パーゴワークス渾身の新作バックパック、ZENN（ゼン）を解説。バディとの違いは？

2025年春、PAAGO WORKSが満を持してリリースした新作バックパック「ZENN（ゼン）」。 これまで多くのハイカーに支持されてきたBUDDYシリーズとは一線を画す、新しい思想と構造で設計されたバックパックです。 PAAGO WORKS代表の斎藤徹氏が「すべてを再構築した」と語るこのZENNは、単なる後継モデルではなく、同社がこれまで培ってきた山行の知見をもとに、“より自由に、より快適に山を歩く”ための新たな選択肢として生まれました。

PAAGO WORKSが送り出した最新バックパック「ZENN（ゼン）」は、ただの新作ではありません。 それは、今の自分より少し遠くへ、少し高くへと歩みを進めたいと願うハイカーに向けた、次のステップを支えるための“新たな相棒”です。 このモデルが特別なのは、PAAGO WORKS代表・斎藤徹氏が「すべてを再構築した」と語っている点にあります。 従来の人気モデル「BUDDY」で確立した世界観や使い勝手に甘んじることなく、あえてゼロから設計しなおしたZENNには、これまでにない発想と細やかな改良の積み重ねが詰まっています。 機能性、背負い心地、そして軽さと自由度。 ZENNはすべてのディテールに「登山をもっと自由に楽しんでほしい」という強い意志が込められたバックパックです。

本当に良いバックパックとは何か。 軽く、丈夫で、背負いやすく、使いやすく、カッコいい。 そんな理想を追い求め、PAAGO WORKSはZENNの開発にあたり、「背負う機能」と「収納する機能」を分解し、一から徹底的に再構築するプロジェクトを立ち上げました。試作は2年以上におよび、その過程で積み重ねたフィードバックと経験が、ZENNという形に結晶しています。 背景には、近年のULスタイルの広がりと、それに伴うハイカーの価値観の変化があります。 「ただ軽ければいい」ではなく、「軽さと使いやすさのバランス」や「自分の山行スタイルに合った最適な道具」を求める人が増えるなかで、PAAGO WORKSは“今の日本の山にとっての最適解”を提示したいと考えました。 「無駄なものは削ぎ落とし、本当に必要な機能だけを磨きぬく」 このZENN CONCEPTに込められた想いこそが、ZENNというバックパックの核です。 「すべてを再構築した」と語る斎藤氏の言葉には、機能性の追求にとどまらず、登山者と道具の関係性そのものを見直す、ブランドの強い意志がにじみます。 ZENNの名が示す“禅”は、そうした「本質を見極める姿勢」の象徴。 静かに山を歩きながら、必要なものと不要なものを選び取る。そんなハイキングの本質に向き合いたい人へ、ZENNはまさに最適なパックです。

PAAGO WORKSの代表的なバックパックといえば、多くのハイカーに愛用されてきた「BUDDY」シリーズ。その系譜に連なる存在として登場したZENNは、一見すると似ているようで、設計思想から構造まで大きく進化しています。 BUDDYはULハイカーからファストパッキングまで、自由な装備スタイルに対応する懐の広いバックパックです。 一方のZENNは、「本当に必要な機能だけを残す」という禅的思想をベースに、フィット感・安定感・使いやすさを徹底的に突き詰めた設計。特に背負い心地とアクセス性において、次のステップを目指す中上級者にとっては大きなアドバンテージとなります。 ●背負い心地の質の違い BUDDYの比較的ベーシックなショルダーハーネス構造に対して、ZENNはショルダー支点の低さ・幅広ハーネス・高重心設計といった細部まで設計を刷新。荷重を体幹近くで安定させることで、長時間の歩行での疲れにくさが格段に向上しています。 さらに、背面長の調整機能や性別を問わないフィット感など、より多くのユーザーに対応できる点もZENNならではの強みです。 BUDDYが持つラフで自由な雰囲気と、ZENNが体現する機能の緻密さ。 どちらもPAAGO WORKSらしい「遊びをデザインする道具」の哲学に基づいた製品です。 だからこそ、どちらが“上位”というわけではなく、ハイキングのスタイルや経験値によって選び分けるべきモデルとも言えるでしょう。

