルクを飲んでいる赤ちゃんの"おなかの調子"の違いがきっかけでした。 「母乳を飲んでいる赤ちゃんの腸内には、粉ミルクを飲んでいる赤ちゃんの腸内よりも、ビフィズス菌がたくさんいる」 この理由を研究したところ、母乳には粉ミルクに存在しない特殊なオリゴ糖が多く含まれていることがわかったのです。 そして、オリゴ糖がビフィズス菌を増やす物質として注目され、さまざまなオリゴ糖の研究が日本を中心に始まりました。 オリゴ糖はビフィズス菌をふやすことで整腸作用をもたらす、縁の下の力持ち的な存在なのです。

オリゴ糖は人間のにとって消化・吸収がされにくい糖質です。 しかしビフィズス菌はオリゴ糖を分解する酵素をもっているので、オリゴ糖をエサとして増殖することができるのです。

●お腹の調子を整える オリゴ糖は胃や腸で消化・吸収されにくい栄養素のため、エネルギー源になりにくく、 食物繊維と同様に腸内の不要なものを吸着して、体外に排出するはたらきがあります。 ●ミネラルの吸収力を高める オリゴ糖をビフィズス菌が腸内で増えると、短鎖脂肪酸がつくられ、マグネシウムやナトリウムなどのミネラルが細胞へと吸収しやすい形にしてくれます。 またカルシウムとくっついて血中に吸収しやすくするカルシウムチャネル(カルシウムを運び込む通路の役割)のはたらきを活性化します。 ●虫歯になりにくい オリゴ糖は糖質でありながら、虫歯の原因菌「ミュータンス」が、 栄養分としてほとんど利用することができない成分です。 そのため、虫歯の原因になりにくいとして、お菓子や健康食品などに使用されています。

オリゴ糖をとるには大きく2つの方法があります。まず一つはオリゴ糖を多く含む食材を取り入れること。もう一つは市販のオリゴ糖を使用することです。 -オリゴ糖を多く含む食材には バナナ たまねぎ ごぼう アスパラガス 豆類、 味噌やしょうゆなどの発酵食品 海藻類 キノコ類 などがあります。自然の恵みのオリゴ糖をぜひ普段の食生活に取り入れてみましょう。

市販のオリゴ糖にはシロップタイプと粉末タイプがありますが、溶けやすく使いやすいシロップタイプがおすすめです。 シロップ状はコーヒーや紅茶、スムージーなどに混ぜて使用することができます。 ※種類によっては砂糖よりもカロリーが低く、甘さも控えめなので、使いすぎには注意しましょう。 ※また量や体質によってお腹が緩くなることがあります。はじめて摂取する場合は、少量から試しましょう。 腸内環境は食生活や睡眠、運動、ストレスなど、様々な生活習慣の影響を受け、日々変化しています。 良い腸内環境には毎日の継続が大切です。 ぜひ毎日の食生活にオリゴ糖をプラスしてみてはいかがでしょうか。