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振袖の袖を切ると訪問着になるというけれど…

公開日:2024/11/22 更新日:2024/11/22
■振袖の袖を切ると訪問着になるというけれど… 今週のお題は「振袖の袖を着ると訪問着になるというけれど…」です。そろそろ来年の成人式の準備も佳境を迎えてきました。え?レンタルの予約はしたけどそれ以外何もやってないって?それはダメですよ!もし何か足りないものがあった場合、そろそろギリギリのタイムリミットの場合もありますのでこのメルマガを読んだらすぐに、借りるならレンタル屋さん、購入するならリサイクル屋さん、または新品呉服店へ行ってくださいっ! 本日来店されたお客様はまだ美容院の予約をしていないとのことでしたので「そりゃダメですよ、今からすぐに予約してください」とアドバイスさせていただきました。なにせ世の中のほぼ全ての成人を迎えるお嬢様方が一斉に朝10時ごろまでにセットとメイクをするんですから(着付けは呉服店などですることが多い)美容室はパンク状態になります。朝8時ごろなど一番いい時間は1-2年前から抑えられていて、そこを逃すとどんどん朝早くなってしまい、少し出遅れてしまうと夜中の3時ごろの予約になってしまい、寝不足で成人式を迎えなくてはならない、なんてことにもなりかねません。以前に着付けさせて頂いた方は寝不足のため、せっかく着た振袖で気分が悪くなって結局成人式に行けなかった、なんてこともありました。 式に出ることに決まっているのであればとにかく早く。美容院が受け付けてくれるのであれば2年先でも3年先でも構わないのでとにかく早く予約だけはしておきましょう。 11月に入ってめっきり涼しくなって冬も目前になったせいか(特に今週はめちゃくちゃ寒い!)、ここ数日振袖関係のお問い合わせが多いです。レンタルの方は大体は店の方で全て用意してもらえるし、着付けに必要な小物類を書いた書類等ももらえると思いますのでその通りにすればいいのですが、お母様の振袖=いわゆるママ振を着る方はできるだけ余裕を持って、そして呉服店に相談してください。すでにお母様が着ているのでほぼ購入するものはないかもしれませんが、あると思っていた長襦袢がなかったり、シミが出ていたりということが多々あります。
振袖用と思っていた長襦袢が訪問着用でどこにいったかわからない、というのは毎年のようにあります。振袖用の長襦袢も振袖と同じで袖丈が長くなってますからね、訪問着用とは全く違うので間違いのないようにしてくださいね。もし探してもなかった場合は場合によってはオーダーする必要もありますがこの11月下旬ですとタイムリミットギリギリです。 前置きが少々長くなりました。振袖というと、簡単に言えば訪問着の袖丈が長くなった未婚女性の第一礼装です。訪問着の袖丈は一般的には1尺3寸=49cmと言われておりますが振袖は3尺前後、105cm-115cm程度となります。この袖丈は着る方の身丈によって調整されます。ここで一つ注意しておきたいのがリサイクル店で振袖を購入するとき。一般的に小紋や紬、訪問着など一般的な着物の適正な身丈は±5cmと言われており、身丈は許容範囲が大きく、多少寸法が違っても自然にお召しいただけます。洋服と違って寸法に対する許容量が多いのがリサイクル着物の人気の理由でもあるのですが、振袖だけは少し注意する必要があります。 振袖のリサイクル品はレンタル屋さんからの処分品が多いので、170cm前後のやや身丈が長めのものも多いのですが(注)「身丈はある程度調整がきくだろう」なんて適当に購入してしまうと袖が長すぎて床に引きずってしまうことになってしまうので、ご自身の身長と比べて身丈のあまり長いものは袖丈に注意して選んでください。 注:「大は小を兼ねる」と思っているレンタル屋さんが多いのか、最低でも身丈165cm、大きいのになると175cmぐらいのもあるんですよ。ただし袖丈は105cm前後と標準的な寸法になっていることが多いので160cm前後の方でもお召しいただけるようになっていることが多いです。
