DR STRINGS - FAQ③ 弦の楽しさ -
公開日:2025/01/13 更新日:2025/01/13A:弦はプレイヤーと楽器、果てはオーディエンスまでをも結ぶ重要なポイントです。
より深く弦を知って、幅広い視野で選ぶ事により、理想のサウンドへ近づくことが出来ます。
自分の出したいサウンドの特徴に最適なコアの形状、マテリアル、ゲージを選ぶことでこれまでのサウンドから大きく前進できることでしょう。
楽器本体を変えたり、アンプやエフェクターを変えるより遥かに手軽で、低価格で劇的な変化を味わうことが出来ます。
また、プレイヤーの弾きやすさ、楽器の音質の補填、ルックスさえも変化させることが出来ます。
貴方の意志を楽器、オーディエンスに伝える大切な役割を担う弦。それを選ぶことで、よりあなたの意志を明確に伝えることが出来るようになるのです。
演奏する時にニュアンスを意識し奏法を考えるように、弦を選び、考える事で、あなたのサウンドはより多くの人に伝わるでしょう。
A:ギター、ベース、ウクレレ、ヴァイオリン…などの弦楽器だけでなく、ピアノをはじめとする鍵盤楽器にも使用されている弦。
これらの見た目もサウンドも異なる楽器達は全て弦を振動させ、その音を増幅させて発音しています。
弦を振動させる方法が異なり、増幅の方法が異なるだけで、弦自体の振動は同じ動きをしています。
イメージでは弦の振動は平面的に動いていると考えられがちですが、実は三次元的に振動しています。(図1)
また、中心から大きく震えているように思われていますが、あらゆる複雑な動きを高速で繰り返すことで振動しています(図2)
この複雑な動きを様々な方法でコントロールし、音程、音量、音色、などを調整しているため、それぞれの楽器にはそれぞれ違う弦が張られています。
A:弦の音程を決定するものは三つで「テンション」「弦の重さ」「弦の長さ」で決定しています。
テンションは高ければ高いほど音程は上がります。弦の重さは軽ければ軽いほど音程は上がります。弦の長さは短ければ短いほど音程は上がります。
これらはそれぞれ影響しあうため、弦の長さを変えることが出来ない楽器の多くは「弦の重さ」と「テンション」で音程をコントロールしています。
(楽器のサイズを大きくしてしまうと持ち運びも大変ですし、設置場所にも困ってしまいますよね。)
弦楽器でお話を進めると、テンションは糸巻きやペグで調整し、弦の重さは弦のゲージや素材でコントロールします。
より、テンションを下げたければゲージを細く、よりテンションを上げたければゲージを太く…が基本となります。
ここで「5弦ベースの弦は太いけどテンション低いぞ?」という疑問が出てきますが、五弦の場合「弦の長さ」は変更できません。そして「弦の重さ」もワウンド材を極限まで太いものを選び、二重、三重にワウンドした弦を使いますが、これ以上ワウンドを増やすことも、ワウンド材を太くすることも限界です。よって「弦の重さ」もこれ以上変更できない状態にあるのです。
よって5弦はテンションを低くしてより低い音を実現したものになります。
テンションに関して言えば、よりしなやかな弦をチョイスする事によってテンションが低く感じる場合があります。
また、ゲージの太さを変えたくない場合、弦のしなやかさ、弦の素材(より軽い物を選ぶなど)でコントロールも可能です。
A:弦の音色は複雑にかつ立体的に振動する弦の振動の「癖」によって決まります。
どのように振動するか、はどのような帯域の倍音を多く含むのか。につながります。
最も低い1次倍音から高い倍音になるにつれて小さな音になるのが自然な倍音の配置ですが、振動に癖がある場合、1次以降の倍音の音量に差がでます。この現象の応用が「ハーモニクス」です。(図参照)
これは弦を振動させる位置を限定することで1次倍音以上を発生させて澄んだ高音を出す方法です。
この澄んだサウンドがどのように1次倍音に混ざるのかによって、サウンドは変わります。
振動の癖は「コアの形状」「ワウンドされている材」「巻き付ける方法」「素材の均一性」「素材の状態」など多くの製法と関わっています。
DRは一本一本の弦を職人が細やかな調整を行いながらワウンドしているため、音色面での均一性を実現しています。
A:弦の音量は「如何に大きな振れ幅で弦が振動するか」によって変化します。
よりしなやかな弦は音量が出やすく、振動の際にエネルギーの損失が少ない弦が音量を長く持続します。
また、テンションが高いと音量が出やすいという説がありますが、これは初期に与えるエネルギーが大きくなる事とテンションが高いため、アタックが出やすくなる為、音量が出るように感じるのです。
よりしなやかで、より損失の少ない弦を選ぶことが音量とサスティーンを稼ぐために重要なことなのです。
A:弦は使用頻度による進行の度合いは違うものの、日々劣化していきます。
エレキ楽器である場合弦に汚れが付着したり、錆びるにつれて磁力の反応が悪くなります。
それによって細かいニュアンスが出にくい、パワーが落ちる、サウンドがこもるなどの音色への影響と、
弦が伸びきる事によって、チューニングが不安定になる、オクターブが狂うなど音程面での影響も現れます。
更には目に見えない細かな凹みや汚れなどによって振動が不均一になることもあり、サウンドに影響します
じんわりと劣化していく弦はサウンドの変化幅が少なく、長く使用できる弦です。
また、交換の時期などはあなたの思う最高のサウンドのタイミングによります。
ベストな状態がより長く続く弦をチョイスし、状態に不満が出た時は迷わず交換する事をお勧めいたします。
A:弦はプレイヤーの指やピックで奏でたサウンドをピックアップし、本体に伝える重要な役割です。
車に例えるならばピックアップはエンジン、プレイヤーの指をハンドルとするならば、弦はタイヤのような役割です。
タイヤの無い車が走らぬように、弦の無い楽器も音を奏でません。
つまり弦は実際に音を発生させている重要なポジションにあると言えます。
弦を交換する事は本体の持つ長所を延ばし、短所を補って、理想のサウンドに近づけたりなど自由自在にサウンドをコントロールできる部分でもあります。
もっとも安く、もっとも手軽にサウンドを変えることが出来る物、それが弦なのです。