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アートとデザインの境界線:Signe Hytte のポスターに込めた想い
アートとデザインの境界線:Signe Hytte のポスターに込めた想い
公開日:2025/02/14 更新日:2025/02/17
PAPER COLLECTIVE
世界中のグラフィックデザイナーやイラストレーター、アーティストとコラボし、ユニークで美しいポスターを生み出し続ける PAPER COLLECTIVE(ペーパーコレクティブ)。 環境に配慮したFSC認証の紙を使用し、デンマーク国内でSwanマークの認証を受けた生産を行うなど、持続可能なものづくりにもこだわっています。さらに、売り上げの一部をチャリティーへ寄付するなど、アートを通じて社会貢献にも積極的に取り組んでいるブランドです。 今回の PAPER COLLECTIVE MAGAZINE は、そんな PAPER COLLECTIVE のデザイナーであり、プロダクトデザイナーとしても活躍する Signe Hytte(シグネ・ヒッテ) のスタジオを訪問しました。 彼女のデザイン哲学や、最新のポスターコレクション 「Tipping Point」 に込めた想いを探ります。
Signe Hytte の舞台裏
私たちはコペンハーゲンの中心にある歴史的な Frederiksgade 1 の建物にある彼女のスタジオを訪ねました。 そこで、彼女のデザインに対する考え方や、今回初めて挑戦したプリントアートが彼女の普段の作品とどうつながっているのかについて話を聞いてきました。
「私はいつも、デザインにちょっとした"緊張感"を加えるようにしています。それが対比を生み出して、全体のバランスを面白くしてくれるんです」
(インタビュアー): こんにちは。あなたの作品には「バランス」と「アンバランス」が共存しているのが特徴的ですが、そういった要素に惹かれる理由と、今回の「Tipping Point」コレクションにどう活かしたのか教えてください。 (Signe Hytte): この考え方は、私のデザインにずっと根付いているものなんです。 ただ単に「バランスを取る」ことにこだわっているわけではなくて、あえて相反する要素を組み合わせることで、緊張感を生み出し、結果的にデザインに対比が生まれるのが面白いなと思っていて。 デザインって、常に「ちょうどいい」バランスを見つける作業なんですよね。パズルみたいに、素材や形を組み合わせて、お互いに調和しながらも適度に引っ張り合うように配置していくんです。それが、作品にちょっとした「動き」や「奥行き」を生み出してくれる。 例えば、ザラザラしたアルミの表面と、柔らかくて温かみのある木を組み合わせるとか。「Tipping Point」コレクションでは、そういうコントラストを意識してデザインしました。
(インタビュアー): 「Tipping Point」コレクションでは、どんな素材や質感を使いましたか? (Signe Hytte): 今回、私の普段のデザインでよく使う素材を取り入れたかったんです。 例えば、椅子の張地に使うテキスタイルとか、塗装されたテクスチャーのある表面とか。すべての形は、一つひとつ手作業で切り出していて、布だったり塗装したボール紙だったりを使っています。背景も、手作業で塗ったザラッとした質感のあるものにして、まるで漆喰みたいな仕上がりにしました。 それらの形を、背景のキャンバスに組み合わせながら、試行錯誤して配置を決めていくんです。感覚的に動かして、「これだ!」って思える構成になるまで、何度も並べ直します。まるでコラージュを作るみたいな感じですね。そのアナログなプロセスを、最終的にはデジタル編集と組み合わせて作品に仕上げています。 テキスタイルや漆喰っぽい塗装の質感があることで、作品に奥行きや触りたくなるような質感が生まれます。これは私のプロダクトデザインでもすごく大事にしていることで、見る人が「ちょっと近くで見てみたい」と思えるような要素を入れたいんですよね。
「形を背景に組み合わせて、納得いくまで何度も並べ替えます。そうやって、作品が伝えたいストーリーが見えてくるんです」
(インタビュアー): このコレクションは、人々の家の中でどんな風に馴染んでいくと思いますか? (Signe Hytte): 「Tipping Point」コレクションは、まさに「家の中で生きる」ことを考えて作りました。部屋全体の雰囲気をつなぐような存在になればいいなと思っていて。 柔らかい質感やアースカラーのトーンは、主張しすぎず、それでいてちゃんと個性があるんです。だから、すでに持っているアートや家具と簡単に馴染ませることができると思います。
(インタビュアー): あなたの作品では、落ち着いた柔らかい色使いが特徴的ですが、それによってどんな雰囲気や感情を 表現しようとしていますか? (Signe Hytte): 「Tipping Point」コレクションでは、アースカラーを中心に使っていて、見る人に穏やかさや安心感を与えたいと思っています。感覚的には、家にブランケットやクッション、ラグを加えるようなイメージです。 視覚的にも触覚的にも温かみがあって、「ここにあって心地いいな」と思ってもらえるような存在になれば嬉しいですね。
(インタビュアー): Paper Collective と一緒に作品を作ることは、あなたにとってどんな意味がありますか? また、彼らの「デザインとアートのつながり」についてどう感じますか? (Signe Hytte): 私は家具や照明、プロダクトをデザインするとき、常に彫刻的なアプローチを大切にしています。素材や形、バランスは、機能性と同じくらい重要なんです。 だから、Paper Collective と一緒に仕事をすることで、自分の作品が彼らのコンセプトとリンクしているように感じました。彼らもまた、デザインとアートの境界線の上で作品を作っているんですよね。 デザイン、アート、そして機能性が交わるところって、すごく面白いし、創造性が試される分野だと思います。Paper Collective と一緒に仕事をすることで、そういう部分をもっと深く掘り下げることができて、本当に楽しかったですね。
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