ラックPDUとは？ ～比較からオススメまで～

データセンターやサーバールームにおいて必須となるのが、サーバーやネットワーク機器などのIT機器への安定した電力供給です。そこで重要な役割を果たすのが「ラックPDU（Power Distribution Unit：電力分配ユニット）」です。ここではラックPDUの役割、種類、選び方などについて解説します。

PDUとは、複数の機器に電力を分配する機器です。その中でもラックPDUは「サーバーラック内に設置されるPDU」であり、ITシステムを構成する精密機器に電源を分配するための高度な機能を備えています。製品の機能は家庭用の電源タップに似ていますが、単純にコンセントを増やすだけでなく、電源管理、監視、制御など高度な機能を提供しています。 ラックPDUの主な役割は以下のとおりです。 ● 電力分配: サーバーラックに設置された複数の機器に安定した電力を供給 ● 電力管理: 消費電力の計測、監視、制御の機能を提供し、電力効率を最適化 ● 障害予防: 過電流や過負荷などの電気的なトラブルの検知 ● 遠隔管理: リモートでPDUの状態を監視し、電源のオン/オフなどを制御 近年、環境負荷低減の観点から電力効率の高いPDUが注目さています。また、UPS（無停電電源装置）と組み合わせて使用することで、停電時にも電力を供給し、システムのダウンタイムを最小限に抑えることができます。

ラックPDUは、機能や形状によってさまざまな種類に分類されています。 機能による分類 ラックPDUは提供する機能によって、以下のように分類されます。 ● ベーシックPDU: 基本的な電力分配機能を提供するシンプルなPDU ● メータリングPDU: 電力計測機能を備え、消費電力をリアルタイムで監視可能なPDU ● インテリジェントPDU: 電力計測、高度な制御、遠隔管理など高度な機能を備えたPDU 用途に応じてさまざまなラックPDUがありますが、近年はインテリジェントPDUにメリットを感じている企業も少なくありません。インテリジェントPDUは、従来のPDUに比べて以下のようなメリットがあります。 ● 電力効率の向上: 消費電力を詳細に把握することで、無駄な電力消費を削減 ● ダウンタイムの削減: 遠隔監視機能により、障害を早期に発見し、迅速に対応 ● 運用コストの削減: 人手による監視作業を削減し、運用コストを削減 ● キャパシティプランニング: 電力使用状況のデータに基づいて電力需要を予測し、適切なキャパシティプランニングを実現 形状による分類 PDUの形状は、設置場所や設置方法によって以下の2種類に分類されます。 ● 水平型PDU:ラックの横方向に設置するタイプ ● 垂直型PDU: ラックの縦方向に設置するタイプ 水平型は他のサーバー機器やネットワーク機器と同様の設置方法です。垂直型はスペース効率に優れていますが、データセンターやサーバールームの環境によっては設置が難しい場合もあります。

ラックPDUは安定した電源供給によってシステムの安定稼働を実現するだけでなく、電力管理の効率化も実現します。しかしながら、製品によって提供する機能や価格が異なるため、ラックPDUを選択する際には、目的、予算、設置場所、必要なコンセントの数などを明確にイメージすることが大切です。 ラックPDUの導入を検討する際には、以下を確認します。 ● 必要なコンセント数と形状: 接続する機器の数とコンセントの形状 ● 電力容量: 接続する機器の合計消費電力 ● 電圧と電流: 電源環境に合った電圧と電流 ● 管理機能: 必要な管理機能（メータリング、遠隔監視、制御など）は何か ● 設置場所: ラックのサイズや形状、設置方法 (水平型か垂直型か) ● 安全性: 安全規格に適合したPDU製品であるかどうか ● 信頼性: 長期間安定して使用できる信頼性の高いPDU製品であるかどうか ● 製品サポート: 充実したサポート体制の有無 ● コスト: 予算に合う製品であるかどうか

電子機器にとって要となる電力供給という機能を提供することから、ラックPDUの安定性や信頼性は重要なポイントです。また、製品のサポート体制の充実度も確認しておくことが大切です。 シュナイダーエレクトリックは、データセンターやサーバー室向けの高性能なラックPDUを幅広く提供しています。特にメータリングPDUやインテリジェントPDUにおいては、高度な電力管理機能と信頼性で高い評価を得ています。 複数の機器に安定して電源を供給したいだけなのであればコストパフォーマンスに優れたベーシックPDUを選択すべきですが、高度な制御による機器の保全や安定稼働、キャパシティプランニングを実現したいのであればメータリングPDUやインテリジェントPDUの導入を検討します。