弊社は香川県坂出市で挽きたての小麦粉を製造・販売している製粉会社です。
創業から70年余り讃岐という土地柄、うどん用小麦粉を主としながら、独自開発のパン用小麦粉や乾麺うどんなどをご提供しています。
「小麦粉なんて白いだけで、どれも同じ」
…なんて思っていませんか?一見すると、どれも白くて同じに見えます。でも実際には、淡いクリーム色をしたもの、少しくすんだもの、またただ白く見えるものなど色々あることがわかります。これには様々な理由が考えられます。例えば、小麦に不純物が混じっていると、小麦粉は冴えた色にはなりません。
また小麦の種類が違うと、小麦粉の色も異なります。更には同じ小麦であっても、胚乳の中心部分からとれた小麦粉は一般に明るく、冴えた色をしているのに対し、外側に近づくにつれ、だんだんとくすんだ色になります。更には同じ小麦粉であっても、その粒の大きさ、つまり粒度によっても色合いは異なります。粒子が小さいとそれだけ光が乱反射して白く見えるのです。
そしてこれが重要な点ですが、小麦粉にはカロチノイドという色素が含まれていて、これによって製粉直後の小麦粉は淡いクリーム色、または淡黄色をしています。しかし空気に触れることによって、だんだんと白くなり、これを小麦粉の自然漂白作用といいます。つまり、クリーム色は新鮮さの証と言えます。
さて、一般に食品の味を評価する場合には、「匂い」、「食感」、「味」の3つに分けて考えます。
うどんについていえば、小麦の風味が「匂い」になります。
また、うどんといえば必ずでてくる言葉がコシですが、これが「食感」、そして小麦粉が本来もっているでんぷん質の味が、「味」となります。
では、うどんの本当の魅力とは何でしょう?
最近は判で押したように「うどんといえばコシ、コシがなければうどんにあらず」との声を耳にします。
確かにうどんにとってのコシは大切です。しかしそれだけでは何か物足りないような気がします。 むしろ、うどんの本当の魅力とは、その味にあると私たちは考えています。
具体的には小麦のでんぷん質の旨味であり、そして甘味です。
この「甘味」はうどんに限らず、すべての美味しい食べ物に共通するキーワードだと思います。
刺身、カニ、ウニ、ホタテ、イカなどなど、美味しいものにはすべてその食材、素材特有の甘味があり、それがその食材独自の美味しさになっているのです。
どんなに上手に、またきれいに作られた料理でも、素材の甘味がなければ、飽きてしまいます。
うどんも同様です。 食べていて、「このうどんは美味しいのかな、それとも美味しくないのかな?」と考え始めたら、それはきっと美味しくないだろうし、逆に美味しいうどんは無意識に箸が進んでいるはずです。
うどんのコシという感覚は強烈なので、大抵の人は一口噛んだだけですぐにわかります。
しかし、コシだけのうどんは食べていて、その内飽きてしまいます。それに対し、うどんの美味しさとは地味な感覚です。
口に入れて噛んだ後、一呼吸遅れて小麦の風味というか、ほんのりとした甘味が口の中に拡がるはずです。そしてこれこそが、うどんの本当の味であり、美味しさだと思います。これはコシの強いうどん、軟らかいうどんに関係ありません。
コシが強いうどんでも甘味のあるものは美味しい、そして軟らかいうどんも同様です。
色々な種類の美味しいうどんがあるのです。
そんなうどんをイメージしながら、私たちは小麦粉を挽いています。