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原酒造「越の誉」ー災害から復興を続ける柏崎市の銘醸

公開日:2025/02/10 更新日:2025/02/17
原酒造ー災害から復興を続ける柏崎の銘醸
原酒造は、新潟県柏崎市にある1804年創業の老舗酒蔵です。雪深い越後の自然を生かし、良質な水と米で日本酒を醸造。「越の誉」ブランドを中心に、淡麗でキレのある酒質が特徴です。伝統技法を守りつつ、現代の嗜好に合わせた酒造りにも挑戦。地域に根差し、地酒文化を発信し続けています。
原酒造の歴史
創業と発展 新潟県柏崎市に蔵を構える原酒造は、文化11年(1814年)に創業した老舗酒蔵である。当時の柏崎は北国街道の宿場町として栄え、日本海交易の要所として北前船が頻繁に往来する活気ある港町だった。原酒造の創始者・原幸太郎は、もともと鍋の製造や修理を行う鋳物師(いもじ)を生業としていたが、家督を妹に譲り、酒造業へと転身。こうして「原酒造店」が誕生した。創業当初から柏崎の地の利を活かし、酒造りに励んだ原酒造は、明治時代には柏崎を代表する酒蔵へと成長を遂げた。 試練と再興 順調に発展を続けた原酒造だったが、明治44年(1911年)に大きな試練が訪れる。柏崎の町を襲った大火「柏崎大火」により、原酒造の蔵は全焼し、さらに取引銀行の破産が重なり、全財産を失う事態となった。四代目蔵元・原吉郎は一時廃業を考えるも、「酒は人に喜びと慰めをもたらすもの」という信念のもと、再興を決意。蔵人たちと共に酒造りを続け、大正15年(1926年)には新たな東蔵を完成させた。 新たな歩みと発展 昭和3年(1928年)には、現在の代表銘柄である「越の誉」が誕生。その品質の高さは全国で評価され、酒類品評会での受賞を重ねるなど、名声を確立していった。昭和12年(1937年)には長さ36間(約65m)にも及ぶ西蔵が完成し、経営は四代目・吉郎から五代目・哲郎へと引き継がれた。さらに昭和25年(1950年)には株式会社化し、地域を代表する企業へと成長。昭和40年(1965年)には四季醸造が可能な新工場を建設し、六代目・寛のもとで組織強化が進められた。従来の季節雇用から社員制度への転換を図り、酒造業の近代化を推進した。 伝統と革新 原酒造は200年以上にわたり、柏崎の地で伝統を守りながらも革新を続けてきた。日中国交正常化の際には、記念晩餐会の乾杯酒に選ばれる栄誉を受けるなど、日本国内外で高い評価を得ている。これからも「越の誉」をはじめとする銘酒を通じて、酒造りの技と精神を未来へと紡ぎ続けていく。
原酒造を襲った再びの試練と復興
昭和50年代の地酒ブームや全国新酒鑑評会での連続入賞、全日空国際線ファーストクラスの機内酒採用など、順調な歩みを続けてきた原酒造。しかし、再び大きな試練が訪れる。 2007年7月16日、「中越沖地震」発生。 震源地に近い柏崎市は最大震度6強を観測し、甚大な被害を受けた。この地震により、原酒造の象徴であった「東蔵」「西蔵」は全壊し、煙突は折れ、社屋の7割が倒壊。その光景は報道番組で生中継されるほど衝撃的なものだった。蔵の中では貯蔵タンクが変形し、約1万本もの日本酒が割れ、酒が足元まで広がる惨状となった。 しかし、幸いなことに、この日は「ハッピーマンデー」による休業日であり、社員全員が無事だった。また、生産設備や精米機、瓶詰工場の被害は軽微で、水道の復旧も早かったことが、復興への希望となった。 蔵人たちの不屈の精神 震災翌日から、社員は一丸となって復旧作業を開始。炎天下の中、割れた日本酒の撤去、倒壊した瓦礫の片付け、貯蔵タンクの救出に奔走した。救出できたタンクにはブルーシートをかけ、水をかけながら仮設の蔵で必死に守り続けた。 「たった1分の揺れで200年の歴史をつぶされてたまるか。」 この強い想いのもと、震災から1ヶ月後には瓶詰を再開。さらに2ヶ月半で通常業務ができるまでに復旧を果たした。 「こんな時だからこそ、絶対に質の悪いものは出さない。」 これは当時の蔵人たちの決意だった。被災の中でも品質を守り続けた酒は、多くの支援者の力もあり、全国へと届けられた。 そして、新たな時代へ。 倒壊した蔵に代わり、新たに「和醸蔵」と直売店「酒彩館」が完成。原酒造は中越沖地震だけでなく、柏崎大火や中越地震など幾度もの災害を乗り越え、今日も誇りを持って酒造りに向き合い続けている。
