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上越酒造「越後美人」ー新章、始まる。上越酒造 二百年のその先へ

公開日:2025/04/01 更新日:2025/04/01
上越酒造株式会社は、新潟県上越市飯田に位置する、創業1804年の歴史を持つ酒蔵です。​220年以上にわたり、地域に根ざした酒造りを続けています。 ​ 代表銘柄には「越後美人」や「越の若竹」があり、これらは上越地方特有のやさしい味わいが特徴です。​これは、昔から涸れることのないやさしい味わいの井戸水と、最新設備による温度管理によって生み出されています。 ​ 近年、上越酒造は新たな当主が事業を受け継ぎ、伝統の味を守りながらも、より多くの人々に受け入れられる酒造りを目指しています。
上越地方の歴史
上越酒造が創業した1804年(文化元年)は、江戸時代後期にあたります。当時の上越地域は、越後国頸城郡(くびきぐん)に属しており、交通・軍事の要所として発展してきました。特に高田(現在の上越市中心部)は、徳川家康の六男・松平忠輝によって築かれた高田城の城下町として栄えた場所です。高田藩はその後、譜代大名によって治められ、藩政の中心地となりました。 江戸時代には北国街道が整備され、上越市を通る街道は日本海側の物流と人の往来を支える重要なルートでした。高田港や直江津港などもあり、海運による物資の流通が盛んで、酒造業をはじめとする地場産業の発展に寄与しました。上越酒造もこうした交通の利便性と、豊かな水資源に恵まれた土地柄を背景に創業されたと考えられます。 明治時代に入ると、上越は新政府の行政区画により高田県、次いで新潟県の一部となり、旧藩時代の軍事的役割から商業都市へと変貌していきます。1872年には高田駅が開業し、鉄道の整備が進んだことで、内陸と日本海を結ぶ物流拠点としての機能がさらに強化されました。 また、明治時代後半から昭和初期にかけて、上越地域では製糸業が盛んになり、女工を中心とした雇用が生まれ、地域経済を支えました。この時期、酒造業も引き続き発展し、地元の米と雪解け水を使った上質な清酒が造られ、多くの人々に親しまれました。 しかし、1930年代後半から日本は戦時体制へと移行。第2次世界大戦期には、多くの産業が統制され、酒造も例外ではありませんでした。原料の配給制、製造量の制限、軍需優先の政策により、多くの酒蔵が厳しい経営を迫られる中、上越酒造も困難な時代を乗り越えていきました。 このように、1804年から戦後直前までの上越地域は、城下町から商工都市へと発展しつつ、戦争の荒波にもさらされながら、地域と共に歩んできた歴史があります。その中で、上越酒造は酒蔵として、地元の生活と文化を支える存在であり続けました。
上越酒造の歴史
上越酒造は1804年(文化元年)、越後国・現在の新潟県上越市にて創業しました。以来、200年以上にわたり、この地に根ざしながら酒造りを続けてきた歴史ある蔵元です。創業当時の上越は、高田城の城下町として栄え、日本海側の交通と物流の要衝として発展しており、酒造業にも好適な地域でした。 しかし、太平洋戦争の影響は大きく、1944年には戦時統制のもと酒造りを中断せざるを得ませんでした。その後、1956年に「上越酒造株式会社」として再出発し、再びこの地で酒を醸しはじめました。地域に根ざした「人に寄り添う酒」を信条とし、昔ながらの味と風味を守り続けてきました。 長く社長を務めた飯野美徳氏は、ほぼ一人で蔵を切り盛りし、小規模ながらも伝統的な製法と古風なラベルを守り抜いてきました。その姿勢はSNSでも話題となり、一時は「バズった」ことで1年分の在庫が一日で完売したという逸話も残っています。 しかし、少子高齢化やコロナ禍による出荷減少などの困難も重なり、飯野氏は後継者を立てず、やがては廃業も覚悟していました。そんな中、国の「新潟県事業承継・引継ぎ支援センター」を活用し、事業譲渡の道を模索。2021年、日本トーター株式会社への事業譲渡が成立し、新たな一歩を踏み出しました。 日本トーターは全国で公営競技事業を展開する社員数3000人規模の大企業で、これにより上越酒造は強力な経営基盤を得ることに。2022年からは最新の設備による酒造りも始まり、品質の安定と生産体制の強化が図られています。 創業から220年を迎えた今、上越酒造は「人に寄り添う酒」の信念を守りながら、伝統と革新の融合によって新たな歴史を紡ぎ続けています。地域の雇用と文化継承を担う存在として、今後の活躍にも大きな期待が寄せられています。
上越酒造のこだわり
上越酒造の酒造りには、上越の風土がそのままに息づいています。地元の人々が「遠慮深い」と語るように、同蔵の酒も派手な個性を競うのではなく、やさしい味わいと柔らかな口当たりが特徴です。まるで人の性格が酒に染み込んだかのような、日々の食卓にそっと寄り添うお酒――それが上越酒造の目指す味わいです。 その根幹を支えるのが、創業以来変わらぬ井戸水です。蔵のある地域は自然豊かで、水は清らかにして柔らかく、まさに酒造りに理想的な環境にあります。微生物が活発に働き、酒を自然に育ててくれるこの水は、蔵の宝とも言える存在。今後もこの自然の恵みを守り、次世代に引き継いでいくことが、蔵の使命とされています。 酒造りにおいては、最新の設備を活用しながらも、昔ながらの手仕事を大切にしています。現在の蔵では、オートメーションによる温度管理によって、四季を問わず通年での仕込みが可能になり、少量ずつ丁寧に造り、常に新鮮な酒を提供する「フレッシュローテーション」が実現しています。しかし、米の蒸し、麹づくり、発酵といった核心の部分では、今なお蔵人の感覚と技に頼る部分が大きく、「人と人の和」こそが最良の酒を生むという信念は変わりません。 商品には、「越後美人」「越の若竹」などのシリーズがあり、それぞれが多様な味わいを展開しています。純米大吟醸「越後美人」は華やかな香りと柔らかい酸味が調和し、冷やして楽しむのに最適な1本。低アルコールで日本酒ビギナーにも親しみやすい「甘雫」は、その飲みやすさから女性にも人気です。さらに、「Prova」のように白ワインのような酸味を持つ新スタイルの酒も登場し、国際的な酒類アワードでも高く評価されています。 こうした新たな挑戦の一方で、普段飲みとして愛される普通酒「越の若竹」のように、日常に溶け込む味わいも忘れていません。上越酒造の酒は、奇をてらわず、まっすぐで誠実なものづくりの結晶。その一杯には、自然と人、そして200年を超える歴史が、静かに、しかし確かに息づいています。
更新日04/0804/0104/07集計