秋や冬だけでなく、春にも着る機会の多いニット素材のアイテム。
着続けているうちにいつの間にか伸びてしまったり、お洗濯をしたら縮んでしまいダメにしてしまった、という経験がある方も多いのではないでしょうか。
今回は好きなシルエットで楽しみ続けるために、ニットの伸びや縮みの原因やお洗濯のときに注意すること、もし伸びてしまった場合に少しでも元の形に戻す方法をご紹介いたします。
ニットは糸で作られたループが連結して出来たものです。
織物はたて糸とよこ糸を交差して作られていますが、ニットは連結しているため形が変わりやすく、お洗濯の際に水につけて動かすことでループが変形し、形が変わりやすくなります。
ここに素材の特性が加わると縮みやすさの原因になります。
ウールなどの動物性の天然繊維はニットの中でも縮みやすい素材です。
毛を使ったニットが縮みやすい主な原因は水。
ウールなどの毛は私たちの髪の毛同様にキューティクルがあります。うろこ状をしたキューティクルはスケールと呼ばれており、水に濡れるとうろこが開きます。開いた状態でひねりが加わると、うろこ同士が絡まりあってしまい、フェルトのような状態になります。このフェルトのような状態になったまま乾くことでニットが縮む原因になります。
動物性の繊維以外にも、天然素材である綿も比較的縮みやすい素材です。
綿は縮れた繊維をより合わせて糸にしており、水に濡れると元の状態に戻ろうとして縮んでしまうことがあります。
ウールなどの動物性繊維は水が原因で縮みが発生するため、最も水にぬれる場面である「お洗濯」の際は、出来るだけ濡れている時間を減らしてあげてみましょう。洗濯機、手洗いどちらの際も同様です。
また、脱水の際も洗濯機で行う場合は30秒程度にしましょう。
他にもバスタオルなどに挟んで水分を取ってあげるという方法もあります。
もし縮んでしまった場合、完全に元に戻すことは難しいですが、少しでも元の大きさに戻す方法があるのでご紹介します。
髪の毛用のトリートメントを使用した方法。
トリートメントの中の「ジメチコン」が縮んだニットを元に戻すことに効果がみられる場合があります。トリートメントの成分表示に「ジメチコン」が入っているか確認して、入っているものを使用してください。
✅やり方
トリートメントを溶かした水に入れて押し洗いし、そのまま軽く脱水します。
脱水後、戻したい大きさに伸ばして自然乾燥させます。
※実施する前に洗濯絵表示を必ず確認してください。アイテムの取り扱い方法に合わせて行いましょう。
完全に元の状態にという訳にはいきませんが、もう着られないと諦める前に一度試してみるのもおすすめです。
ニットは元々伸縮性のある素材のため、着ているうちに伸びてきます。
着用しているうちにニット自身の重みで伸びてしまうこともあります。特に首まわりや手首、裾などは脱ぎ着の際にも伸びやすい部分のため、気がつくとよれよれになっているということも。
着用時以外には、縮みと同様にお洗濯の際は伸びやすくなります。
洗濯の際に水分を吸ったニットは重みが増すため、その状態でハンガーに吊るすと重みで伸びてしまいます。
また、脱水の際も脱水し過ぎると余分な力が掛かり引っ張られるので伸びてしまう原因のひとつになります。
特に伸びやすいのは首元、袖口、裾の3か所です。
干す際は吊り干しではなく、平干ししましょう。
平干し用のネットを使用するなどして、ニット全体の伸びや首元・袖などがよれないように心掛けるとよいです。
また、洗濯機を使ってお洗濯する際は、お洗濯時間・脱水時間ともに短めを心掛けるとよいです。
縮みと同様に完全に元の状態に戻すことは難しいですが、少しでも元の大きさに戻す方法をご紹介いたします。
※縮みの際と同様に、実施する前に洗濯絵表示や注意書きを必ず確認し、製品に合わせて実施しましょう。
✅やり方
➀ドライヤーを使うやり方
・ニットの伸びた箇所に水を軽くスプレーして濡らす
・濡れた箇所をドライヤーで乾かす
※ドライヤーで乾かす際はニットから少し離しましょう。
②スチームアイロンを使うやり方
・伸びたところにスチームアイロンのスチームを少し離してあてる
・スチームを当てた部分をぎゅっと握る
・握った部分に再度アイロンをかけ、伸びた部分を整える
※スチームアイロンはニットから5cmくらい離しましょう。
どうしても縮みや伸びはニットにつきものですが、お気に入りのニットは出来るだけそのままのシルエットで長く着ていたいもの。
お洗濯の際にちょっと一工夫してみたり、ダメにしてしまった場合でも捨てる前にちょこっと試してみると、少しでも長く着続けられるかもしれません。
ニットの縮みや伸びと上手にお付き合いして、ニットコーデを楽しんでみてはいかがでしょう。