復興から新たな未来へ
2007年の中越沖地震という未曾有の試練を乗り越え、原酒造は復興への大きな一歩を踏み出した。震災からわずか1年後の2008年、新たな蔵「和醸蔵」が完成。この蔵は、倒壊した「東蔵」「西蔵」に代わる新しい酒造りの拠点として誕生した。 特に震災の中で奇跡的に救出された2000Lの純米大吟醸のタンクは、新設された和醸蔵で静かに熟成を重ね、10年後の節目となる2018年に「蔵の至宝・十年秘蔵酒」として世に送り出された。この酒は、災害を乗り越えた原酒造の象徴とも言える存在となった。 観光蔵としての発展——「酒彩館」の誕生 新蔵の完成から2年後の2010年、直売店「酒彩館」がオープン。ここでは、原酒造のほぼすべての銘柄が揃い、地域限定酒や店舗限定酒など貴重な一本にも出会える。 店の入口では、酒造りの象徴である直径1メートルを超える特大杉玉が訪れる人々を迎え入れる。館内には試飲スペースが設けられ、越の誉の多彩な味わいをその場で楽しめる。 また、柏崎刈羽限定銘柄「銀の翼」をはじめ、当館でしか手に入らない特別な銘柄も取り揃えられており、訪れる人々に原酒造の魅力を存分に味わってもらえる空間となっている。 和醸蔵——新たな酒造りの拠点 「和の心を以って良酒を醸すべし」 この理念のもと誕生した和醸蔵。夜になると、蔵の壁面には「越の誉」の文字が温かみのあるライトに照らされ、復興の象徴として静かに佇む。 中越沖地震からの復興を遂げ、さらなる発展へと歩みを進める原酒造。酒造りにかける誇りと挑戦の歴史を刻みながら、これからも伝統の味を守り続けていく。
地理的条件が生む唯一無二の味わい
自然の恵みが生む原酒造の酒造り 1. 雪解け水が育む清らかな味わい——「水」 原酒造の酒造りに欠かせない仕込み水は、名峰米山の伏流水。冬に降り積もった雪が長い時間をかけてろ過され、夏は冷たく爽やか、冬は凍りつくような清冽な軟水となる。この水を使い、低温長期発酵によって、なめらかで飲みやすく、上品な余韻を持つ日本酒が生まれる。 2. 海と山の気候が育む酒米——「米」 柏崎の肥沃な土地と清らかな水で育まれる酒米にも、原酒造は強いこだわりを持つ。1997年から地元農家と契約栽培を開始し、現在では100%生産者の顔が見える酒米を使用。さらに、農家とともに酒造りを体験し、田圃を見学するなど、栽培技術の向上にも積極的に取り組んでいる。 3. 伝統と最新技術の融合——「技」 「一麹、二酛、三造り」という酒造りの格言に基づき、原酒造では3種類の麹室を用意し、酒質ごとに最適な麹を丹精込めて育てている。また、契約栽培米は全量自社精米プラントで精米し、より高品質な仕込みを実現している。 さらに、原酒造の酒造りには、「蔵人心和壹(くらびとのこころいちにわす)」の精神が息づく。蔵人同士が互いを尊重し、信頼し合うことで、より良い酒造りができるという理念のもと、伝統と革新の技を結集している。 地理的条件が生む唯一無二の酒 柏崎の気候・風土が生む日本酒の個性 原酒造は、日本海の潮風と山からの清らかな水が交わる柏崎という土地ならではの酒を造り続けてきた。 ・冬の厳しい寒さと清冽な雪解け水が、雑味のないキレのある酒を生む ・海風が運ぶミネラル分が、酒に複雑な旨みをもたらす ・地元米山のふもとで育まれた酒米が、しっかりとした味わいを形成 こうした柏崎の自然と文化が、原酒造の日本酒に奥深い味わいをもたらしている。 二度の震災を乗り越え、不屈の精神で紡ぐ未来 二度の震災を経験しながらも、原酒造は決して諦めることなく復興を遂げてきた。そして今も、「幸せを呼ぶ酒」を目指し、柏崎の自然とともに歩み続けている。
更新日04/0804/0104/07集計