創業1899年、ピーターパンのパンの126年の歴史。
公開日:2024/11/12 更新日:2024/12/02A) 瀬戸内海の真ん中にある広島県福山市の老舗ベーカリーで創業明治32年(1899年)。今年で126年になり、現在の当主で4代目になります。
40年ほど前から保存料を使用しない無添加パン作りをはじめ、2002年に米粉パンを発売、2006年に国産小麦パンシリーズを発売しました。
創業 明治32年3月10日
1899年。今年で125周年となります。
創業者 初代 廣川市松
(戦争で初代市松の写真はすべて焼失)
明治32年3月、日清戦争と日露戦争の真中
江戸時代から続く城下町福山に’’廣川日進堂’’ を創業
創業当時からパンを作っており、現在(2024年時点)で日本で9番目、西日本では一番古いパン屋さんであるとのこと。
≪引用≫
老舗食堂さん
教えていただきありがとうございます!
2代目 廣川享一郎
明治、大正、昭和と激動の時代を生き抜き、その間3度の戦争を経験。
辛酸をなめながら同業者の世話を行い、堅実に製パン業界の発展に尽力した。
特に昭和20年の福山空襲ではレンガ窯の一部を除きすべて瓦礫と化したが、いち早く工場と住居を再建し、焼け出された親族や社員に住居を提供、食糧難の時代に必死でパンを作り続けた。
3代目 廣川博重
世界大戦後、焼け野原となった福山のがれきの中に会社を再建。
青年期、当時の若者のあこがれであった軍人を志願。陸軍に2等兵で入隊後、消灯後も便所の灯りで勉強して幹部候補生に合格。終戦時は少佐となっていた。
復員後は家業の廣川日進堂の事業に邁進。
ほかに先駆けて積極的な経営を行い、地元有数のパンメーカーに育て上げた。
若くして、広島県東部パン組合の理事長となり、学校給食事業や同業者の世話にも力を尽くした。福山ロータリークラブの会長として、社会奉仕にも積極的に取り組んだ。
4代目 廣川徹
東大卒のパン屋さんという異色の経歴。
会社名及びブランド名を’’ピーターパン’’に変更、
’’株式会社ピーターパン’’の設立。
独自の商品・流通を理念に商品開発に努る。
広島大学附属福山中高等学校から、東京大学経済学部経営学科に進学。
一度は日本鋼管株式会社(現JFE)京浜製鉄所に入社したが、自社(廣川日進堂)からの要請を受け、広島県福山市に帰る。
廣川日進堂を継承、企画部長として独自の商品開発を始める。
平成8年より代表取締役社長となる。3代目博重の想いを尊重し、「独自の商品と流通」を経営理念の中核にすえ、国産小麦のパン、米粉パンや糖質制限パンなどを開発する。
一方流通面では、無線活用による残業パンシステム、自動販売機でのパン販売、移動販売車、東京での見本市出展や関東圏への販売、海外での見本市出展や販売など新しい試みを続けている。2017年広島県東部パン組合理事長を務める。
1980年代頃のお話しです。その当時、パンにはカビを防ぐための保存料を入れるのが業界の常識でした。しかし、当時の当社の最高技術者がとても味覚の敏感な人で、「保存料を入れたパンを食べると舌がピリピリする」と言って、自社で作ったパンなのにあまり口にしていませんでした。
東京から家業を継ぐために福山に戻ってきた4代目社長がその状況に疑問をもち、「自然な原材料のみで作るパンをお客様にお届けしたい」と全面的に保存料の使用をやめるための研究をはじめ、1985年にはすべてのパンで保存料の使用をやめることに成功しました。
保存料の廃止については、お客様から喜ばれる声ももちろんありましたが、「カビが早くて困る」「ロスが出るのでお店での取り扱いが難しい」などの理由で苦情も多くいただきましたし、中には取引が中止になったお店さえありましたので、社内から反対の声が上がりました。
