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田中酒造「能鷹」ー能ある鷹は爪を隠す砂丘地形から生まれる独自の淡麗辛口蔵

公開日:2025/02/18 更新日:2025/02/18
新潟県上越市の直江津に位置する田中酒造は、1643年創業の歴史ある酒蔵です。日本海に面した港町・直江津は、古くから甘口の酒が主流でしたが、田中酒造は一貫して辛口の酒造りを貫いています。 この地域は、日本でも有数の長さを誇る潟町砂丘が広がる独特の地形を持ちます。冬の風が運んだ砂が堆積し、長い年月をかけて形成された二重構造の砂丘の下には、安定した水脈が流れています。田中酒造はこの砂丘の上にあり、砂によってろ過された清冽な地下水を仕込み水として使用。江戸時代から続く伝統の技と自然の恵みを活かし、直江津の風土を映したキレのある辛口の酒を醸し続けています。
田中酒造の歴史
田中酒造は1643年(寛永20年)に創業した新潟県上越市の老舗酒蔵です。現在のえちごトキめき鉄道・谷浜駅前に位置し、前方には雄大な日本海、背後には急峻な山々が広がる、全国でも珍しい立地にあります。長い歴史の中で、時代の変化とともに幾度もの困難を乗り越えながら、伝統を守り続けてきました。 屋号「能登屋」と銘柄「能鷹」の由来 創業当初の屋号は「能登屋(のとや)」。かつて酒を石川県まで船で運搬していたことに由来し、運び手を指す「のと」から名付けられました。創業時の銘柄は「公乃松(きみのまつ)」でしたが、昭和18年に当時の店主である田中キミ氏が、屋号の「能」と座右の銘である「能ある鷹は爪を隠す」から「鷹」を取り、「能鷹(のうたか)」と命名しました。この名は現在まで受け継がれ、田中酒造の代表銘柄となっています。 戦時中の苦境と再興 昭和18年は戦時下にあり、多くの酒蔵が廃業に追い込まれました。田中酒造も酒米の配給が厳しく、経営継続が困難となり廃業の決断が下されました。しかし、その決定を知らされた田中キミ氏は「私がやります」と力強く宣言し、酒蔵を存続させました。昭和18年から23年にかけて、極めて限られた酒米で酒造りを続ける苦しい時期がありましたが、キミ氏の強い意志が酒蔵の命運をつなぎました。 近代化と発展 昭和30年には資本金500万円で株式会社田中酒造を設立し、近代的な酒蔵の建設を進めました。その後も麹室の新築(昭和33年)、瓶詰め自動ラインの導入(昭和40年)、新たな搾り機の導入(昭和49年)など設備の近代化を図りながら、伝統を守る酒造りを続けています。 平成元年には、関東信越国税局酒類鑑評会で主席第1位を獲得し、品質の高さが広く認められました。平成3年には資本金を1,000万円に増資し、関東方面への販売を拡大。現在も地元のみならず、全国の日本酒ファンに愛される酒蔵として、その歴史と技術を受け継ぎながら歩み続けています。
直江津の環境と歴史
砂丘が育む清冽な水 田中酒造が建つ土地には、潟町砂丘と呼ばれる全長約20kmに及ぶ日本有数の海岸砂丘が広がっています。この砂丘は、数万年〜十数万年の歳月をかけて形成されました。冬場に海から沖へと運ばれた砂が、夏には再び戻って積み重なり、風によって小高い丘を作り出す。この二段構造の砂丘は、地形によって窪地や沼(潟)を生み出し、地下水の水脈を形成しました。 田中酒造は、まさにこの砂丘の上に位置しており、掘られた井戸からは砂によってろ過された清冽な地下水が湧き出ています。この水は、江戸時代から続く田中酒造の酒造りに欠かせない重要な要素となっています。 直江津の歴史と信仰の影響 直江津は、奈良時代に国府が置かれ、越後の政治の中心地として栄えました。聖武天皇の命によって五智国分寺が建立され、仏教を通じて農村へ信仰が広がりました。この寺の名前にちなんで、現在も「五智」という地名が残っています。 鎌倉時代には、浄土真宗の開祖・親鸞がこの地に流刑となり、民衆へ布教を行いました。その影響で、上越地方には今も浄土真宗の信仰が根付いています。また、戦国時代には上杉謙信がこの五智国分寺を再興。直江津の港を活用し、貿易によって財を成しました。 江戸時代に入ると、直江津港は佐渡金山の金を江戸へ運ぶ重要な拠点として発展。北国街道が整備され、五街道に次ぐ交通の要所となりました。その時代、田中酒造は北国街道沿いに「能登屋(のとや)」の屋号で創業し、酒造りを始めたのです。
田中酒造の酒造りのこだわり
「心・技・体」── 旨い酒を追求する三要素 田中酒造の酒造りは、「心・技・体」の三つの要素を大切にしています。 心── 酒造りに対する情熱 技── 伝統の技法を受け継ぎ、丹精込めて醸す杜氏や蔵人たち 体── 仕込み水や酒米、上越の豊かな風土 この三位一体の考え方のもと、田中酒造は「旨い」酒を追求し続けています。 和醸良酒── 和をもって良酒を造る 田中酒造は、昔ながらの手造りにこだわり、伝統の味を守りながら、毎日飲みたくなるような酒を目指しています。蔵の中での「和」を大切にし、蔵人たちが心を一つにして酒造りに取り組んでいます。 直江津・上越地区は甘口の酒が主流ですが、田中酒造の酒は辛口ひとすじ。「能鷹」はただ辛いだけでなく、しっかりとした旨みを持つバランスの良い味わいが特徴です。地元での出荷率は**75%**にのぼり、多くの人々に愛されています。 こだわりの酒米── 五百万石と越淡麗 田中酒造では、麹米には五百万石を使用し、吟醸酒には契約栽培の越淡麗を全量使用しています。 越淡麗は誕生から日が浅く、山田錦に比べて扱いが難しいとされていますが、田中酒造は早くからこの品種に着目し、新潟らしい辛口の中にふくよかな味わいを引き出す酒造りに挑戦しています。 仕込み水── 300年以上の歴史を持つ横井戸の天然水 田中酒造の仕込み水は、蔵の裏山にある横井戸から汲み上げられる天然水です。江戸時代から使い続けられており、柔らかい水質が特徴です。 毎年、酒造りの前には蔵人全員で横井戸の清掃と点検を行います。狭く暗い洞窟の中を這うように進みながら、ロウソクの灯りを頼りに掃除をするという作業は、閉所恐怖症の人には耐えられないほど過酷なものだといいます。しかし、それだけの苦労をかけても、この仕込み水へのこだわりを守り続けています。
更新日04/0804/0104/07集計