90年代の終わりに、通商レベルでの「オーガニック」のガイドラインが策定されたのを機に、世界各国でオーガニック基準を整備して認証活動が行われるようになりました。それぞれ、国の事情や策定までの経緯により違いがありますが、おおむね下記のような点が共通に位置づけられています。
① オーガニックの生産基準に沿った管理を約3年つづけた田畑で収穫されたものをオーガニックと表示することができる
② 土づくりから、農産物を出荷するまで、一貫してオーガニックの基準に沿って他のものと混合せずに取り扱う(トレーサビリティの担保)
③ 天然物質を中心とした土づくりで使用できる資材や生産物が収穫できなくなるなどやむを得ず使う農薬がリストとなっている
オーガニックコットンとは?
コットンはとても身近な繊維ですが、日本では商業ベースではほぼ生産されておらず、農業生産について一般にはあまり話題になりません。
そして、世界各地で育てられているコットンのうち、オーガニックで栽培されているのは、ほんの数パーセントです。
一般に目にするオーガニックコットンという言葉が指すものはオーガニック農法で栽培された棉からとれた繊維のことや、それを使った製品のことです。
日本で棉の栽培は、農業生産なので農林水産省の管轄となります。一方、繊維については、工業製品なので経済産業省が管轄省庁となっています。オーガニックコットンという呼称が様々である理由は、どちらも法的な位置づけが定まっていないからで、市場には、さまざまなオーガニックコットン製品が存在しているのが現状です。それを整理すると次のように大別できます。
① 原料の原綿がオーガニック認証を受けているということでオーガニックコットンと表示しているもの
② 原料から製品までそれぞれオーガニック認証を受けているもの
③ 第三者の認証はなく、栽培や加工の方法からオーガニックと称するにふさわしいと自称しているもの
消費者の立場で、これらを見分けることは難しいですが、ただ「オーガニックコットン」と説明されていたら、①から③のどれにあてはあるものなのかを意識して商品説明を聞いてみたり、下げ札やWEBに記載されている説明書きを読むことをおすすめします。
【綿花栽培の肥料と農薬事情】
普通の綿花栽培では、かなりの量の化学肥料と農薬が使われています。
農薬は害虫駆除、雑草の管理、防カビや殺菌消毒、収穫前の落葉剤などで、国ごとに厳しい規制が設けられていますが、それでも環境や農家の人たちの健康に影響を与えます。
また過剰な化学肥料が土壌に残ると地下水の汚染、土壌微生物の消滅などにより、作物を育てる土壌の力が減少します。
オーガニックコットンを作ろうと決めた農家は、基準に定められた有機肥料などによる土壌作りを行い、禁止されている農薬の類をいっさい使わないで、転換期のオーガニック栽培を続けなければなりません。
この畑と栽培の実際が第三者認証機関の認証を受けて、初めて「オーガニックコットン」と表示して販売できる綿花が栽培できるようになるのです。