水引の眩（まばゆ）い魅力

【水引の起源と発展】 水引の起源は飛鳥時代にまでさかのぼります 遣唐使が帰朝した際　唐からの返礼使の贈り物に「航海の無事平穏」の祈りを込めた紅白の麻紐が結ばれていました これが水引の起源となり　宮中での献上品を紅白の麻紐で結ぶ習慣が広がりました 当時は「くれない」と呼ばれ、「みずひき」と呼ばれるようになったのは平安時代に入ってからです 水引には　贈物と一緒に「相手の幸せを祈る」という意味があるのです 麻紐であったものが和紙となったのは室町時代からです さらに日本独特の文化として定着したのは　江戸時代になってからのことでした

【元結】 古来　和紙を「こより」にして紐としていました その丈夫なものを元結（もとゆい）といいます 元結で　髪の根元（もとどり）を結んでいました　 相撲取りの髷や日本髪を結うときなどに使います 古くは麻糸や組紐が使われていましたが　近世には和紙を細く折りたたんだり　撚ったりしたものが用いられるようになりました 1600年代の終わりころには　コウゾやミツマタなどが生育し和紙の産地であった飯田（長野県）の丈夫で水に強い元結が有名になっていました 「飯田」の地名は、「結いの田」が語源になっています 【水引】 飯田で水引の製造が始まったのは1700年頃のことです 元結に水糊を引き　色付けをした「色水引」が原型です 時は流れ　大正デモクラシーの時代になると　短髪パーマの普及により日本髪が廃れ　元結も販路を失っていきます そこで飯田は元結から水引生産に大きく転換してゆきます もともとの結びの慣習と相まって　飯田の水引が全国の70％を占めるようになりました 昭和30年代には機械化も進み　ポリエステルの糸を巻いたもの　フィルムを巻いたものなど　多様できらびやかな水引が生産されるようになりました 現在水引の生産地は　飯田のほかに京都　四国（伊予水引）などがあります 伊予水引も元結の生産から水引に移行した歴史があります

【用途と結び方】 ・・・祝儀に使う・・・ ★真結び（結びきり） 簡単で基礎的な結び 水引の左右を引けば引くほど結び目が強まるので一度結ぶとほどけにくい 儀式は二度行わないため　儀式の時に使用されます ★あわじ結び（あわび結び） 結びきりの一つで　一度結ぶとほどけにくいことから「再び繰り返さないように」という願いが込められています ご祝儀・不祝儀など全般に使用されます 水引細工の中で一番使われている結び方です ★花結び（蝶結び） 結び目が簡単にほどけ　もう一度結びなおすことができることから「再びあるように」という意味があります 婚礼以外の一般の祝い事や季節の贈り物の結びに用いられます ★日の出結び 結びきりの一つ 結びきりであまった水引は切り落としますが　切ることを避けて余った水引を輪にしたものです 昇る太陽は生命力のみなもと お祝い事　特に婚礼に使われることが多い結び方です ・・・不祝儀・・・ シシンプルなあわじ結びを用います ・・・結納品・・・ 戦国時代に始まったといわれる結納 現在のような形式になったのは　大正天皇の結婚の儀式が広まったものだそうです 水引のついた結納品の交換がなされます ・・・お正月飾り・・・ 縁起物を多種多様に飾ります 【代表的な結び方と込められた意味】 ★松　不老長寿（一年中青々している） ★竹　子孫繁栄（強靭な根を持ち筍を宿す） ★梅　運命向上（冬の寒さに耐え春に先駆けて咲く花） ★鶴・亀　不老長寿　夫婦睦まじい老境の象徴（鶴は千年　亀は万年）

【水引　扱い方のコツ】 ★水分・湿気について 色水引は撚った紙芯を色水糊で固めたもの 手持ちの色水引を　幾本かゴム等で束ねて湿気の多いところに長時間置いておくと　糊が生きて水引がくっつくことがあります また濃い色は　水気で色落ちする場合があります・・・ご注意を！ （色水引だけの現象で　ほかの種類にはおこりません） ★ピンと張った水引 作品で水引を丸くしたいとき　その部分を親指と人差し指の腹でしごいて　柔らかくして　丸めてください 逆にピンと張ったままにしておきたい場合は　しごきません 例えば　淡路結びの中央部分は　しごいて柔らかくして丸めて曲線部分を作りますが　左右のピンととがったところはしごきません ★基本の結びは・・・淡路結びです 淡路結びをマスターすればあとは応用といってもいいですね

★ワイヤーについて サムネ画像の鶴のように　複雑な細工の場合　ワイヤーでとめる場合があります ワイヤーは直線（裸線）・地巻きと2種類あって　水引細工には直線ワイヤーが適しています 水引の紙芯にしっかり食い込ませて　型崩れを防ぐためです 紙巻ワイヤーは造花用です 直線ワイヤーは　金　銀とありますので　作品になじむ色がいいでしょう

最近はラッピングやアクセサリーにも大活躍の水引 あなたもオリジナルにチャレンジしてみませんか？