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石本酒造「越乃寒梅」ー越乃寒梅に込められた石本酒造の哲学

公開日:2025/04/01 更新日:2025/04/01
石本酒造は、新潟県新潟市にある老舗の酒蔵で、全国的に名高い銘酒「越乃寒梅(こしのかんばい)」を造る蔵元です。明治40年(1907年)創業以来、「誰が飲んでも美味しいと思える酒」を信条に、淡麗で雑味のない上品な味わいを追求してきました。 「越乃寒梅」は、戦後間もない時代から品質の高さが評価され、“幻の酒”とも呼ばれるほど入手困難な銘柄として知られてきました。現在も伝統の技を守りながら、すっきりとキレのある飲み口と、飲み飽きしない味わいの酒を丁寧に醸し続けています。
石本酒造の歴史
石本酒造株式会社は、新潟市江南区の亀田郷に本拠を置く、1907年(明治40年)創業の老舗酒蔵です。初代蔵元・石本龍蔵が「過酷な農作業を強いられる地元の人々に、疲れを癒し、明日への力となる酒を届けたい」という強い想いのもとに創業し、以来100年以上にわたり、地域に根ざした酒造りを貫いてきました。 蔵が位置する亀田郷は、阿賀野川と信濃川の間に広がる肥沃な土地で、豊かな水源と雪に恵まれた気候条件を持つ、まさに酒造りに適した地です。また、この地は江戸時代から梅の名産地としても知られ、寒さの中で凛と咲く梅の花のように、清らかで力強い味わいの酒を目指すという願いを込めて、代表銘柄「越乃寒梅」の名が生まれました。 二代目は、戦後の高度経済成長期にあっても、先代の志を受け継ぎ「品質第一」の酒造りを徹底。全国的に甘口の酒が主流となる中、あえて淡麗で清らかな味わいを追求しました。特に、100本以上の井戸を掘り続けた末に見つけた、蔵の敷地内に湧くやわらかい軟水は、越乃寒梅の味の核となる重要な存在です。徹底した精米と低温発酵技術を駆使し、雑味のない飲み口の良い酒質を確立しました。 三代目の時代には、品質管理や熟成技術の強化が進められました。酒米本来の旨味を生かすため、長期低温貯蔵設備を整備し、なめらかでふくらみのある味わいを追求。また、消費者に安心して飲んでもらえるよう、衛生・品質管理体制の整備にも力を注ぎました。地酒ブームが全国を席巻した中でも、「自分たちが納得できる酒だけを造る」という姿勢を貫き、あくまで量より質を重んじる哲学を守り続けました。 2003年に四代目・石本龍則氏が社長に就任。伝統の技を継承しつつ、新たな挑戦も積極的に展開しています。2016年には45年ぶりの定番新商品「越乃寒梅 灑(さい)」を発売。地元亀田郷の五百万石を100%使用した限定商品や、ミシュランガイド掲載店舗向けの特別商品、若年層に向けた低アルコールの日本酒など、多様なニーズに応えるラインアップを展開しています。また、酒造りの精神を地域社会と共有することにも注力しており、新潟市の新成人への贈呈など、地元との関わりを大切にしています。
石本酒造の酒造りは、単なる製品づくりではなく、「人々の暮らしに寄り添い、豊かにするもの」という信念に支えられています。水や米といった自然の恵みに感謝し、蔵人たちの丁寧な手仕事とともに、淡麗辛口という酒質の中に、深みと品格を宿した酒を生み出してきました。 今や「越乃寒梅」は、新潟清酒を代表する銘柄の一つとして全国に知られ、さらにはアメリカやイギリス、カナダなど世界各国にも輸出され、日本の酒文化の象徴としても高く評価されています。 創業から一貫して「ぶれずに理想を追い求める」という姿勢を守り続けてきた石本酒造。これからも先人たちの精神を大切にしながら、新たな挑戦に向かって一歩一歩着実に歩みを進めています。
地酒ブームと新潟県酒の発展
