UPSによる停電対策
UPSの導入をおすすめ 中級編Vol.1
地震や台風、大雨による災害が続いています。ライフラインが絶たれるような大災害には至らなくとも、電源トラブルで業務が滞ってしまったり、データが壊れてしまったりということは起こり得ます。BCP対策にはUPSを備えておきましょう。
停電が起きる理由
2024年9月に起きた能登での大雨は記憶に新しいところですが、多くの場所で停電が発生し、9月30日時点でもなお850戸の停電が続いている状態でした。
2021年2月13日に福島県沖を震源とする地震が発生し、東北の一部では震度6強を観測しました。この影響で、東北地方に影響が大きかったのはもちろんのこと、地震の影響がほとんどなかった東京エリアでも停電が起こりました。
地震直後、東北地方の火力発電所6か所が設備の安全確保のため緊急停止。東京電力パワーグリッドと東北電力ネットワークのサービスエリア内は、エリア全体の周波数を一体で管理しているため、離れた地域まで影響が及んだといいます。
地震、風雨以外の停電の原因には以下のようなものが挙げられます。
● 雷：電線に落雷し、設備が損傷するために停電が起こります。1分以内の短い停電「瞬停」の7～8割は落雷の影響によります。
全国各地の気象台、観測書の目視観測に基づく雷日数の平均値（1991年～2020年）は最多の金沢で45.1日にも及びます。
● 大雪：電線に雪が付着して重くなり、風で揺れると電線同士が接触して停電になります。また、電線近くの樹木などに雪が積もり枝が電線に倒れ掛かることが原因になることも。
● 鳥獣害：鳥が電柱に巣をつくり、金属などが巣に使われているとそこに電気が流れ、停電になります。
● 車両・重機衝突など：自動車などが電柱などに衝突すると停電が起こります。事故後に周囲の安全を守るために電気を止める場合もあります。
● 近隣火災：電柱や電線などの設備が損傷し、停電になります。
電力会社の努力により頻度は減っていますが、災害や事故、温暖化でエアコンの使用量が増えたことによる電力逼迫などで、いつ停電が起きるかわかりません。そのために常に停電対策をしておく必要があります。
停電対策が必要なもの
オフィスでPCが使えなくなったら業務が滞るのは言うまでもありません。その他、停電が起こるとどんなところに影響があるでしょうか。
【医療機関やオフィス拠点】
PC以外にも、NASやネットワーク関連でフロアスイッチ（ネットワークの中枢部と末端部との橋渡しを行う装置）、無線アクセスポイント、ONU（光信号とデジタル信号を相互に変換する装置）などの電源確保が必要です。
【サーバールーム】
サーバー本体とストレージ、その他ネットワークにつなぐためのネットワークスイッチ、ルーター、UTMなどそれぞれの電源確保が必要です。
【POSレジ】
小売店では、POS・レジ、決済端末、PC、ONUなどの電源確保がないと、精算業務ができなくなります。
【監視カメラ】
ネットワークカメラと、POE HUB（給電ハブ）、監視質のPC、モニター、ネットワークレコーダーなどの電源確保が必要です。
APCのUPSがあれば安心
UPS（無停電電源装置）は、停電などの電源トラブルが起きたときに、安全に機器をシャットダウンするためのバックアップ電源を供給する装置です。シャットダウンを稼ぐためのものは3分程度のバックアップ電源が供給されるようになっていますが、製品によっては約90分のランタイム※ （バックアップ時間）となっており、その間は業務を止めずに済みます。拡張バッテリーを使えば最大約3000分まで補えるものもあります。
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UPSを備えておけば、停電が起きた場合にこのような効果が期待できます。
●雷サージから電子機器を守る
●処理中のデータ損失やファイル破壊を防ぐ
●一定の時間、電力供給し作業継続が可能
おすすめの機種
UPSの給電方式には、常時商用給電方式とラインインタラクティブ方式、常時インバーター方式の3種類があります。
●常時商用給電方式：平常時は商用電源（AC電源）を接続された機器に給電し、異常時にはリレーでバッテリー出力に切り替えます。安価で低消費電力なことがメリットです。
●ラインインタラクティブ方式：平常時はノイズフィルターを経由して給電し、異常時はバッテリー給電に切り替わります。電圧変動に対して回路で修正し、ごく短時間でバッテリー運転に切り替わること、消費電力が比較的少ないことがメリットです。
●常時インバーター給電方式：常にインバーター回路を通じて安定した電源を供給します。
まとめ
●停電のリスクは、震災、台風、大雨などの自然災害以外に、鳥の営巣などでも起こり得る
●UPSがあると停電時にバックアップ電源に切り替え、IT機器を安全にシャットダウンできる
●UPSの機種によっては1時間以上のバックアップ時間をもち、停電中に業務を続けることも可能
●BCP対策にはUPSを備えておきましょう