それでも、これがパン屋のあるべき道と信じて、以来ずっと保存料無添加でパンを作り続けて今に至ります。
日本の食料自給率はたったの37%!2000年に新しい製パン技術を取り入れて国産米粉を使った米粉パンの試作を始める。
2000年ごろ、当時の農林水産省から「日本の食料自給率の向上にパン屋さんも協力してもらえないか」という要請が全国のパン屋さんに発信されました。
要請を受け、何かしらの協力ができないかと考えておりましたところ、それまで不可能とされていた米粉により製パンに新潟製粉株式会社が成功したという情報を得ました。
お米の粒は、ご存知の通り外皮は柔らかいのですが、中身が大変固いため、パンに適した細かい微粉末にすることが難しく、当時米粉ではおいしいパンは作れないと言われていました。
そこで、さっそく特殊な最新技術で粉砕されたキメの細かい新潟製粉の米粉を使い、米粉パンの試作をはじめました。
米粉と小麦粉では、粉や生地の性質が全く違い、小麦粉のパンでは当時でも100年の経験があった当社でさえ、勝手が違う米粉の扱いに非常に苦労いたしました。
また、日本で最初に開発された米粉パンの生地には、膨らみにくい米粉パンを膨らませるために、普通パン作りには使われないような副材料が配合されていたため、パン屋としては違和感を感じておりそのような余計な材料は使いたくありませんでした。
そこで、毎日米粉パンを仕込みながら、ひとつづつ余分な副材料を取り除いては施策を重ね、普通のパンで使う原材料だけで品質の良い米粉パンができるようになったのが2002年です。
おかげさまで、2002年に発売いたしました「国産米粉の米太郎食パン」は農林水産省主催のフードアクションニッポンアワード2010でなんと2509件もの応募の中から、日本ハム様などの大企業とならび優秀賞を受賞いたしました。
どれだけおいしいパンを作っても、保存料の入っていないパンはすぐにカビがきてしまういます・・。
半年以上の試行錯誤の結果、2002年にやっと発売した「国産米粉の米太郎食パン」でしたが、当時は誰もが「米粉って何?上新粉?」「小麦のパンにお米を混ぜるの?」といった調子で、そもそも「米粉パンとは何か」というところから説明が必要でした。
当然たくさん売れるわけもなく、少数の気にいっていただいたお客様が買ってくださってはおりましたが、毎日売れ残るのです。
「こんなにおいしいのになあ」と売れ残った米粉パンを食べるのですが、とても食べきれるわけがありません。かといって冷凍で販売するにも運賃がかさみ、お客様にご負担をかけてしまいました、ご家庭の冷凍庫を圧迫してしまいます。
包装技術でパンの時間を止められないか?
毎日破棄される大量のパンから得た新しい発想。
ついに無添加なのに、常温で長期保存可能な技術を確立!
製造時の取り扱い方法や、包装資材の試行錯誤を重ね、何度も何度も公の検査機関に検査を依頼し、やっと現在の無添加なのに常温で日持ちするスタイルに到達いたしました。
できるだけ食品を粗末にしたくない。地球にやさしいエコなパン屋として。
無添加にこだわり、自然な原料で心を込めて作ったおいしいパンをお届けしたい。パンのおいしさは一切妥協せず、それでいて地球の限りある資源を大切に、できるだけは気を少なく・・と心がけるうちに自然とたどり着いたのが現在のピーターパンのベーキングヘルシーロングライフシリーズのスタイルです。
現在ピーターパンでは、食パンだけでなく、米粉を使った菓子パンも製造しております。
焼いていただくと、焼き立てのような風味と、米粉ならではのカリッもちっ!といった食感が大変ご好評いただいております。
2022年には、グルテンを使用しないグルテンフリー米粉パンもついに発売いたしました。
今後とも、皆さまが欲しいと思うパンを開発してまいります。