「すべてを再構築する」という言葉通り、ZENNにはこれまでのバックパックの常識を覆す設計思想が貫かれています。 ここではZENNがどのように“フィット感・使いやすさ・拡張性・耐久性”を高次元で融合しているのか、そのディテールを紐解いていきます。

ZENNは25L・35L・45Lの3サイズ展開。日帰りのファストパッキングからUL志向のテント泊、長期縦走やロングハイクまで、装備や目的に応じて自分に合った容量を選べます。 またRUSH譲りの無段階調整可能な背面長調整機能も装備。サイズ展開がない代わりに、背面パネルとショルダーを一体化したアジャスタブル設計により、参考値で155cm~185cmまで性別や体型を問わずジャストフィットを実現しています。

ZENN最大の特長は、PAAGO WORKSが新たに開発したZENN SYSTEMによるフィッティング性能。いかなる時も身体に追従し、疲労を軽減するバックパックを目指し、フィッティングを徹底的に研究して生まれました。 背負いやすさ： ショルダーハーネスの支点をあえて低く設計し、より体に馴染む柔軟性と追従性を確保。トップスタビライザーを締めた状態でもフィット感を損ないません。 幅広のショルダーハーネスが荷重を肋骨全体に分散し、揺れを抑えつつ肩への負担を軽減。RUSHシリーズで培われた安定性がここでも活かされています。 調整可能なフィッティング： ベルクロで自在に調整できる背面長により、精密なフィッティングが可能。ショルダーの形状は主流のS字ではなくあえてストレートとすることで男女問わず快適な背負い心地が得られます。 モジュール設計： ZENNはハーネスやフロントポケットなどのパーツをモジュール設計で構成。 取り外し可能な5Lのフロントポケットは、ショルダーハーネスと組み合わせることで単体でサブザックとして活用できます。山小屋からのアタックや、下山後の町歩きなどにも便利。 スノーギア用のアタッチメントやファストパッキング用に再設計したショルダーハーネスも登場予定とのこと。四季を通じて日本の山を遊び尽くせる仕上がりです。

ZENNの外観は非常にミニマル。しかし、その内側にはトレイルで実際に使えるための設計が凝縮されています。 高重心設計： 肩甲骨のあたりにボリュームを持たせた高重心設計で、荷重を体の中心に集めてバランスを最適化。歩行時の安定感と疲労軽減に貢献します。 広い開口部： 高重心によって生まれた広大な開口部は、ロールトップの弱点だった“出し入れのしづらさ”を解消。荷室全体にアクセス可能なサイドジッパーとの併用で、パッキングとアクセスの快適さを両立しています。 充実のサブ収納： 大型のサイドポケットは500mlのボトルを2本収納可能。ストレッチ素材により出し入れもしやすく、不意の脱落も防止。 さらにショルダーハーネスのハーネスポケットが標準装備。RUSHシリーズ譲りの設計により、歩きながらのアクセスもスムーズで、いちいちザックを下ろす必要がありません。 トップにはストレートジッパーのトップポケットを配置し、小物の整理も快適に。バックパックを地面に置いた状態でもサッとアクセスできる位置に設けられているのも、細やかな配慮です。

メイン素材には、ショルダーバッグのスイッチでもお馴染みの超高分子量ポリウレタン繊維を織り込んだExtreema Grid Nylonを採用。軽量ながらも抜群の耐久性と質感を兼ね備えています。 さらにボトムには高強度のECOPAK素材を使い、過酷な状況でも長く安心して使える仕上がりに。 ZENNはハーネスを取り外して洗濯可能。トレイルで汗をかいても清潔さをキープでき、修理や交換も容易。 また、背面のフォームパッドは取り外してマットとしても使用可能。

PAAGO WORKSが「再構築」を掲げて開発したZENNは、まさに今の日本の山を知り尽くしたバックパック。 ストイックなデザインと確かな機能性が共存し、“本当に必要なものだけを選び抜いたギア”として、ハイカーのステップアップにふさわしい1本です。