そんな中、不安が現実になりつつありました。
2010年初頭、アメリカでスリングに似た名前の抱っこ用具において数件の新生児の死亡事故が発表され、大ニュースになりました。
当時この商品は、日本でも販売されていたため、消費者庁からリコールされました。
そして、全米で見た目が似たようなタイプやスリングと名前のついた抱っこ紐は軒並み風評被害を受けて、大幅な売り上げダウン、それは弊社取扱いのNewNativeスリングも例外ではありませんでした。
徐々に日本でも影響が出始めたころ、メーカーはスリングの製造事業の停止を決定したことを通達してきたのでした。(※数年後にオーナーの娘が事業を復活させています)
突然のことでしたが、強制的に弊社の主力商品の供給が途絶えてしまったのでした。
販売ルートを増やすべく、2010年3月に楽天市場に出店して、4000程度まで増えたオーガニックコットンアイテムとスリングの販売を開始しました。
オーガニックコットンアイテムの売上が徐々に増えていくのと、スリングの売上が毎月減っていくのと、ぎりぎりの運営でした。
スリングの売上比率は26%程度まで下がってきましたが、全体の売上もピークの4分の1程度まで縮小してしまっていました。
10人ほどのスタッフも抱える中、自分の給料もほとんど返上して、何とかやりくりをする日々となってしまいました。
2011年1月に、融資を受けようと日本政策金融公庫に申込をしました。
少し威圧的な担当者にひるみながらも、何とか書類を完成させられたので、少々期待をしていました。
しかしながら、待ちに待った回答書には「融資不可」の文字。
早急に固定費を抑えるため、事務所を移転することになりました。
2週間後に迫った引越し準備中の2011年3月11日、東日本大震災は発生しました。
大きな揺れと共に停電。スタッフ、子どもたちの安否確認、電話も通じず、ワンセグ対応の携帯から流れる映像に愕然としたのを覚えています。
事務所のある横浜市では、それほど甚大な被害はなく、スタッフの可損などにも大きな被害がなかったことは幸いでした。
計画停電のスケジュールとにらめっこしながらも3月下旬まで細々と運営を続け、引越しを敢行。
泣きっ面に蜂のような展開となっていましたが、幸いにもオンラインの受注システム自体への影響はほとんどありませんでした。
段ボールを紐解く時間もままならない状態でしたが、新事務所で運営を続けることになりました。
取り組みの成果もあって、取り扱い商品点数は順調に伸びていきました。
オーガニックコットンの取扱いブランド数も日本一となりました(自社調べ)
しかしながら、すぐには売り上げ増には貢献してきません。
まだまだスリングのお店と思っているお客様も多かったのです。