1980年代、日本酒業界に大きな変革の波が押し寄せました。それが「地酒ブーム」と呼ばれる現象です。このブームの中心となったのが新潟県であり、同県の酒は一躍、全国の酒好きを虜にする存在となりました。その火付け役の一つが、石本酒造の「越乃寒梅」でした。 この酒が全国的な注目を浴びたきっかけは、当時『週刊朝日』の編集長を務めていた佐々木久子氏による一文です。佐々木氏は越乃寒梅を「幻の酒」として誌面で取り上げ、その名は瞬く間に全国に知れ渡ることとなります。雑誌の影響力は絶大で、それまで知る人ぞ知る存在だった新潟の地酒は、一夜にして日本酒界の“スター”へと変貌を遂げました。 この時期、ただの宣伝に留まらず、酒質そのものの評価も高まりました。背景には、新潟財務局の酒類鑑定官・田中哲郎氏の尽力がありました。田中氏は新潟の酒造技術の底上げに尽力し、各蔵元の指導にあたるなど、淡麗辛口という新潟酒の方向性を確立する上で重要な役割を果たしました。さらに、「酒の博士」として知られる坂口謹一郎氏も、新潟酒の洗練された酒質に注目し、学術的視点からその魅力を発信しました。これらの人物が地酒の魅力を専門的に裏付けたことも、ブームの信頼性を高めることに貢献しています。 地酒ブームが加速する中、石本酒造の越乃寒梅だけでなく、福井酒造の「峰乃白梅」、丸山酒造場の「雪中梅」も注目を集め、三者あわせて「越後の三梅」と称されました。特に越乃寒梅はその洗練された味わいと希少性から、一時は「幻の酒」としてプレミア価格がつき、手に入れることすら困難になった時期もありました。 こうした地酒の人気は、ただの一過性の流行ではありませんでした。新潟県の酒蔵が一丸となって品質向上に取り組み、飲みやすく食に合う「淡麗辛口」という独自の酒質を確立したことで、日本酒の一大ブランド産地としての地位を築いたのです。 1980年代の地酒ブームは、新潟酒にとってまさに転機でした。そして、その静かな革命の陰には、越乃寒梅の存在と、それを支えた人物たちの情熱がありました。
石本酒造のこだわりとポリシー
石本酒造は、「一滴に、一輪の美意識」を掲げ、日本酒を単なる嗜好品としてではなく、心を潤し、人と人、地域と世界を結ぶ「文化」として育んでいます。その酒造りには、厳しい冬の寒さの中で凛と咲く梅の花のような、美しさと芯の強さが込められています。創業以来、「飲み手に寄り添う酒」を信条に、飲み飽きず、食事と調和し、どんなシーンにも自然と馴染む酒質を追求してきました。 石本酒造のこだわりは、まず「吟味を重ねた素材と環境」から始まります。使用する原料米は酒造好適米に限り、品質を見極めながら選定。仕込み水は、自ら掘り当てた良質な軟水を使い、精緻な温度管理と丁寧な手仕事によって、米の旨みを最大限に引き出します。蔵人たちは長年培ってきた技術と感性を頼りに、雑味のない品格ある酒を少量ずつじっくりと醸しています。 「頑なさとしなやかさ」も石本酒造の大きな特長です。初代から続く「大胆、且つ細心、周到」という信念を守りながらも、時代の食文化やライフスタイルに対応した革新にも積極的に挑んでいます。定番酒「越乃寒梅 灑(さい)」や新シリーズの開発はその象徴であり、伝統と革新が共存する酒造りを体現しています。 石本酒造の酒は、日常の晩酌からハレの日、海外の食卓にまで広く愛されています。特定の層や場面に限定せず、すべての人に開かれた酒を目指す姿勢は、多様性の時代においても際立つ存在感を放っています。また、日本酒の魅力を正しく伝えるため、適量飲酒の啓発や日本酒食文化の発信にも注力し、日本酒そのものへの「恩返し」を続けています。 そして何より、石本酒造の原点には、地元・亀田郷への深い感謝があります。厳しい自然と向き合いながら暮らす人々への敬意から始まった酒造り。その想いは今も変わらず、地域との連携や貢献活動として形を変え、次世代へと継がれています。石本酒造はこれからも、日本酒のある豊かな時間を届ける存在として、その一滴に誠実な美意識を込め続けていきます。
更新日04/0804/0104/07集計