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田原酒造「雪鶴」ー昔ながらの箱麹法が活きる知る人ぞ知る酒

公開日:2025/02/17 更新日:2025/02/17
■「雪鶴」—雪国の風景を映す美酒 田原酒造が醸す「雪鶴(ゆきつる)」は、雪の広がる原野を優雅に舞う鶴の姿をイメージして名付けられました。その命名者は、「新潟銘酒の父」と称される新潟財務局鑑定官・田中哲郎氏。戦前・戦後を通じて新潟の酒造りを指導し、日本酒の品質向上に尽力した人物です。 ■受け継がれる伝統の麹造り 田原酒造では、昭和初期に建造された伝統的な麹室(こうじむろ)を使用し、昔ながらの箱麹法で丁寧に麹を造っています。 この麹室は、壁の厚さが1メートルにも及び、天井や床には籾殻(もみがら)がぎっしりと詰められています。籾殻は保温性に優れ、自然な温度管理を可能にし、電熱器ひとつで適温を維持できるほど。窓の先に広がる外気と対比しながら、麹がじっくりと育まれます。 ■仕込み水へのこだわり 「雪鶴」の仕込み水には、頸城駒ヶ岳(くびきこまがたけ)山麓の天然湧水を使用しています。 この水は、西海谷市野々(にしうみだにいちのの)の湿原に湧く、きめ細かく柔らかな名水。「市野々の湧水」とも呼ばれ、古くから酒造りに最適な水とされてきました。 この清冽な湧水を仕込み水とし、伝統の技法とともに丁寧に造られる「雪鶴」。新潟の風土と職人のこだわりが生み出す、上品で優雅な味わいをお楽しみください。
糸魚川の環境と歴史
田原酒造がある糸魚川は、古くから交通の要所として栄えた土地です。江戸時代には加賀藩主・前田利常がこの地を訪れ、加賀と江戸を結ぶ重要な拠点として利用していました。利常は徳川方として大坂冬の陣に参戦し、圧倒的な動員兵力を誇った武将。この地を訪れた際、糸魚川の人々にとっても大きな出来事であったことでしょう。 そんな糸魚川の大地には、日本列島を東西に分ける「フォッサマグナ(糸魚川静岡構造線)」が走り、地質学的にも非常に珍しい地域とされています。特に、世界的にも貴重なヒスイの産地として知られ、古代から金以上に貴ばれてきました。 かつて新潟から福井にかけて広がる「高志国(こしのくに)」と呼ばれる大国がありました。時を経て「高志」が「越」となり、越前・越中・越後へと分かれましたが、その名残は「山古志」や「古志神社」などの地名にも見ることができます。 その高志国を治めたとされるのが、伝説の姫奴奈川姫(ぬながわひめ)。『古事記』や『出雲風土記』にも記され、ヒスイの勾玉を身につけていたと伝えられています。巫女として祭祀を司り、ヒスイを用いた祈りを捧げていたとも考えられています。奴奈川姫を祀る石祠や塚が見つかるなど、その実像が少しずつ解明されています。 田原酒造の近くには、ヒスイが流れ着くことで知られる「ヒスイ海岸」があります。ここでは、砂浜ではなく石ころが広がり、糸魚川の山々から長い年月をかけて流れ着いたさまざまな石を見ることができます。その中には、本物のヒスイが混ざっていることもあり、運が良ければ貴重なお宝に出会えるかもしれません。採取した石は「フォッサマグナミュージアム」で鑑定を受けることも可能です。 歴史と自然が息づくこの土地で、田原酒造は糸魚川の清らかな水と伝統の技術を活かした酒造りを続けています。
水へのこだわり
田原酒造が醸す「雪鶴」は、口当たりが柔らかく優しい味わいを目指した酒。その味を実現するために、仕込み水には頸城駒ヶ岳(くびきこまがたけ)山麓の天然湧水を使用しています。 糸魚川はフォッサマグナの影響を受け、ミネラル分を含んだ中硬水が豊富な地域ですが、雪鶴に求める「きめ細かく柔らかな軟水」とは異なります。そこで田原酒造は、西海地区の農業組合と契約し、片道30分かけて2tのタンクローリーで湧水を運搬。蔵内には1万リットルのタンクを設置し、酒造りに必要な水を確保しています。 さらに、田原酒造では特許技術「ハイドロトリーター」を導入。NASAの水処理技術を応用し、アルコールと水を強力に水和させることで、より口当たりが優しくまろやかな酒に仕上げます。この技術により、アルコールの吸収と分解をスムーズにし、悪酔いの原因とされる活性酸素やアセトアルデヒドの発生を抑制。特に新酒や無濾過生原酒では、その効果が顕著に表れ、旨味が一層引き立ちます。 かつて「新潟銘酒の父」と呼ばれた田中哲郎氏が目指した、「口当たり柔らかで優しく、旨み豊かで酔い覚め爽快な酒」。田原酒造は、その理想を叶えるために、今もなお水へのこだわりを貫いています。
酒造りのこだわり
伝統の手造り製法 田原酒造では、和釜こしきと小蓋による麹造りという昔ながらの手法を大切にし、職人の手で丁寧に酒を醸しています。設備の多くは昭和の中頃までに導入されたもので、先進的な機械に頼らず、昔ながらの技法を守りながら酒造りを行っているのが特徴です。 全量「槽搾り」で丁寧に上槽 一般的な酒蔵では、搾りの工程(上槽)において、自動圧搾機(ヤブタ)を使用し、効率的に酒と酒かすを分離します。しかし田原酒造では、すべての酒を「佐瀬式槽搾り」で搾ることにこだわっています。 槽搾りでは、醪(もろみ)を布製の酒袋に詰め、大きな木製の槽(ふね)に敷き詰めます。酒袋の自重によって自然に酒がにじみ出し、数日かけてゆっくり搾ることで、雑味の少ない澄んだ味わいの酒が生まれます。機械搾りに比べ手間と時間がかかりますが、その分、繊細で豊かな味わいを持つ酒ができるのです。 「瓶燗火入れ」によるこだわりの品質管理 田原酒造では、特に純米酒や純米吟醸において、瓶燗火入れという手法を採用。これは、搾ったばかりの生酒をすぐに瓶詰めし、瓶の外側からお湯をかけて火入れを行う技法です。 この方法により、酒が酸素と触れるのを極力防ぎ、生酒ならではの新鮮な風味や旨味を閉じ込めることができます。その後、約半年の熟成期間を経て、よりまろやかで奥深い味わいに仕上げられます。 首都圏で愛される味わい こうしたこだわりの酒造りの結果、田原酒造の酒は特定名称酒の割合が80%以上を占め、淡麗辛口が主流の新潟県内よりも、味わい深い酒を好む首都圏での人気が高まっています。 昔ながらの製法を守りながらも、品質向上のための工夫を惜しまない田原酒造。職人の手仕事とこだわりが生み出す「雪鶴」の深い味わいは、多くの人々に愛され続けています。
更新日04/0804/0104/07集計