話を戻します。最近でこそ振袖は安くなってきておりますが、私がこの業界に入った頃は「振袖一式100万円」なんて言われてました。バブルが終焉を迎えた頃ですが、それでもまだバブルの残り香があり、職人さんも存分に力を発揮できるような豪華な振袖が作られていた時代でした。当時は振袖一式100万円と言われていた時代で、先輩からは「100万円と聞くと高いように思うけれど、袖を切れば訪問着になるし、長襦袢も使える。帯もおとなしいのにしたら留袖や訪問着にも使えるから決して高くはない」なんて教わりましたが、この業界で30年ほどいるとこの先輩の話に少々疑問符が浮かぶようになりました。 袖を切れば訪問着になる、という方は多いんですが、正直なところ私はそうは思わないんですよね。振袖って20歳という一番元気で力があり、若さのみなぎる時期ですから地色もそれに負けないように強めの色が使われることが多いです。定番の赤、強めの濃いピンク、濃紺など強い色が多いです。また、柄も訪問着などに比べて大きめではっきりした印象です。呉服に携わって長い方でしたら、地色や柄の一部を見ただけで全体が隠されていても振袖か訪問着か見分けがつくかもしれません。 八掛もその表地に合わせて強い色をつけるのが定番になっています。訪問着などではまず使用されない真っ赤なものが使われるなど、かなりはっきりとした色を使うことが多いですね。当店が仕入れている競り売りの現場では順番に着物が流れてくるのですが地色と柄、八掛を見ると袖を短く切った「元振袖の訪問着」が流れてきてもだいたいわかるので 「これ振り切りやな」 「せやな(地色が)キツいな」 「八掛も赤いしな」 みたいな会話がなされます。
もちろん振袖の袖を切ったものでもいいのですが、訪問着としてみるとどうしても色柄がきつくなってしまうため、あまりこういう言い方はどうかと思うのですが夜の仕事に従事するような方の雰囲気が出てしまうんですよ。ああいう店はどちらかというと店内が暗くなっているので少しはっきりとした色合いが好まれますし、メイクや髪型も派手な感じですから着物も派手な感じのはっきりとしたものを好む傾向がありますし似合います。逆に優しい顔立ちのはんなり系、清楚系のお顔立ちですと似合わなくなってしまいます。袖が短くなっただけなんですがそれだけで全く雰囲気や印象が変わってしまうのが不思議ですし面白いですね。 当店にも振袖の袖を短くして欲しいという依頼はたまにありますが、訪問着としてお召しになってもあまり違和感のないものであったならご依頼通りに仕事をいたしますが、例えば真っ赤な振袖に大きな花柄が上前にドドーンとあるような着物ですと「これ、訪問着にしてもすごく違和感があるし、地色も派手だからあまり着られないと思う。それなら将来結婚して娘さんができた時などのためにそのまま保管するほうがいいのでは?」とアドバイスさせていただき、それでも短くしたいという方のみ短くさせてもらっています。呉服店としては余計なことかもしれませんが着物に携わるプロとして、せっかく綺麗な振袖はできるだけ綺麗なままで着て欲しい、という気持ちからですのでご理解いただければありがたいです。 最後に袖の切り方ですが、肩山から1尺3寸=約49cm程度になるようにバッサリと切れればいいのですが、袖を着ることなど全く考えられていないデザインも多く、1尺3寸にしようとすると柄が中途半端なところでバッサリと切られてしまう場合がございます。その場合は、若い方でしたら1尺5寸=約57cmなど少し長めにして柄の収まりがいいところで切ります。
また、袖付けと身頃の柄が繋がっていない場合に限りますが、袖山部分の位置を少し変えて柄をちょうどいい位置に持っていくこともあります。これは袖の作り直しになるので少々費用がかかってしまいます。ただ単にバッサリ切るだけで綺麗に仕上がるのか、袖を回すところまで必要か、いずれの方法も一旦切ってしまうともとには戻せませんので依頼する呉服店と細かく打ち合わせをして納得のいく出来上がりにしてくださいね。 ただ、ワタクシ的には振袖の袖を切って訪問着にして違和感のないようなデザインのものは決して多くないんですよね…。 この文章は毎週水曜日配信の当店のメルマガからの転載です。配信ご希望の方は商品購入時にメルマガ配信のチェックを外さないようにお願いいたします。