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ヘタに柄合わせをするとちょっと着にくい

公開日:2024/10/21 更新日:2024/10/21
■ヘタに柄合わせをするとちょっと着にくい 長着には色々な種類がありまして、大きく分けてフォーマル用とカジュアル用の二種類があります。それぞれの違いは合い口部分の柄がつながっているか否か、というのが大まかな違いでして、着物を広げた時に縫い目の部分を超えて着物の柄が一枚の絵になっているものがフォーマル用、縫い目で途切れて柄合わせがされていないのがカジュアル用となります。 フォーマル用の代表的なものは留袖や訪問着でして、上前衽から左後身頃、右後身頃にかけて柄がつながっております。一方カジュアル用の代表的なものは小紋で、細かい連続模様で特に柄が合うようには作られておりません。 もちろん普通の小紋としてお召しになるならそれでいいのですが、これが柄によってはちょっと頑張れば柄が合ってしまうんですよ。 例えばこの図をご覧ください。
こちらは古典吉祥文様の七宝という柄でして、同じ大きさの円の上に円を1/4ずつ重ねて光を表す菱形と花びらの状の組み合わせにも見える意匠で「金、銀、瑠璃(るり・ガラス)、玻璃(はり・水晶)、硨磲(しゃこ・シャコ貝?)、珊瑚(さんご)、碼碯(めのう)」を指すらしいのですが…うーん、なんでこの模様が七宝なんでしょうね。わかりません笑。 この七宝は全く同じ大きさの柄が連続して並んでいるので少し頑張って柄を合わそうとすればある程度は合わせることができます。しかしながら合わそうと思えば合うような反物なら全て合わせるのが正しいのでしょうか。 ここから先はいろんな意見があるとは思います。つい最近も親しい同業者さんとこのような話をしたことがあるのですが、その方はできれば合わせたい方、私は合わせたくない方。どちらが正しいとも間違っているともありません。ただ単にその人、その店のセンス、そして着物に対する考え方の違いです。 先日もリサイクル着物で入荷してきたものであったんですよ。合わそうと思えば合うものだから合わせちゃった小紋が。例のような七宝のような単純な柄ではなく、パッとみた感じ絵羽模様になっているような感じでしたので見方によればセミフォーマル着の付下のようにも見えるものです。
何度も書きますが、これはあくまでもセンスや考え方の違いですのであくまでも私の考えですが、こうなってしまうと少し格が上がってセミフォーマル用途の着物に見えて逆に着にくくなるような気がして私はあまり好きではありません。私でしたら上に出てきた画像の右側の「柄合わせをしない場合」」のようにわざと少しずらして仕立ての指示を出すと思います。「小紋のようで小紋じゃない、付下のようで付下じゃないベンベン」と言いたくなるような中途半端な位置付けになってしまうよりも小紋なら小紋らしくそんなに細かい柄合わせをせずに、完全なカジュアル用途としてお召しになる、セミフォーマルものが欲しいのであれば付下を選んだ方が満足するのではないか、と思うのです。 とはいえ、これを決めるのはあくまでもお客様ですので、私としては上に書いたようなことをご説明した上で「合わせようと思えば合わせられますし、そう勧める呉服店も多々あると思いますけど、私は中途半端な気がするのであまり好きではないです」とはっきり言った上でネットでもなんでも調べていただいた上でご自身で決めて頂くようにしています…といっても呉服屋からそう言われて「そう言われても私は柄合わせをしたい」とおっしゃる方は少ないんですけどね。 柄合わせをするか、あえてしないか。なんでも相談できる呉服店やネット掲示板などで、いろんな仕立て方を提案してもらいつつ、ああでもない、こうでもないと頭を悩ませながら私だけの一枚を仕立てるのも着物の楽しみ方の一つだと思いますので、ぜひぜひ思いっきり悩みつつ楽しんでいただければ、と思っております。
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