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袋帯=フォーマル用の帯ではないのです

公開日:2024/12/06 更新日:2024/12/06
今週のお題は「袋帯=フォーマル用の帯ではないのです」です。袋帯といえば、フォーマル用のキンキラした帯というイメージではないでしょうか。以前にこのメルマガで取り上げた「染めの着物に織の帯」というのはそのキンキラした織の袋帯とイメージして頂ければこの格言(?)もしっくりくると思います。 先週書いた着物で京都にランチに行った友人(未読の方はnoteにて「きくやてんちょ」で検索していただければバックナンバーを保管しております)、ネットで情報収拾をしていながらもちょっとわからないことがあったらLINEで連絡がきて結構うるさいです(笑)。でもまあ着物に興味を持ってもらうのは業界人としては非常に嬉しくこちらも気を良くしていろいろ答えており、最近は着物に合う長襦袢の寸法の選び方をレクチャーしつつ、シンエイさんの商品のURLを「これいいんじゃない?」と送ったり(←よその店の商品勧めるな)。 そんなこんなで面倒くさいながらもありがたく思っているその友人のLINE攻めですが、先日帯についてのLINE攻めがありました。着物初心者にとっては必ず当たる壁、この着物にどんな帯が合うの?というものです。先週のメルマガで書いたようになんとなくわかっているようなのでそんなにいちいち聞かなくてもいいやん、と思うんですがやはり初心者は不安なんでしょうね。 と言っても人のセンスなんて色々、十人十色ですので帯と着物の格さえ合わせておけば、間違いということはありません。大事なのは格を合わせることでして、逆に格があっていなければ「間違っている」とみなされてしまいます。つまり、カジュアル用の着物にフォーマル用の着物を合わせたりしないことが重要で、洋服で例えれば上がジャケットを着ていて下がジャージ、足元はサンダルみたいなそんなチグハグなことになってしまいます。 で、その友人の持っている着物をいろいろ写真に送ってもらいましたが、なかなかセンスのいいものを買い揃えているようで、この着物にはこの帯があうのか、どういう合わせ方をすればいいのか、と話しているうちに面白い帯を発見しました。長さが430cmぐらいあるので袋帯なんですが金糸などは全く入っていない、いわゆるシャレ袋と呼ばれるカジュアル用の袋帯です。
「お、これいいんちゃうのん?」というと「え?これ買ったんだけど小紋とかに合わせる帯と思ったら長くて袋帯やってん。訪問着とかに合わせるやつだから間違って買ったと思ってたんやけど…」というので今日のお題を思いつきました(笑)。そう、袋帯=フォーマル用の帯ではないのです。 袋帯はだいたい1丈1尺5寸=430cmぐらいの長さがあり、一般的には金糸銀糸がふんだんに織り込まれてキラキラしているフォーマル用の帯が多く流通しておりますので袋帯というとフォーマル用と思われるかもしれませんが、実際はそうではなくフォーマル用の名古屋帯があるように(例えば綴れの名古屋帯などは格が高く留袖にもお使い頂ける場合がございます)袋帯にもカジュアル用の帯が存在します。後述いたしますが最近は特にカジュアル用の袋帯が増えてきたような気がします。 すごく荒っぽい言い方をすれば金糸銀糸が入っていない袋帯はだいたいシャレ袋と呼ばれるカジュアル用の帯で、普通に紬や小紋などに合わせてお使いいただける一方、そういったものはあくまでもカジュアル用の帯ですので訪問着や留袖などにはお使いいただけません。 もう一つ言わせていただくと、長着(ごく一般的な着物)は留袖や訪問着、付下や小紋、紬などかなり明確に格が決まっているのですが、帯に関しては意外とカジュアルフォーマルどちらにも合うものが少なくありません。紬や小紋からモダンな柄の訪問着まで幅広く合わせられるものも多くなっています…というか、私が新品屋さんをやっていた20年前頃からすでに名古屋帯はだんだん下火になってメーカーさんは袋帯にシフトしているような気がします。 このメルマガを読んでくださっているようなコアな着物ファンは「二重太鼓は面倒臭いから名古屋帯のほうが好き」という方も多いと思うのですが、あくまでも私の感覚としては新品着物としては名古屋帯よりも絶対的に袋帯の方が売れます。名古屋帯は展示会場の中の片隅に置かれているようなイメージですが、袋帯はあちこちに置かれていて商品点数としても多かったように思います。
完全に業界の裏話的なことを書いてしまいますが、名古屋帯はなんとなく安いイメージ、袋帯は高いイメージがありまして、手の込んだ名古屋帯でも15万円のものを販売するのはなかなかハードルが高いのですが、袋帯ですと15万円でもお客様も「安いやん」と言ってくださるんですよ。展示会の時には袋帯1本20万-30万ぐらい、作家ものともなると50万円というイメージでしたが名古屋帯でそんな値段はまずいただけません。 同じ手間…とまでは言いませんが、名古屋帯よりも少し長く織っただけで2倍、3倍の価格で販売することができるのなら、それがいいか悪いかは別としてメーカーさんも名古屋帯から袋帯にシフトしていこうとするのはごく当然の話ですよね。というわけでおそらく今、名古屋帯を作るメーカーはどんどん少なくなっていき、袋帯にシフトしているのではないかと思いますし、主にカジュアル用に使われていた名古屋帯が少なくなっているのであれば、その位置にカジュアル用の袋帯が入ってくるのは当然ですね。 あくまでも私の勝手な想像ですが、これから20年、30年と経つと名古屋帯がなくなっていき、袋帯だけになってしまうのではないでしょうか。いや、袋帯も悪くはないとは思いますが、今まで普通にあったアイテムがなくなっていくのもなんとなく寂しくはあります。まあこれも服飾文化の変化と言えばそうなんですけれど。 というわけで袋帯=二重太鼓はフォーマルというわけではなく、カジュアル用の袋帯も一般的になっておりますのでもしまだシャレ袋帯を持っていないという方は最近も多数入荷しておりますので是非一度挑戦してみてください。結構バリエーションが多くなっていて、柄としては名古屋帯よりも面白いものがあるかもしれませんよ。ちなみに当店の商品節目には必ずカジュアル用かフォーマル用かと書いておりますので、参考にしてみてくださいね。 今日はちょっと短めですがこの辺で。 この文章は毎週水曜日配信の当店のメルマガからの転載です。配信ご希望の方は商品購入時にメルマガ配信のチェックを外さないようにお願いいたします。